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クラウドERPとは - 種類と選び方、移行・導入の流れをわかりやすく解説

クラウドERPとは - 種類と選び方、移行・導入の流れをわかりやすく解説

 スーパーストリーム

インターネット環境の普及に伴い、クラウドサービスが急速に発展しています。
テレワーク導入などの働き方改革が進む昨今において、「クラウドERP」を活用することで業務効率化を図りつつ、多様化する職場環境に対して柔軟に対応する企業が増加しています。
そこで今回はクラウドERPの概要やメリット・デメリット、導入の流れについて解説します。
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■ERPとは何か?

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略で、直訳すると「企業資源計画」という意味になります。
企業の経営資源を有効活用するための手法や概念を表す言葉です。

もうひとつ、ERPは「統合基幹業務システム」という意味でも使われます。
企業内に分散する情報を一元管理・運用するためのシステムやソフトウェアを「ERPパッケージ」や「ERPシステム」と呼んだり、単に「ERP」と呼んだりします。情報システムにおけるERPは後者の意味を指す場合が多いです。

似た言葉として「基幹システム」がありますが、基幹システムが「会計」「人事」「営業」などの業務ごとで独立したシステムを表すのに対し、ERPは社内のシステムを統合することで情報を一元管理し、業務効率化を実現するシステムを表します。

最近は、クラウド上でERPパッケージの利用を可能にした「クラウドERP」が増えてきています。
AWS(アマゾンウェブサービス)の提供開始を機にクラウドの概念が浸透し、ERP業界においても着実に「クラウド化」が進んでいます。

※クラウドをはじめとするDX推進の流れについては、以下の記事をあわせてお読みいただくと、より理解が深まります。
https://www.superstream.co.jp/column/t-2025hinder

■ERPはセキュリティを高める必要がある

様々な情報が集約されるERPは情報漏えいに対するリスクが伴うため、セキュリティを高めなければなりません。

従来のERPで主流となっていた「オンプレミス型」ではサーバーやネットワークを自社内で構築するため、構造が複雑化しやすい傾向にあります。
そのためバージョンアップに時間がかかることや、一時的に業務を停止しなければならない場合も多く、古いバージョンのまま使い続けることでセキュリティリスクをさらに増大させる一因となっているのです。

一方で近年は「クラウドERP」が注目を集めています。
クラウドERPとはクラウド環境で動作するERPを指し、自社内でサーバーなどのインフラを整備することなく利用できることが特徴です。クラウドERPではベンダーによって常に最新のバージョンが提供されるだけでなく、高度なセキュリティ対策が整備されている場合が多いため、クラウドERPの導入自体が自社のセキュリティを高めるひとつの方法となるでしょう。

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■クラウドERPでできること

近年ではクラウドサービスが急速に浸透しており、企業内のシステムの根幹を担うERPについても、クラウド化が実現することで従来の「所有」から「利用」にシフトした柔軟な活用が可能となります。
サブスクリプションや従量課金制の料金体系が多く、自社の利用形態に合ったサービスを選びやすいことも特徴です。

■クラウドERPを導入するメリット

クラウドERPを導入することで得られるメリットは以下のとおりです。

  • 低コストかつ導入スピードが早い
    クラウドERPの場合には自社のサーバーではなくインターネット上のクラウド環境で動作するため、
    導入にあたって自社のインフラを整備する必要がなく、導入時のコストやスピードの大幅な削減が期待されます。
    自社内の保守、管理作業が不要となるため、ランニングコストの削減や生産性向上にも貢献するでしょう。

  • リモートアクセスが可能
    クラウドERPはクラウド環境で利用するため、インターネット環境さえ整っていれば外部のPCやスマートフォン、タブレット端末を用いてどこからでも利用可能です。そのため近年増加する在宅ワークやリモートワークでも利用ができ、様々な職場環境に柔軟に対応できるという強みがあります。

  • アップデートやバックアップ作業が不要
    オンプレミス型のERPとは異なり、クラウドERPの場合はベンダー側がアップデート作業を行うため、ユーザーである企業側は常に最新のサービスを利用できます。ベンダー側で定期的に自動バックアップを作成されるサービスが多く、運用面においても大きなメリットを享受できるでしょう。

■クラウドERPのデメリットは?

