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1月の人事労務お役立ち情報|『短時間労働者の社会保険の適用拡大について』

1月の人事労務お役立ち情報|『短時間労働者の社会保険の適用拡大について』

 アクタス税理士法人

今月のお仕事一覧


『1月のお仕事カレンダー』

スケジュール

【1月12日】 ・12月入社の雇用保険資格取得届の提出
 (ハローワーク)

・12月分源泉所得税・住民税の納付
 (郵便局または銀行)
【2月1日】 ・12月分社会保険料の納付
 (郵便局または銀行)

・令和2年分法定調書の提出
 (税務署)

・令和2年分給与支払報告書の提出
 (市区町村)

法改正・労務トピック解説

『短時間労働者の社会保険の適用拡大について(2022年10月以降)』

2020年5月29日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、その中で、短時間労働者の社会保険の適用が段階的に拡大されることが決まりました。

適用拡大される短時間労働者の要件と導入スケジュールは、次の通りです。

 1.短時間労働者の要件
  (1)週の所定労働時間が20時間以上あること
  (2)雇用期間が2ヵ月超見込まれること
  (3)賃金の月額が8.8万円以上であること
  (4)学生でないこと

 2.導入スケジュール
  2022年10月~ 従業員数100人超の企業へ適用
  2024年10月~ 従業員数 50人超の企業へ適用   

2016年10月より、従業員数が500人超の企業においては、短時間労働者の適用拡大がすでに始まっていますが、現行の「雇用期間が1年以上見込まれること」については、2022年10月以降、「雇用期間が2ヵ月超見込まれること」に変更されています。

社会保険の適用拡大により、これまで対象外とされていた方にとっては、厚生年金保険の加入により将来受け取る年金が増えるなど、給付面において手厚くなるというメリットがあります。
 
一方で、ご家族の扶養の範囲内で働いており、保険料を負担する必要がなかった方については、扶養を外れ、ご自身の給与から保険料が引かれるため、手取りが減ってしまうといったデメリットが考えられます。
 
また、中小企業にとっては、経済的負担の増加が懸念されます。
従業員数50人超の企業へ適用拡大した場合、新たに適用を受ける人は国全体で65万人、事業主の社会保険料の負担は、1,590億円増との見通しです。 

<年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要>
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf

 
まだ先の話ではありますが、適用拡大となった際に自社でどのくらい該当者が出るのか、社会保険料の試算など、あらかじめ把握しておくことが必要といえます。
また、該当する従業員には、制度の説明や、必要に応じて雇用契約書の見直しを行うなど、直前になって慌てることがないよう、しっかり準備を進めておきましょう。

今月の人事労務相談室

『いまさら聞けない!賃金支払いの五原則とは』

【相談内容】

賃金支払いの五原則って何ですか?
注意しなければいけないことがあれば教えてください。

【社労士のアドバイス】

賃金支払いの五原則とは、労働基準法第24条に定められた条文で従業員に賃金を支払う際の大原則となります。内容は以下の5つです。

 1.通貨払い
  賃金は通貨(現金)払いが原則です。
  金融機関への口座振り込みは、あらかじめ従業員の同意を得ることとされています。
  また、現物支給を行う場合は、労働協約の締結が必要です。

 2.直接払い
  賃金は必ず従業員本人に対して直接支払うこととされています。

 3.全額払い
  所得税や社会保険料など、法律で定められたものを除き、
  賃金から天引きすることは認められていません。
  積立金や社宅費、食事代等を天引きする際は労使協定の締結が必要です。

 4.毎月払い
  賃金は、毎月1回以上支払うことが決められています。
  年俸制の場合も、毎月払いになるよう分割します。

 5.一定期日払い
  「毎月25日」といったように一定期日に支払うことが義務づけられています。
  なお、「毎月第4金曜日」などの決め方は、月ごとに歴日数が異なり一定にならないことから、
      認められません。

普段、あまり意識することはないかもしれませんが、このルールに違反した場合には、30万円以下の罰金刑があります。
 
 現在の支払い方法がルールに沿っているか、また今後変更しようとする際には、上記に違反することがないか、確認しておくといいでしょう。

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