日本の会計・人事を変える。”もっとやさしく””もっと便利に”企業のバックオフィスを最適化。

BiTherb Co., Ltd.様

仮想通貨取引に必須である『分別管理』を確実に実現管理会計機能とタイ税制対応を評価し、SuperStream-NX をクラウドで採用

BiTherb Co., Ltd.様

■事業内容 : その他

■ 暗号資産取引所
■ 暗号資産ブローカー
■ デジタルトークン取引所
■ デジタルトークンブローカー

導入の背景

タイに設立されたスタートアップ日本の強みを生かし仮想通貨市場に挑む

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ビットコインなど仮想通貨(暗号通貨)の市場は世界で急拡大している。ただ、紙幣など通貨全体の流通量に比べれば、微々たるものだ。将来の成長余地は大きく、関連ビジネスへの投資が盛り上がっている。それは日本だけでなく、世界的な動きである。ASEAN の中でも、日本と経済的なつながりの強いタイも同様だ。タイにおける仮想通貨は、数年前から着実に成長している。

こうした中で2018 年8 月、タイで仮想通貨取引所を運営する企業が設立された。日本で同じ事業を展開するビットポイントジャパンと、タイでマッサージやスパなどの店舗を多数展開する現地企業、ASIA HERB ASSOCIATION BANGKOK CO.,LTD. が合弁で設立したBiTherb Co., Ltd.(以下、ビターブ社)である。「タイでは、仮想通貨の仲介業にはライセンスが必要です。当社が認可を得たのが2019 年1 月31 日。認可から半年以内にタイのSEC の現地実査を経たうえで運営を始めなければいけないので、6 月くらいにはサービスを開始したいと考えています」と、ビターブ社のCFO & Director を務める但野和博氏は話す。タイでは2018 年に、デジタルアセットビジネスに関する勅令が施行された。これに追随できない仲介事業者がいくつか撤退したが、長い目で見れば市場の健全化が促される。仮想通貨市場は、これから本格的な成長期に入ると関係者は期待している。但野氏によると、タイにおける同業者の数は4、5社程度。すべて現地資本であり、外資系初の認可を得たのがビターブ社だ。“ 日本品質” を前面に押し出しながら、ビターブ社は成長を目指すという。「仮想通貨取引を支えるシステムは、ビットポイントジャパンのものを活用します。日本に置かれたシステムを、タイから国際ネットワーク経由で使う形です。同社は日本で9番目に金融庁認可を受けた企業。日本では仮想通貨の流出などの事故がいくつかありましたが、ビットポイントジャパンはそうした問題とは無縁です。タイの方々にこの信頼性をアピールしつつ、知名度を高めお客様を獲得していきたい」と但野氏は考えている。

システム選定と導入

信頼性やセキュリティ、『分別管理』の確かさが選定の決め手

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ビターブ社を立ち上げるに当たって、但野氏は様々な準備に奔走した。会計システムの選定も重要項目の1つだ。実は、但野氏はタイで会計事務所を経営している。ビターブ社と会計事務所、「二足の草鞋」ということになる。2012 年にタイで会計事務所を立ち上げ、現地の会計、労務制度などに精通することから、ビターブ社への参画を打診された。もちろん、会計システムにも詳しい。「現地にもいくつかの会計システムがありますが、信頼性などの観点でやや不安がありました。日系の会計システムの中にも、タイ市場で利用可能なものもあります。一方で、私としてはクラウドの会計システムを使いたいと考えていました。こうした中で、最終的に選んだのが『SuperStream-NX』です」会計システムを検討する中で、但野氏は現地のシステムインテグレーターとも話し合いを重ねた。それが、Siam System Consulting Co., Ltd.(以下、サイアム社)である。サイアム社はタイを始めとしたASEAN 地域に進出している日系企業への、会計業務のサポートから会計システム導入までを得意としており、SuperStream-NX の販売パートナーでもある。「サイアム社は会計に関する知識が豊富で、タイの会計・税務制度にも詳しい。同社がSuperStream-NXのパートナーであるという点は、大きな判断材料でした。もちろん、SuperStream-NX そのものの仕組みや機能などについても十分検討しました。そこで感じたのは、対応範囲の広さです。機能が豊富で、特に『分別管理』がしっかりしている。取引所という事業の性質上、『分別管理』は極めて重要です」金融商品を扱う事業者にとって、『分別管理』は必須の仕組みだ。顧客が預けた資産を守るために、事業者は自らの資産と顧客の資産を厳格に区分して管理する必要がある。その実態評価は、当局による監査でも重要なポイントだ。また、事業者は当局に定期的に報告する義務がある。SuperStream-NX 統合会計には管理会計で活用できる『セグメント管理機能』が標準で提供されている。勘定科目や補助科目、部門、取引先の他、事業、地域、製品など、業務内容や目的に応じてさまざまな管理項目を設定しておくことで、セグメント別の詳細な分析を可能にする機能だ。ビターブ社ではこのセグメント管理項目に『分別管理』を行うためのデータを登録し、自らの資産と顧客の資産をきっかり区別した管理を行っている。他の製品を見比べた上で、適切かつ確実な『分別管理』や報告書式の作成ができること、セキュリティなどの観点から、但野氏はSuperStream-NX を高く評価した。

