管理部の実務課題解決コラム 2021.02.09
株式会社アクリア
株式会社アクリア、コンサルタントの大熊です
今回は、「月次決算について留意すべきポイント」について取り上げていきたいと思います。
年次決算や四半期決算は法定開示が求められているのに対して、月次決算は開示が求められておりません。
そのため、月次決算を行ったとしても、外部に情報を提供する法的な義務はなく、予算実績差異分析を実施し当初予算の修正や経営戦略の修正等が必要ないかを確認したり、将来予測の精度を高め意思決定の根拠とするなど主に経営管理に用いられます。
したがって、月次決算は経営判断に有用な情報を、タイムリーに提供することが大きな目的であるといえます。
業務フローにより各社違いはありますが、経費等の申請は第2営業日から第3営業日辺りで締め、第5営業日から第8営業日辺りで月次決算を締める会社が一般的といえます。
前述したとおり月次決算は経営陣に対するタイムリーな情報提供が主目的であるため、正確性のみならず適時性を重視して短期間で実施可能な方法を模索し業務フローを設計することになります。
短期間で実施され、かつ、経営管理目的である月次決算において、年次決算のすべての業務を実施していく必要は必ずしもないと考えられます。
月次決算の目的に照らして、費用対効果の観点(意思決定情報として必要な粒度での設計が適切)及び適時性(タイムリーな意思決定を可能にするためには早期の情報確定が必要)の観点から、年次決算の中から実施可能であり有用である決算整理作業を選択し、絞り込んでいくことになります。
以降、具体的に内容検討していきます。
タイムリーな情報提供が求められる月次決算においてはスケジュールの厳守、また月次決算確定の早期化が課題になることもあります。月次決算早期化に必要な要素として、早期に金額確定できるよう取引先連携や事前ルール設定等の整備をしておくこと、また月初に入る前に各種準備ができるよう業務フローを構築し効率化のためデータ加工を進めるなど月次決算に対する事前準備を実施することが挙げられます。例えば、人事システムと会計システムが連携していない場合では、人事システムからのデータをエクセルで抽出し加工の上、仕訳を取り込むといった作業が想定されます。この際に加工の方法を整理し、毎月使用できるファイルを事前準備として用意することができれば、効率化につながります。
また、リモート作業との兼ね合いでも、システムの変更も検討材料に挙げられます。硬直的な運用しかできないシステムを、柔軟なものに変更することができれば、自社の業務フローとシステムを合わせることにより効率化に繋げることが可能です。エクセルでの自動取込や、様々な情報を仕訳データに持たせるなど、次月以降の作業が少しでも効率的に進むよう改善を実施することが重要となります。月次決算は年12回も実施する作業になりますので、細かな改善の積み重ねが業務効率化につながり大きな差になります。
月次決算の設計/早期化といっても対応範囲が広く細かい点にも拘り続ければ終わりのない改善作業となります。また、将来的なビジネスの変化、人事異動等を原因として業務フローや担当社員が変更されることも想定して設計する必要もあります。業務フローを可視化しボトルネックとなっていて改善効果が大きい作業から着手する、将来の設計変更時に耐えうる仕組みやノウハウ共有の仕組みを構築する点において、経験豊富な外部の会計コンサルタントを活用することが望ましい場合も多いと考えます。
株式会社アクリアでは、手を動かすコンサルティングとして、決算早期化を実現するための現状分析/影響度調査/改善計画立案・実行/継続的な運用体制の構築/クライアント様と同時運用による引継の実施等により、失敗のできない決算作業を確実に実行しつつ、業務改善や決算早期化を費用対効果が大きい論点から進めることが可能です。
開示でミスが出ている、連結決算の締めが遅いといった原因の根本が個別決算の精度が悪い子会社が存在したり、月次決算の早期化/効率化/正確性担保に課題があるケースもありますので、そういった課題を認識されている場合には一度ご相談くださいませ。
株式会社アクリア
株式会社アクリア 上場会社に特化した会計コンサルティングファーム。
2011年7月設立。公認会計士25名、公認会計士協会準会員13名、税理士10名(うち、公認会計士同時登録6名)が在籍(非常勤含む)。 代表取締役:川崎勝之(公認会計士/税理士) 平石智紀(公認会計士/税理士)
東京都渋谷区代々木3-23-4 VORT西新宿Ⅱ 2階
http://www.accrea.co.jp
(事業内容)
決算・日常業務改善支援、管理体制構築支援、買収後のPMI業務、IPOアドバイザリーサービス、適時開示サポートサービス M&Aアドバイザリーサービス(財務デューデリジェンス,企業価値評価,ディール実行支援)、教育・研修事業 各種税務サービス(税務顧問、税務コンサルティング等)、経理業務効率化・体制整備サポートサービス、事業承継サポートサービス