日本の会計・人事を変える。”もっとやさしく””もっと便利に”企業のバックオフィスを最適化。

アイ・アール債権回収株式会社様

AWS上で財務会計システム及び人事システムのクラウド化を実施
コスト削減に寄与しながら従来と同じ使い勝手を実現

アイ・アール債権回収株式会社様

■事業内容 : サービス業

金融機関などから特定金銭債権の委託や譲渡を受け、その債権に関する管理回収を行う

導入の背景

財務会計および人事システムの統合を目指して

金融機関などから特定金銭債権の委託や譲渡を受け、その債権に関する管理回収を行う民間の債権管理回収専門業者、いわゆる“サービサー”として2000年6月に設立されたアイ・アール債権回収株式会社。不良債権処理の専門家である同社は、個人向けの債権回収ノウハウと事業者向けの債権マネジメントノウハウを活かしながら、債権買取および受託回収を行う総合サービサーとして事業を展開している。

すでに2014年3月末の取扱債権金額は累計8兆1000億円を超えるなど、業界内でも規模の大きなサービサーとして広く認知されており、豊富な実績を積み重ねたことで金融機関からの信頼も厚い。

そんな同社が財務会計及び人事システムの刷新を行ったのが2014年4月、財務会計システムのサポート切れやWindowsXPの延長サポート切れに伴ってシステムの入れ替えが必要になったのがきっかけだった。そこで、これまで個別に稼働していた財務会計システムと人事システムを統合するプロジェクトが始動することになる。

導入前の課題

セキュリティとBCPの観点からクラウド環境への展開を模索

アイ・アール債権回収 佐藤氏

コーディネータの立場としてプロジェクトの起案からベンダ選定までを手掛けた経営管理部 佐藤 秀樹氏は、最初に入れ替えを検討したのが2009年頃だったと当時を振り返る。

「当時はIFRS適用に向けた動きが加速しており、我々としてIFRSへの未対応が大きな課題となっていました。そこでシステムの全面更改の検討を開始しました」(佐藤氏)。

その後既存の財務会計パッケージがWindowsXPまでしか対応しておらず、延長サポートが切れることが明らかになった。そこで2014年のシステム刷新に向けて財務会計パッケージの導入を再検討したという。また同時に検討したのが、人事システムとの統合やクラウドサービスの活用だった。

「財務会計と人事は異なるベンダの製品がそれぞれ稼働しており、費用が双方に発生していました。この無駄を解消するべく、統合的に活用できるパッケージがないか調べ始めたのです」(佐藤氏)。

クラウドについての検討は、すでに数年前から行ってきたと佐藤氏は語る。特にシステム規模に比較して数多くのサーバを保有していたこともあり、これまでも様々な工夫でサーバおよびラックの本数を削減し続けてきた経緯がある。

「クラウド化の大きな流れの中で、我々も改めて検討することになったのです。そもそも社内のシステム要員には限りがあるため、何か新たなことをする際には極力外部の力をお借りしようと考えていました。その中でも会計などは外部に出しやすいシステムだと考えていたのです。セキュリティに関して不安を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、通常のオフィスビルである社内のサーバルームに置くよりはデータセンタのほうが間違いなくセキュアな環境。BCPなどの観点からもクラウドのほうが最適だと判断しました」(佐藤氏)。

システム選定と導入

従来と変わらない使い勝手とコスト削減が決め手に

アイ・アール債権回収 関口氏

システム検討にあたり、既存の財務会計システムと人事システム双方のベンダや新たな製品も含めて数社から提案を受けた結果、同社の目に留まったのが「SuperStream-NX」だった。

「税務処理を基本とする財務会計とは異なり、人事システムは企業ごとに運用が異なる部分が多く、移行に手間がかかるという話を聞いたのが大きなきっかけでした。それゆえ、既存の人事システムを活かした環境作りをするべきだと考えたのです」(佐藤氏)。実は以前から利用してきた人事システムがSuperStreamだったのだ。

しかも、オンプレミスを運営する運用コストと比べて、SaaSに切り替えたほうがコストダウンに寄与することが明らかになった。これは運用作業を数値化してコスト計算するのではなく、純粋に毎月発生するコストだけでも十分効果のあるものだったと佐藤氏。

実際の機能面について「これまで通りと変わらない使用感で、裏側で社内からクラウド上にサーバが移行しただけ。人事部門としては特に大きな変化は起きていません」と語るのは人事総務部 関口 法邦氏だ。また、経理を担当している人事総務部 丹羽 昭裕氏は、「SuperStreamは財務会計における豊富な機能を持っており、使いこなせば様々なことに活用できるという印象で、将来的な拡張性を高く評価したのです」と語る。

