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会計システムとは?基本の知識~導入のメリット・デメリットについて解説

会計システムとは?基本の知識~導入のメリット・デメリットについて解説

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会計システムとは?基本の知識~導入のメリット・デメリットについて解説
「会計システム」は、一般的な企業の会計において、取引の認識、記帳、経理部における財務諸表の作成に関して非常に重要な役割を有しています。
会計システムを導入することにより、企業の取引を効果的かつ効率的に記録、タイムリーな財務諸表作成に役立つメリットがあります。
一方で、会計システムの導入には一定のコストや社内の従業員に使用方法を共有する等の手間がかかるというデメリットも想定されます。
ここでは会計システムの基本や、メリット・デメリットについても詳しく解説します。

■会計システムとは?

会計システムとは、
  • 電子的な取引記録
  • 会計帳簿作成機能
のことです。

「会計システム」とは、企業が適正な財務報告をする上で、内部の意思決定・管理会計目的・および外部に公表する財務諸表作成(財務会計目的)を可能にするための電子的な取引記録、会計帳簿作成機能のことです。

企業は経済活動を記録・管理し、その結果を財務諸表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書)に反映させるために随時会計取引の仕訳を行います。仕訳が完了したら、企業の会計システムを通じて、管理会計および財務会計双方に反映させていきます。

管理会計は、企業内部の意思決定に反映させるために財務会計と有機的に一体となって運用されるものであり、会計システムはその連携を助けるために効率的に運用されています。

■会計システムの基礎知識

会計システムの基礎知識は、「会計ソフトを利用して財務諸表を作成する機能」ということを押さえておけば大丈夫です。

IT技術の進化に伴い業務の効率化が進み、取引の自動仕訳や入力補助によって入力業務を効率化し、会計処理を進めて総勘定元帳や決算書を自動で作成することが可能です。

また、会計システムは会計基準等の変更に合わせてアップデートが必要になります。昨今では、会計ソフトの進化に合わせて行われることも増えきました。会計基準の改正や法改正への対応は業務の負担になりやすいので、クラウド型の会計システムでは提供会社側でのバージョンアップを待ち、業務担当の負担を減らす工夫を心がけることも重要です。

■会計システムの種類

会計システムにはクラウド型と、パッケージ提供型の2つがあります。

・クラウド会計システム

「クラウド会計システム」とは、ソフトウェアそのものを購入するのではなく、サービス提供会社に対して使用料を支払い、インターネット経由で利用できる会計ソフトのことを指します。

クラウド会計システムのメリットとは?
クラウド会計システムのメリットは、主に3つが挙げられます。

  • クラウドサーバー上にバックアップされるためデータ破損の心配がない
  • 常に最新の会計ソフトを利用できる
  • ネットバンキング・カード会社の情報と連携できるので経費処理が楽にできる

「クラウド型会計システム」のメリットは、会計データについても、PC本体ではなくクラウドサーバー上にバックアップされるため、万が一会社のPCが故障したり、ウイルスに感染したりしてもデータを失う心配がないことが挙げられます。

また、法改正や会計基準の改正などがあっても、最新の会計ソフトを利用できます。バージョンアップした場合も、あらためて会計ソフトをPCにインストールする必要はありません。常にクラウド上にある最新の会計ソフトを利用できるので、たとえ会社のPCを買い換えたとしてもインターネットにさえ繋げれば問題なく利用できる点もメリットのひとつです。すなわち、法改正の際も業務負担が増えすぎずに済むということです。

他にも、クラウド会計システムではネットバンキングやカード会社のデータと自動的に連携して明細を取得するよう設定が可能なので、企業内で経費の処理がスムーズにできることがメリットになります。

クラウド会計システムのデメリットとは?
クラウド会計システムにはメリットだけではなく、デメリットもあるので注意しておきましょう。

  • 維持費がかかる
  • 機能を使いこなすまでに時間を要する

クラウド型会計システムのデメリットは、維持費がかかること(月額や年額使用料を支払いながら会計ソフトを使用するサービスなので、導入後も毎月一定の維持費=ランニングコストがかかる)、使いこなすまでになれが必要であること点が挙げられます。

