日本の会計・人事を変える。”もっとやさしく””もっと便利に”企業のバックオフィスを最適化。

【令和4年4月改訂版】インボイス制度Q&Aのチェックポイントをわかりやすく解説

【令和4年4月改訂版】インボイス制度Q&Aのチェックポイントをわかりやすく解説

 スーパーストリーム

国税庁は令和4年4月に「インボイス制度Q&A」を更新。37の問いの改訂と5つの問いが追加されました。
本資料に掲載されている質問は全部で101個。
インボイス制度に関して寄せられた質問や疑問点をまとめ、解説している資料です。
本記事では、改訂と追加された内容を中心に、「インボイス制度Q&A」でチェックすべきポイントをわかりやすく解説します。

新規CTA

■令和4年4月改訂版「インボイス制度Q&A」の改訂・追加箇所まとめ

・改訂された質問一覧

令和4年4月に改訂された「インボイス制度Q&A」の質問項目をまとめました。
登録手続きの方法や期間といった基本的な制度の内容や、
適格請求書の記載事項や要件に関する質問など、37の項目が改訂されています。

適格請求書等保存方式の概要

問1

「適格請求書等保存方式」の概要

適格請求書発行事業者の登録制度

1 登録手続き

問2

登録の手続き(手続きの方法)

問3

登録通知(通知方法)

問4

登録申請から登録通知までの期間

問7

登録に係る経過措置(登録申請書の提出期限)

問8

免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合の扱い

問9

課税事業者として消費税の確定申告が必要となる期間(個人事業者の場合)

問10

簡易課税制度を選択する場合の手続等

問12

新設法人等の登録時期の特例

問13

登録の拒否

問17

登録の取消し

問18

適格請求書発行事業者が免税事業者となる場合

問19

登録番号の構成

2 公表等

問20

適格請求書発行事業者の情報の公表方法

問21

適格請求書発行事業者公表サイト

問22

適格請求書発行事業者の公表情報の変更等

Ⅲ 適格請求書発行事業者の義務等

1 総論

問25

適格請求書の様式

問26

手書きの領収書

2 交付義務の免除

問38

自動販売機及び自動サービス機の範囲

3 適格請求書の交付方法

問39

媒介者交付特例

4 適格請求書の記載事項

問43

適格請求書に記載が必要な事項

問47

適格簡易請求書の記載事項

問48

税抜価額と税込価額が混在する場合

問55

複数書類で適格請求書の記載事項を満たす場合の消費税額等の端数処理

問62

令和5年9月30日以前の請求書への登録番号の記載

Ⅳ 適格請求書等保存方式の下での仕入税額控除の要件

1 総論

問68

仕入税額控除の要件

2 請求書等の保存

問69

提供された適格請求書に係る電磁的記録の書面による保存

問71

仕入明細書等の記載事項

問74

仕入明細書において対価の返還等について記載した場合

問78

立替金

問79

口座振替・口座振込による家賃の支払

4帳簿の保存

問87

適格請求書等保存方式における帳簿に記載が必要な事項

5 経過措置

問89

免税事業者からの仕入れに係る経過措置

Ⅴ 適格請求書等保存方式の下での税額計算

問95

委託販売等の手数料に係る委託者の売上税額の計算

問96

委託販売等の手数料に係る受託者の売上税額等の計算

問97

課税期間をまたぐ適格請求書による売上税額の計算

問100

課税期間をまたぐ適格請求書による仕入税額の計算

・追加された質問一覧

令和4年4月の改訂で新たに追加された項目です。
適格請求書の記載事項に関する質問が3つ、税額計算に関する質問が2つ追加されています。

Ⅲ 適格請求書発行事業者の義務等

4 適格請求書の記載事項

問56

外貨建取引における適格請求書の記載事項

問58

端数値引きがある場合の適格請求書の記載

問63

登録日である令和5年10月1日をまたぐ請求書の記載事項

Ⅴ 適格請求書等保存方式の下での税額計算

問93

仕入明細書を受領した場合における売上税額の積上げ計算

問101

免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置を適用する場合の税額計算

■令和4年4月改訂版「インボイス制度Q&A」のチェックポイント

消費税法の改正などに伴って、上記のとおり改訂・追加された
「インボイス制度Q&A」につき、影響が大きいものをピックアップして解説します。

・「問7 登録に係る経過措置(登録申請書の提出期限)」について(改訂)

適格請求書等保存方式(インボイス制度)が開始される令和5年10月1日から登録を受けようとする事業者は、
原則として令和5年3月31日までに納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出する必要があります。
登録申請書は、税務署の窓口に書類を提出する方法のほか、e-Taxを利用しての提出も可能です。
また、郵送による提出も認められています。

