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7月の人事労務お役立ち情報|『特定の法人における電子申請義務化について』

7月の人事労務お役立ち情報|『特定の法人における電子申請義務化について』

 アクタス社会保険労務士法人

今月のお仕事一覧

『7月のお仕事カレンダー』

スケジュール

【7月10日】
  • 算定基礎届の提出(年金事務所または健康保険組合)
  • 労働保険年度更新(労働基準監督署または銀行等)
  • 6月入社の雇用保険資格取得届の提出(ハローワーク)
  • 6月分源泉所得税・住民税の納付(郵便局または銀行)
  • 特例による源泉所得税の納付(1月~6月分)(郵便局または銀行)
【7月16日】
  • 障害者雇用納付金の申告期限(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構)
【7月31日】
  • 6月分社会保険料の納付(郵便局または銀行)
  • 労働者死傷病報告書の提出(休業4日未満の4月~6月分の労災事故)(労働基準監督署)

法改正・労務トピック解説

『特定の法人における電子申請義務化について』

平成30年4月24日に規制改革推進会議・行政手続部会が行われ、行政手続コストの削減に向けて、今後の方針が検討され、検討内容が開示されました。それを受けて、平成30年12月28日に社会保険の、平成31年3月8日には労働保険の、一部手続の電子申請を義務化する省令が交付され、令和2年4月より特定の法人に対して適用されます。

ここで制度の概要をご案内いたします。

■「特定の法人」とは
  ・資本金、出資金又は銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
  ・相互会社(保険業法)
  ・投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律)
  ・特定目的会社(資産の流動化に関する法律)

■「一部の手続」とは

  1. 健康保険・厚生年金保険
    ・被保険者標準報酬月額算定基礎届
    ・被保険者標準報酬月額変更届
    ・被保険者賞与支払届
  2. 労働保険
    継続事業(一括有期事業を含む。)を行う事業主が提出する
    ・年度更新に関する申告書
    (概算保険料申告書、確定保険料申告書、一般拠出金申告書)
    ・増加概算保険料申告書
  3. 雇用保険
    ・被保険者資格取得届
    ・被保険者資格喪失届
    ・被保険者転勤届
    ・高年齢雇用継続給付支給申請
    ・育児休業給付支給申請

制度の詳細はこちらからご確認ください。

厚生労働省

「2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化されます」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00004.html

健康保険法施行規則及び厚生年金保険法施行規則の一部を改正する省令の公布について
(平成30年12月28日 保発1228第3号 年管発1228第7号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T190104T0030.pdf 

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則及び厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について(平成31年3月8日 基発0308第1号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T190527K0020.pdf

今月の人事労務相談室

『採用内定者の法的位置付けについて』

【相談内容】

6月から2020年度卒業予定者の採用が解禁され、選考が進んでいます。
採用内定者は法律上、どのような位置付けと考えるべきでしょうか?

【社労士のアドバイス】

採用内定者の位置付けは、法律上明確に定められておらず、判例から解釈する必要があります。ここでは代表的な判例を用いて回答いたします。

一般的に、企業の求人募集に対して、学生などの求職者が応募し、選考を経て採用内定に至ります。求職者による応募は契約の申込みであり、企業が採用を決めた求職者に対して採用内定を通知することは、企業からの契約の承諾と考えられます。

この申込みと承諾によって労働契約が成立しますが、この契約は、大日本印刷事件(昭54.7.20最二小判)、電電公社近畿電通局事件(昭55.5.30最二小判)において、「始期付きかつ解約権留保付きの労働契約」と解されました。

つまり、学校を卒業して働き始める予定日(始期)までに卒業できない場合など、内定を取り消すべき相当の理由が発生した際は、当該労働契約を解除できるという解約権を留保している契約、という考え方になります。

従って、採用内定者と使用者との間には一定の労働契約が成立しているため、企業による内定取消は一方的な契約破棄であり、取消には解雇同様、客観的に合理的と認められる理由が必要です。

ただし、採用内定の実態は企業によって多種多様であるため、事実関係に基づき、個別実態に即して判断していく必要があります。

人事が企業成長を支える時代、戦略人事を実現するために必要な土台の作り方

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