様々なメリットを持つクラウドERPですが、以下のようなデメリットも考えられます。

  • インターネット環境が必須
    インターネット環境さえあればどこでも利用可能ですが、裏を返せば通信環境が確保できなければ利用できません。
    災害時やシステム障害などによって通信環境が遮断されてしまうと、業務を中断せざるを得ないケースも考えられるでしょう。

  • ベンダーへの依存度が高い
    クラウドERPの場合には自社でのインフラ整備やメンテナンス作業が不要であるため、相対的にベンダーへの依存度が高まります。したがってシステム障害などが発生した場合にも自社では復旧作業が行えず、ベンダー任せとなってしまいます。

  • カスタマイズ性
    クラウドERPによってカスタマイズの自由度は異なりますが、オンプレミス型のERPに比べるとカスタマイズ性は劣るケースが一般的です。
    独自性の高いERPが必要な場合は、クラウドERPでは対応しきれないケースもあるでしょう。

 

■クラウドERPの種類と選び方

クラウドERPにはいくつかの種類が用意されており、それぞれの企業の利用形態などによって最適解は異なります。
以下ではクラウドERPの種類や実務における選び方のポイントを解説します。

・クラウドERP3つの種類がある

クラウドERPには大きく分けると
「パブリッククラウド型」「プライベートクラウド型」「ハイブリッドクラウド型」
の3種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。


  • パブリッククラウド型
    パブリッククラウド型とは、オープンな環境で大衆向けに作成されたERPを指します。
    パッケージ化されたサービスをすぐに利用でき、バージョンアップなどの作業が不要であるため、手軽に利用を開始することが可能です。
    一方で、業種を問わず不特定多数のユーザーが利用しやすいよう、独自性を抑えた定型的なサービスとして設計されることが多いため、ユーザーによるカスタマイズ性は低くなります。

  • プライベートクラウド型
    プライベートクラウド型とは、自社で構築したクラウド環境内で利用するERPを指します。
    自社専用の環境で動作するためカスタマイズ性が高く、現況の社内システムに近づけやすいというメリットがあります。
    しかし自社専用のクラウド環境を構築するため初期費用がかかり、セキュリティ対策やメンテナンス作業も自社で行わなければなりません。


  • ハイブリッドクラウド型 
    ハイブリッドクラウド型とは、パブリッククラウド型やプライベートクラウド型、オンプレミス型を組み合わせて利用する形式であり、それぞれの利点を活かしたERPシステムの活用方法を指します。
    たとえば機密性や独自性の高い業務についてはオンプレミス型やプライベートクラウド型を利用し、それ以外の業務ではパブリッククラウド型を用いるなどの使い分けが有用でしょう。ただし複数の環境を用意する必要があるため、追加のコストがかかりやすいことや、業務フローの管理が煩雑になるなどのデメリットがあります。

・自社に合ったクラウドERPの選び方

クラウドERPを選ぶ際のポイントとしては、
「コスト」「社内業務との適合性」「ベンダーの信頼度」などの観点を重視してください。

 
  • コスト
    まずは導入コストやランニングコストに関して、製品間で比較を行いましょう。クラウドERPの場合には初期費用がかからないケースが多いですが、製品によっては導入費用が必要な場合もあり、毎月のランニングコストに関する料金設定も様々です。コストを検証する際には外部に支払う費用だけでなく、自社での作業が発生する場合には人件費も含めて検討することが重要です。