すなわち、すべての機能を使いこなせるまでに時間がかかり、すべての機能を初めから使いこなそうとするのではなく、サービス提供会社のサポートを利用しながら、クラウド会計ソフトを理解していく必要があります

・パッケージ提供型会計システム

「パッケージ提供型会計システム」とは、会計ソフトを利用する端末にインストールすることで利用できる会計システムを指します。

パッケージ提供型会計システムのメリットとは?
パッケージ提供型会計システムのメリットは、主に3つが挙げられます。

  • 端末にインストールするだけで利用できる
  • インターネット環境がなくても利用できる
  • 導入後の維持費は必要ない(※サポートが必要なケースもあり)

パッケージ提供型の会計システムは、利用する端末にインストールすれば、インターネット環境がない場所でも利用することができます。また、買い切りで利用できるので導入後の維持費は必要ないこともメリットです。

パッケージ提供型会計システムのデメリットとは?
パッケージ提供型会計システムのデメリットは、主に3つが挙げられます。

  • 導入時の会計ソフトにかかる費用が高額なこと
  • バージョンアップは手動になり、サポートが必要になるケースもある
  • バックアップも定期的に手動で行う必要がある

パッケージ提供型の会計システムのデメリットは、初期のソフト購入費用がクラウド型に比べて高額であること。また、バージョンアップは手動で行う必要があることです。バージョンアップに対応するために別途サポートプランに申し込む必要もあり、クラウド型に比べると導入の障壁が高くなります。

PCの故障に備えたデータのバックアップも自ら定期的に行う必要があります。その点では、クラウド型の会計システムに比べて手間がかかると言えるでしょう。

■会計システムの主な機能

会計システムの主な機能には、以下の5つがあります。

  • 自動仕訳・データ入力補助
  • 勘定科目の構築
  • 集計・財務分析
  • セキュリティ強化
  • 経理機能の分散

1.自動仕訳・データ入力補助

自動仕訳・データ入力補助は、売り上げや各種の経費など数字を入れると必要な勘定科目への仕訳、転記まで完了させることができます。
他にも、銀行やクレジットカード経由のデータをCSVで受け取って自動的に経費等を記帳できるものも多く、経費入力の手間も省け入力漏れや転記ミスが起こりにくくなります。

2. 勘定科目の構築

勘定科目の構築は、導入する企業の規模や業種に合わせた勘定科目の構築機能も搭載されています。
企業の属するセクターや規模、ビジネスの内容により自社に必要な勘定科目を簡単に整備でき科目別補助や合計科目も登録可能なので、従来社内で使用していた科目名で利用できることが多く、非常に便利です。

3. 集計・財務分析

集計・財務分析は、日々の会計上の取引の日次管理・月次の管理に分けられます。日次管理としては、入出金の管理、日々の仕訳、手形管理・経費精算などを行います。
月次の管理としては、たとえば仮受・仮払消費税の計算・月次財務報告書の作成などがなされます。
日次・月次の管理ができるので、年間の決算報告書の作成もスムーズです。
このように、集計したデータを各種の経営指標に整理して財務分析を可能にするのが、会計システムのメリットです。

特に「期別比較財務表」「損益分岐点分析=BEP分析」などの分析フォーマットや事業部ごとに財務諸表を出力するなど、管理会計や経営判断に役立てる資料作成が可能になります。

4. セキュリティ強化

セキュリティ強化は、多くの会計システムで入力担当者のIDやパスワードを管理できる機能です。
企業の内部統制上は、非常に強力なアクセス権限を設定できるものもあります。
入力者と承認者を分けてワークフロー機能を持たせ入力日時や入力者を記録するなど、不正の可能性を最小限にする機能がありますので、不正会計の抑止力になります。

5. 経理機能の分散

一定規模以上の企業で採用されるような会計システムでは、経理部門以外から入力ができる経理機能の分散機能もあります。
いままで本社の経理部門に集中していた業務を分散することで、人員体制などの見直しや繁忙期の経理部の対応、経理部と事業部の二重作業の除去による効率化などにつながるという点で役立ちます。

■会計システムの種類別機能について

会計システムに備わっている主な機能について、種類別に解説します。
給与計算や社内経費精算など細やかに対応している会計システムもありますが、
ここでは標準的な機能として、「財務会計システム」「管理会計システム」「債務・支払システム」を紹介します。

