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第4回 「IFRSの憲法と云われる「概念フレームワーク」とは何ですか?」

IFRSの憲法と云われる「概念フレームワーク」とは何ですか?

 アクタス社会保険労務士法人

Q:IFRSの憲法と云われる「概念フレームワーク」とは何ですか?

A1:IFRSの「財務報告に関する概念フレームワーク」は、会計基準や解釈指針に一貫性をもたらすために、財務報告の基本目的や基礎的な定義、原理等を体系化しながら、財務報告のための概念的な枠組みを提供するものです。
企業は、全く初めての取引について、会計処理を行う際に適用すべき会計基準がIFRSにない場合や類似の取引が規定されている会計基準も無い場合は、この概念フレームワークに立ち戻って、会計処理の判断をすることになります。このためにも、またIFRSの会計基準や解釈指針そのもの理解のためにも、この概念フレームワークは十分理解しておく必要があります。

IASB(国際会計基準審議会)では、現在、概念フレームワークの改定を進めており、その一部(目的及び質的特性)が2010年9月に公表されています。それとともに、名称も」従来の「財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク」から、変更されています。
新フレームワークでは、財務報告の目的を、利害関係者(投資者、融資者、債権者)が企業への資源の提供に関する意思決定を行う際に有用な、報告企業についての財務情報を提供することとしています。 そして、財務情報がその目的にかなった有用な情報であるためには、その質的特性として、目的適合的(目的適合性)で、かつ表現しようとしているものを忠実に表現しなければなりません(忠実な表現)。 また、財務情報は、それが比較可能で(比較可能性)、検証可能で(検証可能性)、適時で(適時性)、理解可能で(理解可能性)あれば、その有用性は補強されるとしています。

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A2:概念フレームワークでは、財務諸表の構成要素を、会計取引の経済的特徴に従って分類するものとしています。具体的には、財政状態計算書(貸借対照表)の財政状態を表す構成要素として、資産、負債、持分に分類し、包括利益計算書(損益計算書)の業績を表す構成要素として、収益、費用を分類しています。 そして、この5要素を財務諸表に反映するためにどのように認識し、測定するかを規定しています。
「認識する」とは、どの時点で構成要素を財務諸表に反映するかと云うことを規定しますが、以下の要件を満たす場合に、会計取引として認識するタイミングとしています。

(a)発生可能性:当該項目に関連する将来の経済的便益が企業に流入するかまたは流出する可能性が高い
(b)測定信頼性:当該項目が信頼性をもって測定できる原価または価値を有している
「測定する」とは、認識された構成要素の金額を決定するプロセスをいいますが、その測定作業の際に採用される測定基礎には、取得原価、現在原価、実現可能価格、現在価値が挙げられています。

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