  • 社内業務との適合性
    現在の社内業務との適合性のチェックも必ず行っておきましょう。適合性が低いとカスタマイズが必要な箇所が増え、ERPの運用を軌道に乗せるためにより多くの時間を要することとなります。スムーズにクラウドERP導入を進めるには、できる限り既存の業務フローに適合する製品を選択するのが望ましです。

  • ベンダーの信頼度
    さらにクラウドERPにおいてはベンダーへの依存度が高いため、ベンダーの信頼性についても確認が必要です。製品を選ぶ際にはセキュリティ対策やメンテナンス、サポート体制、緊急時の対応などに関してベンダー側へ確認し、信頼できるサービスを選ぶようにしましょう。

■クラウドERPを導入するまでの流れ

クラウドERPを導入する場合には、下図のようなステップを踏むようにしましょう。



  • ステップ1
    まずは解消すべき自社の課題を抽出し、ゴールとなる目標を設定することが重要です。
    クラウドERPの導入自体が目的とならないように注意しましょう。

  • ステップ2
    導入目標を定めたあとは自社の業務フローについて重要度を分け、導入後も維持しなければならない業務や機能を精査してください。

  • ステップ3
    実際に導入するクラウドERPを選定する際には、ステップ2の重要度の高い機能を満たすサービスを優先的に選定し、
    トライアル期間を有効に活用して自社の業務フローにフィットするものを選んでください。

  • ステップ4
    導入後は社員に対して定期的に研修を行い、クラウドERP導入による効果を最大化するように努めましょう。

■クラウドERPの特性を理解し、自社に合った製品を選びましょう

クラウドERPは製品ごとに種類や料金体系、強み・弱みなど様々な違いがあります。
「クラウドERPの導入」を目的とするのではなく、導入によって「自社の課題を解消すること」を目標とし、その手段となる製品を選ぶようにしましょう。

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■税理士コメント

ERPにも「クラウド化」の波が着実に押し寄せている一方で、複雑化した企業の基幹システムが老朽化し、レガシーシステムと化していることが問題視されています。
クラウドERPへの移行は、単に社内の基幹システムをクラウド環境へ移すだけでなく、複雑化して非効率の温床となったシステムを一新し、業務フローそのものを見直す良い機会となるでしょう。

特にグローバル化によって迅速な対応が求められる国際社会においては、基幹システムの効率化によって生産性を高めることは極めて重要です。企業のさらなる成長のための一手として、クラウドERPの導入についても前向きに検討してみてはいかがでしょうか?

【税理士プロフィール】
服部大税理士事務所/合同会社ゆとりびと 代表社員
税理士・中小企業診断士 
服部 大

2020年2月、30歳のときに名古屋市内にて税理士事務所を開業。
平均年齢が60歳を超える税理士業界の数少ない若手税理士として、顧問先の会計や税務だけでなく、創業融資やクラウド会計導入支援、補助金申請など、若手経営者を幅広く支援できるよう奮闘している。
執筆や監修業務も承っており、「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えられる専門家を志している。
事務所ホームページ:https://zeirishihattori.com

■公認会計士コメント

オンプレミス型ERPを導入していた企業では、独自のシステムを適時にアップデートする必要があることから、IT部門に大きなランニングコストを投入していることでしょう。しかし、暗号資産の台頭やキャッシュレス決済の流れ、また電子帳簿保存法の施行など、今後もIT化の流れは加速するものと考えられます。

環境に合わせたERPシステムの更新には、当該更新にかかる費用の他、処理を誤った場合に様々なシステムに影響が波及することから、多くのリスクを孕んでいると言えます。一度導入したシステムの入れ替えには多大な労力を要しますが、長期的なリスク回避のために、改めてその導入を検討してみても良いかもしれません。

【公認会計士プロフィール】
公認会計士・税理士
藤沼 寛夫

2014年:EY新日本監査法人
2018年:東京共同会計事務所
2019年:藤沼公認会計士事務所 開業
2020年:アカウントエージェント株式会社 設立

アカウントエージェント株式会社:https://a-agent.co.jp

 
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