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売掛金の残高管理に関する留意点

売掛金の残高管理に関する留意点

 株式会社アクリア

株式会社アクリア、コンサルタントの伊藤です。

今回は、「売掛金の残高管理に関する留意点」について取り上げていきます。
売掛金の残高管理を取り上げた理由ですが、売掛金の残高管理を徹底することは、
請求漏れ、回収遅れ及び回収漏れを抑止し、延いては会社の資金繰りを安定させることができると考えられるからです。
所謂、「勘定合って銭足らず」では企業経営に大きな問題が生じるため、売掛金の残高管理は重要な業務の一つなのです。

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■売掛金とは

売掛金とは、顧客との契約から生じた債権その他の通常の取引に基づいて発生した営業上の未収金を言います。
そのため、売掛金残高とは未だ回収されていない売掛金となります。
また、未回収の債権には「未収入金」という勘定科目もありますが、営業活動で生じた債権は「売掛金」であり、
資産の譲渡など営業活動以外で生じた債権は「未収入金」となります。

■売掛金残高を管理するための3つの留意点!


(1) 顧客マスタ登録に関する留意点

(2) 入金処理に関する留意点

(3) 滞留売掛金に対する会計処理の留意点


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(1)顧客マスタ登録に関する留意点

顧客マスタとは、取引先に関する基本情報であり、顧客名、住所、電話番号、担当者、締め日、入金サイトなどが記載されます。例えば、誤った締め日が登録されてしまうと、請求書の発行遅れに繋がり、売掛金の回収に必要以上の時間がかかってしまう事もあります。また、誤った入金サイトが登録されてしまうと、催促が遅れ最悪の場合、売掛金の回収ができなくなることもあり得ます。
このような問題を回避するためにも、顧客マスタの正確な登録は、非常に重要な業務と言えます。

なお、一般的にERP(Enterprise Resources Planning)を導入している企業であれば、顧客マスタはシステム統一のマスタとなりますが、基幹システムと会計システムが別々のシステムで運用されているケース等は、メインマスタをどこに設定するか、サブマスタが保有するマスタの範囲等の定義づけが重要になります。

また、オペレーションに際してもメインマスタとサブマスタが自動連係しない場合には、両者の整合性を定期的にチェックする統制が必要となります。この辺りは個々の会社の方針や使用するシステムで大きく異なることから、今回は割愛させて頂きます。

  • 与信調査
    顧客マスタへ登録する前に取引先の与信調査をする必要があります。
    与信とは、取引先に対して信用を供与することです。
    売掛取引は代金の回収が後日となるため、回収が終わるまでは取引先を信用しなくてはなりません。
    そのため、取引先ごとに与信限度額を設定し、貸倒れを未然に防ぐフローが重要となります。
    与信限度額の設定については、帝国データバンク等の信用調査会社からの情報収集や、取引先が公開している財務諸表を利用して調査する方法があります。また、取引先の状況により与信限度額は変更する必要があるため、取引先の状況の定期的な把握と与信限度額の定期的な見直しが必要となります。

  • 顧客マスタの新規登録
    顧客マスタの新規登録については、一般的に担当部署からの申請に基づき経理部又は情報システム部等で登録をします。
    この際、担当部署から申請情報に基づき正確に登録する必要があるとともに、既に登録されている顧客ではないかという重複登録の回避チェックも必要となります。なぜならば、重複登録してしまうと当該顧客との取引履歴が分割され正確な残高を把握することが困難となる等、売掛金の残高管理が煩雑になると考えられるからです。
    重複登録の回避には、登録の前に既に登録されていないかチェックする仕組みを構築するとともに、「会社名の登録は、カタカナやアルファベットを半角で統一する」等の登録ルールを明確に定めることにより、
    「㈱アアア」と「㈱アアア」の重複した顧客マスタ登録を防ぐこともできます。

  • 顧客マスタ登録の変更
    登録済みの取引先においても社名変更、合併等により、登録している顧客マスタの内容を変更する必要が生じるケースがあります。社名変更や合併等に関する顧客情報に関しては、直接やり取りをしている担当部署が最も詳しいと考えられるため、日ごろから情報共有をし、変更申請が漏れないようにすることが重要です。

(2)入金処理に関する留意点

  • 売掛金の消込
    売掛金の入金処理は、売掛金を計上した際のデータに基づき銀行入金データとの突合作業を行います。
    複数の取引がまとめて入金されるケースや分割して入金されるケース、振込手数料を控除して入金されるケース等もあるため、取引先の支払方法に関する情報を正確に把握しておく必要があります。

  • 前受金(契約負債)の計上
    収益認識後の入金であれば、収益認識時に売掛金が計上されているため、入金時は売掛金の消込となります。
    しかし、収益認識前の入金は前受金(契約負債)を計上する事となります。
    このように、売掛金残高を正確に管理するためには、入金の基となる事象を正確に把握し、売掛金の消込となるか前受金(契約負債)の計上となるか適切に判断する必要があります。

(3) 滞留売掛金に対する会計処理の留意点

与信管理を徹底していても、取引先の倒産や経営状況の悪化により売掛金の回収ができなくなるケースもあります。
その際の対応についてご説明いたします。
入金期日を経過しているにも関わらず、取引先からの入金が確認できず、社内において回収が難しいと判断した場合は貸倒引当金または貸倒損失の計上について、検討が必要となります。
なお、貸倒引当金と貸倒損失は似て非なるものですので、以下で両者の相違を示しておきます。

  • 貸倒引当金
    貸倒引当金とは、取引先から資金を回収できない場合に備えて、次期以降における回収不能見込額を見積もって計上しておくための勘定科目です。その回収不能見込額は「貸倒引当金繰入」として費用計上されます。

  • 貸倒損失
    貸倒損失とは、貸倒引当金を計上していない場合等に、取引先から資金を回収できないことが確実となったことにより当期に負担せざるを得ない損失を示す勘定科目です。
    資金の増加となるはずの売掛金が回収できなければ、資金繰りに窮することとなり、売上高がいくら増加しても、企業経営は成り立ちません。そのため、日常的に売掛金の残高管理を徹底することが非常に重要となります。

以上が売掛金残高を管理する際の留意点となります。

株式会社アクリアでは、経理・財務部全般にわたるフォローから、業務単位や人単位に絞った専門的業務まで、
必要な単位で必要な実務支援をすることが可能です。日常業務についてお困りの場合は、ぜひ一度ご相談ください。

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