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令和3年度の税制改正とクラウド会計ソフトの関係

 中田 清穂(なかた せいほ)

令和3年度の税制改正大綱が、2020年12月21日に閣議決定されました。
いろいろなサイトでその内容が解説されていますね。

特に電子帳簿保存法については、2015年9月に「大幅」な改正が行われて、その後数度にわたって改正が続けられてきました。
しかし、2021年度の税制改正では、「大幅」な改正というより、後述するように「抜本的」な改正であることが謳われています。
「大幅」ではなく「抜本的」と言える最大のポイントは、エビデンスを「紙による保存」ではなく「電子保存」をするために、税務署への承認申請手続きがいらなくなってしまったという点でしょう。
いくつかの要件を満たせば、どんな会社でも、きちんと電子保存をすれば、「紙」を捨てても良いことになるのです。

私のこのコラムでは、その要件などについて詳しい説明はしません。
ここでお話したいのは、この電子帳簿保存法の「抜本的改正」には、「クラウド会計ソフト」が絡んでいるということです。

2020年12月21日に閣議決定された「令和3年度税制改正の大綱」には、「クラウド会計ソフト」という言葉は出てきません。
しかし、「令和3年度税制改正の大綱の概要」という文書には、「クラウド会計ソフト」という言葉が、1か所だけ使われています。
その部分を以下に引用します。

納税環境整備
(中略)
 ○ 電子帳簿等保存制度の見直し等
・経理の電子化による生産性の向上、テレワークの推進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、帳簿書類を電子的に保存する際の手続を抜本的に見直す。(後略)

(下線は筆者)
みなさん、確認できましたか?
まず、「抜本的」という言葉がありますね。
それから、「クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため」と表現されていますね。
すなわち、帳簿やエビデンスを電子保存する手続きを「抜本的」に見直す目的のひとつが、「クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資する」ことなのです。

もはや税制改革を検討する上でも、会計ソフトのクラウド化は、常識になったと言えるでしょう。

さらに、自民党のサイトにある「令和3年度税制改正大綱」という文書には、「クラウド会計」という言葉が、3か所で使われています。
6ページ目:
昨今のクラウド会計ソフトの普及等も踏まえた適正な記帳の確保に向けた方策を検討していく。

13ページ目:
クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、国税関係帳簿書類を電子的に保存する際の手続きを抜本的に見直す。

20ページ目:
記帳水準の向上は、適正な税務申告の確保のみならず、経営状態を可視化し、経営の対応力を向上させる上でも重要である。近年、普及しつつあるクラウド会計ソフトを活用することにより、小規模事業者であっても大きな手間や費用をかけずに正規の簿記を行うことが可能な環境が整ってきていることも踏まえ、正規の簿記の普及を含め、個人事業者の記帳水準の向上等に向けた検討を行う。

(下線は筆者)
自民党の文書の方が、より丁寧に説明されている印象を受けます。

クラウド会計ソフト等の活用は、記帳水準の向上に資する。そして、記帳水準が向上すれば、適正な税務申告の確保のみならず、経営状態を可視化し、経営の対応力を向上させる。
さらに、クラウド会計ソフトを活用することにより、大きな手間や費用をかけずに正規の簿記を行うことが可能な環境が整う。
ということが書いてあるのです。

このことは、自前の会計システムを持つこと(オンプレミス)と比較して、クラウド会計ソフトを利用することに重要なメリットがあることが、国家レベルで認められるようになったことを意味するのだと思います。

クラウド会計ソフトの利用に二の足を踏んでいる会社がまだまだあるとの話も聞きますが、そろそろ正しい情報で判断をする時期に来ているのではないでしょうか。
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