最終的にSuperStream-NXを取り扱う複数のベンダのなかで、SaaSライセンスを用いながらAmazonが提供するAWS(Amazon Web Service)上で稼働させることが可能な「SuperStream-NX for AWS」の提案を行った株式会社日立システムズが選択された。

導入効果

ノンカスタマイズな仕組みを快適なレスポンスで利用可能に

アイ・アール債権回収 丹羽氏

現在は新たな財務会計および人事システムの統合基盤としてSuperStream-NXがAWS上で稼働しており、日々の仕訳や月次決算処理をはじめ、人事情報の管理など基本機能を中心に利用されている。実際にAWS上の管理画面を見ながら、稼働時間の変更なども佐藤氏が直接行っているという。

なお、会計データは過去5年分を新たなシステムに移行しているが、日立システムズの協力もあって移行作業もスムーズに行うことができたとそのサポート力を評価する。ちなみに、今回は同社の仕様に合わせてカスタマイズは行われておらず、今後バージョンアップがあった場合でも問題なく適用できる環境を整えている。

「不透明な部分も多いIFRSなど、新たな基準が今後も適用されることが考えられます。そんなことがあっても、カスタマイズなしの状態であればパッチの適用などの運用管理も容易。だからこそカスタマイズせず使うことを前提に考えました」(佐藤氏) 今回新たにAWS上のサービスを利用した際の感想について佐藤氏は「レスポンスに関しては問題にならないくらい快適です。インターネットを介して利用しているという感覚はまったくありません」と高く評価する。

「手元にサーバがないのに、従来と変わらず日常業務に支障なく移行できたということが大きなメリットだと考えています。サーバルームにサーバを設置していた頃であっても、リモートアクセスでサーバ内にログインするのが普通です。それとなんら変わらないという印象ですね」(佐藤氏)。

また、経理部門のメンバーにとっては初めて使用する製品であるが、導入期間中に慣れてきたことで今では違和感なく使えているという。「以前の製品と比べて若干差異はありますが、画面表示が大きくなって、以前よりも見やすくなったという印象です」と丹羽氏は評価する。

ただし、今回からは新たに経費精算を従業員自ら行える環境を整備したことで、導入直前には問い合わせが殺到した時期もあったと振り返る。 「マニュアルを作って配布しましたが、人によっては月に1度程度しか利用しないため、慣れてもらうまでには時間が必要でした。今は問い合わせも落ち着いており、以前はまとめて専任の担当者が入力していた経費精算が誰にでもできるようになったのは大きいですね」と佐藤氏。なお、社外からのアクセスはセキュリティの観点から厳格に制限されている。

コスト効果については、保守費用を含めたトータルコストが大幅に削減でき、以前のシステムを使い続けた場合と比べても9割程度のコストで済んでいると佐藤氏は驚きを隠せない。

今後の展望

人材育成へのさらなる活用と経理業務の効率化を加速

今後について関口氏は「これからより一層、教育や研修など人材育成の部分に注力していく必要性を感じています。過去の研修履歴や教育系の登録履歴などをしっかり把握し、社員教育の基礎データとして仕組みを積極的に使っていきたいと考えています」と語る。また、丹羽氏もSuperStream-NXが持っている機能をさらにフル活用し、経理業務のさらなる効率化にも取り組んでいきたいと語っている。

最後に、クラウドやSaaSに関するセキュリティに不安を持っている方に対して「サーバの場所が社内か社外かの違いであって、セキュリティを強固にするのか穴だらけにするのかは構築する側の考え方一つで決まります。例えAWS上の仮想空間を利用しても、自社と同じようにセキュリティ対策をしていくのは自分たちだということをしっかり意識していただければ、クラウドはとてもオススメだと考えています」と佐藤氏にアドバイスいただいた。

システム概念図

パートナー情報とコメント

AWSを活用した最適なクラウドソリューション

アイ・アール債権回収様ではクラウド化に積極的に取り組んでおられ、低価格で柔軟性の高いクラウド基盤AWSを活用した当社ソリューション『SuperStream-NX for AWS』に高い評価を頂き、短期間での導入を実現されました。 導入中は多大なご支援を頂き有難うございました。

今後も良きパートナーとして御社をサポートして参ります。
(株式会社日立システムズ 産業・流通情報サービス第一事業部 高玉 是孝氏)

お客様情報

会社名 アイ・アール債権回収株式会社
本社 東京都千代田区麹町3-4
URL http://www.irservicing.co.jp/
従業員数 158 名(2014年4月1日現在)
事業内容 金融機関などから特定金銭債権の委託や譲渡を受け、
その債権に関する管理回収を行う

※本導入事例に記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。