なお、免税事業者が登録を受けるためには、原則として、
「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者となる必要があります。
ただし、登録日が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中である場合は、
課税選択届出書を提出しなくても登録することが可能です。


・「問8 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合の扱い」について(改訂)

免税事業者が、令和5年10月1日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受けた場合は、
登録を受けた日から適格請求書発行事業者となることができる経過措置が設けられていますが、
経過措置の適用期間が延長され、令和11年9月30日までの日の属する課税期間までは、
登録を受けた日から適格請求書発行事業者となることができることとされました。
従来は、課税期間の途中からの登録はできないとされていた期間についても、課税期間の途中から登録が可能になったことになります。

なお、経過措置の適用を受けて適格請求書発行事業者となった場合、
原則として、登録を受けた日から2年を経過する日の属する課税期間の末日までは、免税事業者となることはできません。

また、経過措置の適用を受けた場合、延長された期間においても登録を受けた日の属する課税期間中に
「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、その課税期間から簡易課税制度を適用することができます。

・「問26 手書きの領収書」について(改訂)

手書きの領収書も、適格請求書として必要な事項が記載されていれば、
適格請求書に該当し、仕入税額控除が認められます。
なお、必要事項は以下のとおりです。

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
 (課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
④ 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

小規模飲食店などの領収書は手書きで発行されることがありますが、
必要事項の記載がなければ仕入税額控除が認められません。注意しましょう。



・「問63 登録日である令和5年10月1日をまたぐ請求書の記載事項」について(追加)

インボイス制度が開始される令和5年10月1日以降、適格請求書発行事業者は、
登録日以後の取引について、相手方(課税事業者に限る)からの求めに応じて、適格請求書を交付する義務があります。

登録日をまたぐ期間の取引に係る請求書については、
登録日以後の課税資産の譲渡等について適格請求書を交付することとなります。
そのため、課税資産の譲渡等の対価の額や税率ごとに区分した消費税額等の記載について、
登録日前の課税資産の譲渡等に係るものと登録日以後の課税資産の譲渡等に係るものとに区分して記載することが必要になります。

この点において、登録日が令和5年10月1日(適格請求書等保存方式の開始日)である場合は、
登録日前後の課税仕入れが、買手にとっていずれも仕入税額控除の対象となることから、
登録日をまたぐ請求書を発行する場合であっても、登録日前後の課税資産の譲渡等を区分することなく、
請求書に記載して交付することも認められます。

・「問89 免税事業者からの仕入れに係る経過措置」について(改訂)

適格請求書発行事業者以外の事業者からの課税仕入れに関する経過措置(80%控除又は50%控除)の適用については、
売手から「書類」で交付された区分記載請求書の保存が要件とされていましたが、
区分記載請求書に係る電磁的記録の提供を受け、これを保存した場合についても、書類を保存した場合と同様に、
経過措置の適用を受けることができることになりました。

 
        新規CTA

 

■おわりに

インボイス制度の導入にあたっては、事前準備が大切です。
適切に対応していないと、自社だけでなく取引先に影響を与えることも考えられ、信用問題になる可能性もあります。
Q&Aを参照しながら、トラブルにならないよう、十分に知識を深めるとよいでしょう。

■公認会計士コメント

インボイス制度の導入まで1年半を切りました(2022年6月現在)。
事業者の登録受付も開始されており、制度開始までに残された時間はいよいよ短くなりました。
この制度は、難解で複雑であり、各事業者の処理負担もかなり増えることが予想されます。

そのため、制度開始前に自社と取引先の状況を把握し、事前に対応を進めることで、混乱を防ぐことができるでしょう。
確認のために「インボイス制度Q&A」が役立ちますので、目を通しながら、少しずつ準備を進めましょう。

なお、各税理士事務所は制度導入のために準備を進めています。
税理士と顧問契約をしている場合は、疑問に対して回答を示してくれるはずです。
わからない点については、気軽に質問してみましょう。


【公認会計士プロフィール】
石動 龍(いしどう・りゅう)
青森県八戸市在住。石動総合会計法務事務所代表。
ドラゴンラーメン店主。
公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。
読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。
2020年に地元でドラゴンラーメンを開業し、店主として自ら店にも立つ。
ワイン専門店vin+共同オーナー、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。
趣味はブラジリアン柔術(黒帯)と煮干しラーメンの研究。
著書に『会計の基本と儲け方はラーメン屋が教えてくれる』『公認会計士試験 社会人が独学合格する方法』『司法書士試験 独学で働きながら合格する方法』がある。

 
SuperStream製品についてご覧になりたい方は以下よりご確認ください。
※会計ソリューション案内はこちらより

新規CTA

関連記事