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日本企業の経理部門になかなかRPAが導入できない原因

 中田 清穂(なかた せいほ)

私がRPAを研究対象にしたのは、2年前の2017年2月のことでした。
当時、日本企業への導入が本格化しているのに、経理財務部門にはほとんど導入されないことから、一般社団法人日本RPA協会(以下、RPA協会)の方が、一般社団法人日本CFO協会を訪問されて協力を求められた際に、同席したことが始まりです。
私は、同席した時に初めてRPAなるものを見ました。
RPA協会の方から当時の導入状況やRPAの機能の説明を聞きました。
その際に私が感じたことが2つありました。
一つは、「この説明では、経理財務部門の方々は、ほとんど理解できないのではないか」ということです。
もう一つは、「このRPAは、必ず経理財務部門にとって相当程度の効果があるだろう」ということです。

この2年間で、RPA関連の講演を行って、1000人以上の方々に聴いていただきました。
そしてその後、RPA体験研修会に参加された方々も少なくありません。
RPA体験研修会に参加されると、RPAの試供版が使えるようになるものもあり、実際に試供版を試した方も少なくありません。

しかし、講演でRPAの効果などを理解して、実際に体験したにも関わらず、最終的には、RPAの購入に至らず、導入できないままになっているケースが非常に多いようです。

これはなぜなのか。
この2年間いろいろ考えてみました。
理由はいくつかあるように思います。

時間がない

四半期ごとに制度決算があり、また月次でも管理目的で決算をしているので、RPAの試供版が利用できるようになっても、実際にロボを作成する時間がないということです。

しかし、時間がないという理由では、RPAに限らず、他の事でも何かを変えたり、新しことを始めることができないのではないかと心配になります。

RPA購入の稟議が起こせない。

実際に購入するとなると、費用対効果を示す必要が出てくるようです。

RPAでロボ化する対象となる経理業務は、元々多額のシステム投資になじまない業務が多いと思います。そこに費用対効果と言われても困るのは当たり前だと思います。
しかし、RPAの目的は「コストダウン」だけではないと思います。
人間がいろいろ実施しているこまごまとした作業の一つひとつを、RPAでロボ化することで、「生産性が向上する」とか「効率が上がる」ということも重要な目的になると思います。
基幹システムから帳票をCSVでダウンロードしたり、そのCSVデータをエクセルファイルに読み込むとか、作成したエクセルをメールに添付して配信するなど、ちょこまかとやっている作業をロボがやれば、人間は現場に行ってコミュニケーションをしたり、現場の非財務数値を財務数値と関連付けるなど、人間が「考える」べきことに時間を使えるようになるでしょう。これは「費用対効果」では説明できません。

結局「変えられない」

実際に試供版を使って、RPAの機能がばっちり理解できて、その効果もきちんと説明できるようになって、「いざ導入」となると、「本当にRPAで経理業務を変えても良いのか」という不安と心配が膨らんで、「最後の一歩」というか「最終決断」がなかなかできないということもあるようです。
つまり「トライ&エラー」ができないということです。
そもそも経理業務には「トライ&エラー」自体がなじまないとは思います。
しかし、試せばよいのです。ダメなら直せばよいのです。
最悪でもやめればよいのです。
「そんな無責任な」と言われるかもしれません。
しかし、やり始めないと何も変えられないと思うのです。
ダメな時に影響が少ない作業からロボ化を始めればよいのだと思うのです。

少なくとも、RPAでできないことやリスクを並べ立てて、「やらない理由探し」をすることはやめた方が良いと思います。これは、「石橋をたたいても渡らない」と表現できるでしょう。
せっかくある橋を渡らない、使わないのですから、大変便利になる石橋を無駄にすることになります。
これでは、人間も組織も進歩しなくなるように思います。
短く、全体に影響の少ない、こまごまとした作業をどんどんロボ化することが、「使えるようになるコツ」ではないでしょうか。

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