1.財務会計システム機能

財務会計システムは会計システムの最も基本的な機能です。
会計システムの基本的な目的が財務諸表を作成することですので、あえて「財務会計」としたタグなどがないものも多いようです。
具体的には、自動仕訳を含む伝票の入力、仕訳帳、総勘定元帳、補助元帳など会計帳簿の作成、
試算表や財務諸表(損益計算書、貸借対照表、株主資本等変動計算書など)作成の各機能を指します。

内部統制の観点から、仕訳などの入力への承認機能が付いているものもあり、
一旦登録された仕訳を変更・削除した場合には履歴が残せる電子帳簿保存に対応したものなどもあります。

また、締めや決算などのタイミングで、他で生成されたデータを財務会計システムに仕訳の形で受け入れる機能も多くの会計システムに搭載されています。

2.管理会計システム機能

財務会計が外部向けの業績報告であるのに対し、管理会計は自社の経営に生かすための社内向けの会計です。
管理会計の機能には、外部で比較検討した予算データが登録やその組み換え、さらに予算と実績の管理ができるものなどがあります。
また、過年度の業績と比較した表やグラフが利用できたりするものをよく見かけます。
財務会計のような縛りがないため、各社の特徴が出やすい機能と言えます。

最近の傾向としては、色分けされた各種のグラフが自動生成される機能をよく見かけます。
ビジュアルに訴える先を「お金」に置くのか、「取引先」に置くのかなど各社の工夫がうかがえます。

3.債務・支払管理システム機能

債務管理と債権管理はそれぞれ「出金」と「入金」をつかさどる重要な業務です。
債権管理でのポイントは入金消込や未回収などがありますが、債務管理は外部へお金が流れるのを管理するわけですから、入金より慎重にならざるを得ません。
そこで、支払に「締め」を設け、支払予定を権限者が確認するステップが設けられているものもあります。

債務・支払管理をするにあたって、いくつかのポイントがあります。

  • 債務の評価:その請求への支払いは妥当か
  • 支払額や支払日の管理:その日にその金額の支払いに問題がないか
  • 未払や未精算の管理:支払漏れや二重払いなどはないか




また、自動引き落としなどの契約になっているものについては、登録によって自動的に債務を発生させる機能を搭載しているシステムもあります。

■会計システムの役割と導入目的とは?

会計システムの役割と導入する目的について詳しく解説します。
なぜ導入する必要があるのかを問われたらしっかり答えられるようにしておきましょう。

会計システムの主な役割

会計システムは、企業の財務会計や管理会計などの会計業務を一元化し、業務を効率化するためのツールです。その主な役割は、煩雑な会計・決算業務を会計システムを通じIT化し効果的かつ効率的に進めることです。

多くの場合は使用するのは企業の経理部であることが多いため、経理部の仕事をサポートするための機能を備えた会計システムもあります。
たとえば、財務会計システム、管理会計システム、債権管理システムを使用し、伝票・帳票入力を売掛金・買掛金等に反映させ、管理会計システムでは事業や部門に分けてデータをまとめて分析することができます。
債権債務システムについては、債務の残高や支払予定日など、債務に関する情報を管理できる資金繰り管理や健全なキャッシュフローの実現に役立てることができます。

会計システムの導入目的

会計システムの主な目的は、手作業で会計業務を行うことによる人為的なミスを未然に防ぐことです。また、主な役割は煩雑な会計・決算業務を会計システムを通じ、企業の会計業務をIT化し効率的に進めることにあります。

会計システムの導入で得られる効果とメリット

会計システム導入によるメリットは、人的なミスが減り業務効率化を推進できることがあります。会計システムを導入することで、計算ミスや入力ミスがなくなります。
会計システムには、計算が合わないデータが入力されれば警告するような機能が備わっているため未然にミスを防げます。
その結果、計算が合わなくて修正に追われる時間を大きく削減し、業務を効率化できるというメリットがあります。

また、制度や税制に対応可能であり、税務署に申告するための機能も備わっています。
会計システムはアップデートにより税制度の変更にも対応するため、企業側で制度変更に伴って行わなければならない対応が少なく済みます。特にクラウド型の会計システムであれば自動でアップデートされるため、制度の変更による負担を最小限に抑えられるというメリットがあります。

