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感染者数と経営指標

感染者数と経営指標

 中田 清穂(なかた せいほ)

なかなか、新型コロナウイルスの感染者数が収まりません。
毎日の報道でうんざりしている方も多いと思います。
最近は、「重症患者数」も合わせて報道されるようになりました。

本論に入る前に念頭に置いていただきたいのは、ここでは、今の国や自治体における新型コロナウイルス対策の是非については触れないということです。

まず、最も注意すべきは、「死亡者」です。
そして病床のひっ迫を避けるためには「重症患者数」にも注意が必要です。
感染しただけでは、ほとんどの人が軽症や無症状で終わります。
それなのにどうして報道では「感染者数」を主に伝えているのでしょうか。
それは、感染者数と重症患者数に関連があり、さらに重症患者数と死亡者数に関連があるからです。
感染すると、ある程度の割合で重症化します。
重症化すると、ある程度の割合で死亡します。
したがって、重症化や死亡を抑えるためには、重症化に影響を与えている感染者数をウォッチして、抑えていくことが重要だという判断が生まれます。

「指標」という言葉で表現すると以下のようになります。
「感染者数」は、「重症患者数」や「死亡者数」の「先行指標」です。
逆に、「重症患者数」や「死亡者数」は、「感染者数」の「遅行指標」です。
「先行指標」は「遅行指標」の原因となるものですから、「原因指標」ともいえるでしょう。
そして、「遅行指標」は「結果指標」といえるでしょう。

何が言いたいかというと、目的は「遅行指標」になりますが、目標は「先行指標」にしなければならないということです。
「重症化や死亡を抑える」ことが目的です。
そのために「感染者数を抑える」ことを目標にしているのです。

みなさんの会社における「経営指標」は何でしょうか。
多くの会社が「経営指標」として使っているのは、「売上高」や「利益」あるいは「ROE」などではないでしょうか。

しかし、これらはみな「遅行指標」です。

エビデンスを「紙」ではなく「電子情報」として保存することのメリットは多くあります。営業や製造などの現場部門が様々な活動を行った「結果」が「財務情報」になるので、「売上高」や「利益」あるいは「ROE」などの「財務情報」は、「結果」として算出される指標です。
したがって、これらの「遅行指標」を日々の現場部門での「目標」にすることは適切ではありません。現場の活動に直結しないからです。
営業現場に「売上を増やせ」という指示は的確ではないということです。
大切なことは、売上に「影響を与えている」指標を見つけ出し、与える影響が大きい指標ほど、優先的に「目標」にするべきなのです。

具体的には、顧客に訪問する回数が増えると、ある程度の割合で売上が増えるのであれば、「顧客訪問回数」は、売上に対する「先行指標」であり、営業現場での「目標」として的確だと言えるでしょう。
そうであるならば、売上を増やすべき時には、「もっとお客様に会いに行け」という指示の方が、「売上を増やせ」というより的確だと思います。

多くの日本企業では、「経営が望む財務指標」と「現場が目標としている指標」との関連性を把握していません。
このままでは、予実管理の意味をなくし、いつまでたっても事業計画が達成できない状況を続けることになるでしょう。
経営が現場部門に対して、的確な指示を出せないからです。

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