人事労務お役立ち情報 2021.04.06 (UPDATE:2021.04.06)
アクタス社会保険労務士法人
高年齢者就業確保措置 ~70歳までの就業確保~
まず現行の高年齢者雇用確保措置をおさらいします。
以下のいずれかの雇用確保措置を講ずることが義務付けられています。
(1)65歳までの定年引き上げ
(2)定年制の廃止
(3)65歳までの継続雇用制度の導入
ここに、今回の改正によって以下のいずれかの就業確保措置を講ずる
努力義務が加わることとなります。
(1)70歳までの定年引き上げ
(2)定年制の廃止
(3)70歳までの継続雇用制度の導入
(4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
(5)70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入
大きな変化として、65歳までは「雇用」の確保のみに限定されていましたが、(4)、(5)のように「雇用」によらない措置も含め70歳までの「就業確保」(創業支援等措置)を検討することになります。
この、創業支援等措置を講ずる場合は、いくつかステップを踏む必要があるので、確認してみましょう。
1.計画の作成
従事する業務の内容や支払う金銭など全12項目を盛り込んだ計画を作成します。
2.過半数労働組合等の同意
上記の計画についての同意を得る必要があります。
3.計画を周知
同意を得た計画については、就業規則などと同様に労働者に周知が必要です。
創業支援等措置を講ずる場合には、他に「労働者性がない働き方」という大前提が存在します。労働者性が認められる働き方となる場合には(1)~(3)の「雇用」による措置を講ずる必要があります。
また、継続雇用制度の導入についても継続雇用する事業主の範囲が異なりますので確認してみましょう。
(1)65歳まで:自社・子会社、関連会社等の「特殊関係事業主」のみ
(2)70歳まで:特殊関係事業主以外の「他社」も継続雇用制度の対象事業主とすることができる
なお、上記(1)では、都道府県労働局長の認定を受けている場合に限り無期転換申込権は発生しませんが、(2)の特殊関係事業主以外の「他社」で継続雇用される場合には、特例の対象外となり無期転換申込権が発生します。
本改正について、もしまだ未検討の場合で施行日に間に合わない場合でも高年齢者雇用安定法Q&Aにもあるように、まずは未検討事業主に対しての啓発・指導が予想されます。ぜひ今からでも高年齢者人材の活躍できる環境づくりを検討してみてください。
勤務形態が変更になった際の年次有給休暇の取り扱い
今度の4月1日に週3日パートのAさんを正社員として採用するつもりなのですが、ちょうど勤続6カ月目にあたります。
この場合、年次有給休暇付与すべきでしょうか?
4月は新生活の季節ですね。ご質問のように雇用形態や勤務形態の変化が起こりやすい時期でもあります。
年次有給休暇は一定の要件を満たせば雇用形態に関わらず1年ごと(最初は6カ月)の継続勤務で権利が付与されます。ご相談のケースでは、Aさんはちょうど継続勤務6カ月ということで4月1日が基準日(付与される日)となります。形式的に一度退職扱いとしたことにより有給休暇が付与されないのは問題です。
この点、通達により継続勤務は「労働契約の存続期間、すなわち在籍期間をいう」とされていて、具体的に「臨時工、パート等を正規職員に切替えた場合」と明記されています。このように実態として労働関係が継続している期間を継続勤務として通算する必要があります。よって、Aさんは仮に退職していたとしても実態として労働関係が継続しているため継続勤務として通算され、4月1日に年次有給休暇が付与されます。
では、何日分の付与を行えばよいのでしょうか。これまでの労働に対して与えられる権利なら週3日分の比例付与で5日とも思えますが、ここも通達で、権利は基準日において発生するので、基準日時点の所定労働日数にて判断する旨が明記されています。よってAさんは4月1日の基準日時点では正社員となりますので、10日分の付与という結論になります。
逆に正社員から週3日のパートになる場合は、比例付与の5日分が付与されていれば十分ということになります。
アクタス社会保険労務士法人
スタッフ約200名、東京と大阪に計4拠点をもつアクタスグループの一員。 アクタス税理士法人、アクタスHRコンサルティング、アクタスITソリューションズと連携し、 中小ベンチャー企業から上場企業まで、顧客のニーズに合わせて、人事労務、税務会計、システム導入支援の各サービスを提供しています。
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