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どうする?RPAが導入できた後

 中田 清穂(なかた せいほ)

最近、RPAに関連するセミナーやイベントへのご依頼が増えてきました。
パネルディスカッションのモデレーターもやりました。
パネルディスカッションを開催する前には、通常「事前の打ち合わせ」をします。
私の場合、事前打ち合わせをしても、当日のやり取りやその中での思い付きで、事前打ち合わせ通りにならないことがとても多くパネラーや主催者を困らせます。

あるパネルディスカッションの事前打ち合わせで、あるパネラーの方(上場会社経理部長)から、
「弊社経理部門では、すでにRPAでロボを40~50体作って稼働していて、かなり経理業務の自動化が実現できました。そして、RPAによる自動化をさらに促進した後に経理部門での業務をどうするのかを検討するフェーズに入っています。したがって、パネルディスカッションでは、RPAの導入が成功した後で、経理業務をどうしていくのかについて、他社のパネラーのご意見を伺う形にしていただくとありがたいです。」

RPAの導入については、今や、情報収集を始めたばかりの会社も多い反面、相当程度導入が進んでいる会社も出始めていて、いわゆる「二極化」現象になっていると実感します。

RPAでの業務の自動化が進んだ後について、パネルディスカッションで出た意見は、以下のようなものでした。

  1. 少なくなった人員で、減った人数分だけは考えることができる体制を作りたい。
  2. 今後はロボのメンテナンスやRPAの進化に人間が対応していく必要がある。
    作ったロボを管理するのは人間だから。
  3. 会計基準への対応する際に、従来は、基準の要求通りに処理するという「機械的な作業」であった。
    しかし、RPAで機械的な作業が置き換えられるので、自分のビジネスの実態を踏まえて判断していくことが大事。
    ロボットによって削減できる時間を,考え・判断するような仕事に充てていきたい。
  4. 少子高齢化による人手不足や海外子会社のグリップを強めるなど、経理業務の効率化やガバナンスについて考える部隊として組成し直す。
  5. RPAで定型作業は自動化して、経営層に向けた適切な情報提供を行いたい。
    「過去の実績の集計」ではなくて「将来に向けた情報提供」を経営層に行っていければ良い。
  6. 新しい会計基準や税制改正に関する検討や、それを監査人や税務当局に対して明確に説明することはやはり人間でなければ対応できない。
    必要なのは「考える」ことのみならずコミュニケーション能力(協議・交渉)だ。

実に6名のパネラーをそろえたパネルディスカッションだったのですが、パネラー全員のレベルが高く、RPAの導入も成功した企業ばかりでした。
大変貴重な内容で有益だと思います。
パネルディスカッションでのパネラーの意見で共通しているのは、誰も「費用対効果」を強調する人がいなかったということです。
言い換えれば、今回のパネラーの会社では、経理業務の自動化による「費用削減」を目的としている会社はなかったということです。
「ガバナンスの強化」とか「将来予測情報の策定」などのために、「人間でなくてもできること」はできるだけ自動化しているのです。
今できていないことで「人間でやりたい」ことは何か、それは会社によって異なるようです。
しかし、「やりたい」けど、決算業務・経理業務に忙殺されてできない、そんな状況を打破するために、RPAを利用している会社ばかりだったと言えるでしょう。

今年のこの私のコラムは「RPA特集」でした。
「RPA特集」は今回で最終回とします。
この特集の初めから、「どうすればRPAの導入が成功するか」を中心に解説してきました。また、どうして失敗するのかについても、私の経験や考えを説明してきました。
そこから感じ取られるのは、「費用対効果」を目的とするRPAプロジェクトはとん挫・失敗し、「生産性向上」と「人間の業務転換」を目的とする会社が成功しているということです。
「費用対効果」と「生産性向上」は相互に関連しますが、本質が全く異なります。
この二つを混同すると、目的が不明確になり、プロジェクトは失敗します。

RPAの話から、目的志向の重要性まで、いろいろなお話ができて良かったかなと自己評価しています。そして、RPAはまだまだ進化しています。またRPAユーザーもどんどんレベルアップして成長しています。
これからも、RPA導入の現場から目を離さないようにしようと考えています。
来年もこのコラムを、どうぞよろしくお願いいたします。
来年は、明るく楽しい経理部門になりますように!!

経理・財務部門が抱える課題を解消し、現場から経営層までを強力サポートする方法とは?

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