SuperStream-NX がタイのVAT(付加価値税)とWHT(源泉徴収税)に対応している点も大きい。SuperStream-NX は標準機能として、VAT とWHTの税務申告時に必要となる明細データやレポートを出力する機能を提供している。また多言語・他通貨対応であり、タイ語、バーツにも対応している。ビターブ社社内でSuperStream-NX(クラウド版)が動き始めたのは2019 年2 月。当初は財務諸表作成などに関わる機能などを中心に導入して、リードタイムを短縮。順次、活用する機能を拡張している。仮想通貨仲介サービスの開始まで、時間的な余裕がないことから段階的なアプローチを採用した。その過程において、特に工夫したポイントは税務申告との連動だ。タイでは、月次での税務申告書提出が求められる。但野氏はサイアム社の開発チームに専門的な見地から助言をし、サイアム社はタイでの税務申告書提出に必要な機能を開発した。SuperStream-NX ではその機能を統合会計の標準機能として実装している。

導入効果

決算リードタイムの短期化が可能クラウドでの簡単な情報共有も魅力

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SuperStream-NX を使い始めてから日が浅いが、但野氏は効率的な会計業務のサポートに加えて、短期での決算ができることにも期待を寄せている。「いまのところ、月次決算を翌月7 日ごろに親会社に報告しようと考えています。リードタイム1週間ですが、SuperStream-NX を使えば月末に締めた後、翌月の1日か2日には決算を出すことが可能だと考えています。タイでは月次決算に1カ月程度かかるのが普通ですから、相当スピード感があります」SuperStream-NX の使い勝手については、若干の課題があったようだ。ビターブ社の従業員は10人ほどで、ほとんどが現地の人たちである。その中で、日常的にSuperStream-NX を操作するユーザは2 人で、いずれもタイ人。タイで一般的に使われている会計システムは、日本とは異なる会計管理の思想に基づいて作られているため、当初はタイ方式に親しんだ会計担当者には戸惑いがあったようだ。

「日本方式の会計システムに慣れた私とは異なり、現地のスタッフにはある程度のハードルがありました。しかし、2人とも毎日向き合っているうちに、いまではすっかり慣れています」ビターブ社としての立場ではなく、会計事務所の経営者として、但野氏はクラウドならではメリットにも注目している。「会計事務所の視点で考えると、クラウド上での情報共有の容易さは魅力です。会計事務所と顧客との間で、『現状はこうなっています』とか『この書類に記入してください』といったやり取りが簡単にできる。また、他のクラウドに比べて、SuperStream-NX に保存できるデータの容量が大きいこともうれしいですね」今回の導入プロジェクトについて、但野氏は「当社のニーズに柔軟に対応してもらった」と振り返る。SuperStream-NX が備えた柔軟性、サイアム社の対応力を評価しての言葉である。「『ソフトウェアの性質上、これはできません』といわれるとどうしようもないのですが、SuperStream-NX の導入ではそうした問題にぶつかることはありませんでした。その上で、サイアム社がこちらの要求を聞いて、その実現に向けて一緒に考えてくれました。当社のニーズを最大限
に反映する形で導入することができたと思います」

将来の展望

海外取引所との連携で利便性を向上させタイでの存在感を高めていく

設立間もないビターブ社にとって、追い風となる金融規制改革がある。日本では許可されていないので馴染みは薄いが、タイでは有価証券などを裏付けとするデジタルトークンの発行が認められることになった。デジタルトークンは株式や金、一般の通貨などの価値を持ち分に分割したもの。例えば、株式のデジタルトークンであれば、株式の時価分だけでなく、配当を受ける権利も持ち分に応じて確保することができる。「取引所では仮想通貨だけでなく、デジタルトークンも扱いたいと考えています。デジタルトークンは株式などの価値に支えられているので、比較的変動が少なく安定しています。取引所で仲介するものを増やしながら、タイにおける存在感を高めていきたいと思います」また、海外の取引所との連携も視野に入っている。ビットポイントジャパンとの協力はもちろんだが、他の国々の取引所との関係構築により顧客の利便性向上を図りたいと但野氏はいう。

「グローバルで提携先ができれば、互いに仮想通貨などを融通することができます。取引量が増えるので、売り手と買い手の双方にとって、より成約しやすい環境が生まれます」会計システムに関していえば、いまのところ財務会計機能の活用がメインだが、但野氏はSuperStream-NX の管理会計機能も使いこなしたいと考えている。「タイでは、仮想通貨コミュニティを対象としたセミナーなどがよく開かれています。今後、こうした場に出向いて、ビターブ社をアピールする機会も増えると思います。いずれは、こうしたチャネルごとのパフォーマンス管理などを、SuperStream-NX の管理会計機能を使って行うことになるでしょう」ビジネスの成長とともに、SuperStream-NX の活用度も高まりそうだ。

パートナー情報とコメント

Siam System Consulting Co., Ltd.

お客様情報

会社名 BiTherb Co., Ltd.
本社 622 Emporium Tower,F1. 14/8, Sukhumvit
Road Khlong Tan, Khlong Toei,
Bangkok 10110 Thailand
従業員数 約10 人(2019 年3 月現在)
事業内容 ■ 暗号資産取引所
■ 暗号資産ブローカー
■ デジタルトークン取引所
■ デジタルトークンブローカー

本導入事例に記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。