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第9回 「リース会計は、IFRSによってどのように変わりますか」

リース会計は、IFRSによってどのように変わりますか

 アクタス社会保険労務士法人

Q1:リース会計は、IFRSによってどのように変わりますか

A1:リースとは、貸手が一度又は複数回の支払を得て、契約期間中、資産の使用権を移転する契約を云います。IAS第17号では、リース取引の借手と貸手の会計処理を規定しています。

リースは、ファイナンス・リースとオペレーティングリースに大別でき、 所有権の移転の有無にかかわらず、資産の所有に伴うリスクと経済価値を実質的にすべて借手に移転する契約をファイナンス・リースと云い、それ以外のリースをオペレーティング・リースと云います。

ファイナンス・リースの借手は、リース開始日時点のリース物件の公正価値と支払リース料総額の現在価値のいずれか低い金額で、財政状態計算書にリース資産とリース債務として認識します。なお、支払リース料総額とリース負債計上額の差額は、金融費用となりますが、この金融費用は、負債残高に対して、一定の利子率のなるように、リース期間にわたり利息法により配分されます。これらの負債はリース料の支払い時に負債の減少として会計処理されます。

リース資産は、減価償却を行いますが、これは自己所有の減価償却資産の減価償却方法と首尾一貫していなければなりません。

なお、現在、国際会計基準審議会と米国財務会計基準審議会がリース会計の改訂の検討が行われていますが、その中で、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分を廃止し、すべてのリースについて、借手は、リース物件を使用する権利を使用権資産として、そして、その対価をリース料債務として認識する「使用権モデル」の採用が予定されています。

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A2:オペレーティング・リースは、具体的な例としては、違約金なしで中途解約できるリース契約などがあります。

借手のオペレーティング・リースに基づくリース料は、日本基準と同じく、他に規則的な方法が借手の便益のパターンをより適切に表す場合を除き、リース期間にわたり、定額法でによって費用として認識します。

貸手のオペレーティング・リースは、リース対象資産を自己資産として、財政状態計算書に計上するとともに減価償却を行います。減価償却方法は貸手の類似の資産に対する通常の減価償却方法と首尾一貫していなければなりません。

オペレーティング・リースから受取るリース収益は、他に適切に時間的パターンを示す場合を除き、定額法で認識します。

また、リース取引では、借手が貸手より移転費用や設備造作費用などのリース関連費用を負担してもらったり、リース料の一定期間の免除(フリーレント)や割引を受けることがあります。このことを「リース・インセンティブ」と云います。この場合、借手は、インセンティブの便益総額を賃借料の控除項目として、リース期間にわたり定額法で認識します。そして、インセンティブを供与した貸手は、インセンティブの原価総額を賃借料収入の控除項目としてリース期間にわたり定額法で認識します。なお、日本基準には、このインセンティブにかかる規定は存在しません。

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