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簿記検定試験、新収益認識基準の内容から出題へ

 中田 清穂(なかた せいほ)

日本商工会議所の簿記検定試験、新収益認識基準の内容から出題へ


2020年9月18日に日本商工会議所のサイトで、以下のような公表がされました。

2021年4月1日以降に施行する試験については、収益の計上方法等を具体的に定めた「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識基準」と略す)が日本基準採用企業を対象に2021年4月1日から本格的に適用されるため、その内容を反映した(主として1級、2級)新しい区分表に基づいて出題することとなります。
日本商工会議所Webサイト(【簿記検定試験】):https://www.kentei.ne.jp/31515

2021年4月1日から強制適用となる「収益認識基準」は、以下のような特徴があります。

  1. 注文書や契約書の金額に基づいた売上計上ができないケースがある。
  2. 売上の計上タイミングが、出荷基準ではなく、検収日基準が原則となる。
  3. 製品販売、保守およびカスタマイズなど、同じ顧客に複数の財またはサービスを提供する場合、
     各財・サービスの計上金額を、契約書や注文書の明細金額ではなく、社内の標準価格表などに基づいて
     計算しなおすことが必要になるケースがある。
  4. 割賦販売の「延払基準」による売上計上が禁止される。
  5. 販売してから代金回収が完了するまでの期間が長期にわたる場合、販売代金に含まれる「金利相当額」を計算し、
     その額を売上高から控除して、毎期「受取利息」として計上する。
  6. キャッシュバックキャンペーンなど、特定の製品等に対する販売奨励金などは、販売費ではなく、
     売上高から直接控除となる。
  7. 通信販売などで返品が予想される場合には、販売時の売上高から、将来の返品額を見積もった額を控除して計上する。
  8. 卸売業など、特に加工することもなく、仕入れた商品を販売する形態のビジネスで、
     自社で販売価格を決めることもできず、在庫リスクもないようなケースでは、
     売上高と売上原価の両建て計上はできず、従来の粗利相当額だけを売上高として計上する。
  9. 有償支給の売上計上が禁止される。

ざっとあげただけでも、従来とは全く異なる処理や手続きが必要になります。

「収益認識基準」を採用して会計処理をする会社は、主に、上場企業や会社法上の大会社になります。
非上場の企業でも採用することは可能ですが、あえて従来の会計処理を変える会社は少ないと思います。

日本商工会議所の簿記検定のサイトでは、「他団体との試験の違い」という項目で、以下のような説明があります。

企業規模や業種、業態などに関係なく、ビジネス実務に直結する知識やスキルを重視し、企業が必要とする人材の育成を目的に実施しており、多くの企業から高い評価と信頼を得ています。
日本商工会議所Webサイト(検定試験のご案内):https://www.kentei.ne.jp/guide
 

重要なポイントは、「企業規模に関係なく人材育成を目的としている」ということです。
日本の会社は約400万社と言われています。そのうち、上場企業や会社法上の大会社は、たかだか1万社程度です。

ほんの一握りの会社しか使わない会計基準を、検定試験の出題範囲にするとどうなるでしょうか。

検定試験を勉強し、見事2級や1級に合格した経理担当者が、従来通り会計処理をしている実務で混乱をしないでしょうか。
また、上記のような特徴を持つ「収益認識基準」と従来の会計処理との違いを経理部長や社長に説明しても、経理部長や社長に理解されないどころか、正しい知識のない者だと判断されて、不当な評価を受けることにならないでしょうか。

いろいろな問題が発生しそうな気がしています。
今後の動向を注視していきたいと思います。

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