他にも、会計システムを導入することによりリアルタイムで財務分析や経営管理が実施できます。また、事業部別損益計算書や損益分岐点分析など、速やかに分析が実行され、状況に即した経営判断を下すことが可能になる点もメリットとして挙げられます。

会計システムを導入するリスクとデメリット

会計システム導入によるリスクやデメリットについては以下があります。

  • 自動化の限界
  • クラウド型の場合はオンラインでしか使用できない
  • 会計ソフトの使用には慣れと経験が必要である

1.自動化の限界
ネットバンキングや定型化された取引だけでなく、現金取引や手形などアナログな現実世界の取引は手入力での仕訳が求められます。
従って仕訳を完全自動化できるわけではなく、一部仕訳はどうしても手入力が必要になるので完全に自動化に依存するのはリスクがあります。

2. クラウド型の場合はオンラインでしか使用できない
クラウド型の会計システムはオンライン環境でないと使用できず、オフラインでの使用は不可能なため、インターネットに障害が発生したり、停電した場合は使用できないというデメリットがあります。

特にクラウド会計ソフトはインターネット経由で利用するサービスのため、オンライン環境によってはレスポンスが遅い可能性があります。
一方パッケージ提供型会計ソフトは端末にインストールすることで安定性を確保できるので、その点はインストール型ソフトに軍配が上がります。

3.会計ソフトの使用には慣れと経験が必要である
会計ソフトの使用には、税理士や公認会計士ほどの財務・会計・税務の知識は必要ありませんが、簿記や勘定科目等の最低限の知識はやはり必要になります。
そのため、ある程度経理経験のある人の使用が望ましいと言えます。

■会計システムは自社にあっているものを選ぶことが重要

会計システムを選ぶ際は、自社の規模、業種、予算、経理部のメンバーの知識や経験等を総合的に勘案して決定する必要があります。税法や会計基準が変更になるたびに自社の顧問税理士に相談しながら進めるのか、クラウド型システムで手間をかけずにアップデートしていくか等を、業務負担との兼ね合いで決めていくのが良いでしょう。

また、2020年からのコロナ禍でリモートワークが増えた現在においては、業務効率化・リアルタイムで財務分析や経営分析等の自社の状況を把握可能な会計システムに軍配が上がります。以下のページから、変化する時代に役立つ経理・財務部門向けの資料をダウンロードいただけますので、ぜひお役立てください。
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https://www.superstream.co.jp/resource/superstream-whitepaper-wp01

■おわりに:会計システムをいかに効果的に利用するか

会計システムは、企業のバックオフィスである経理部門を支える重要なインフラの一つです。
企業規模にもよりますが、経理部のメンバーのスキル、また顧問税理士や監査役の会計リテラシー等を総合的に勘案して、自社の経営管理・財務管理を効率的かつリアルタイムで行えるような会計システムを選択しましょう。

■税理士コメント

最近はクラウド会計システムを利用することが多くなってきました。電子帳簿保存法の改正の影響もあり、今後は会計で扱う帳簿書類は電子保存へと移行していくと思われます。

その際、気をつけなければならないのは、ある程度先を見越した上、クラウド会計を選択することです。
電子帳簿保存を選択した状態でAクラウド会計から、Bクラウド会計に移行したとします。その際、A社となんらかの形で契約を残しておかないと、A社のクラウドサーバーにアクセスできず、過年度分について電子帳簿保存の要件を満たさないことになるからです。
事業拡張の予定などを見据えて、クラウド会計の選択をすることをおすすめします。

【税理士プロフィール】
税理士・CFP・認定経営革新等支援機関
岡 和恵
大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。
システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士やフィナンシャルプランナー資格を取得。
2019年より税理士事務所を開業し、税務や会計に関するライティング業務も開始。
図や表などを多用したわかりやすい執筆を心掛けています。

■公認会計士コメント

企業経営を取り巻く環境は、益々IT化を進めています。たとえば、キャッシュレス決済、暗号資産、また電子帳簿保存法の施行など、経営環境はITの利用を前提としたものに移り変わっているでしょう。
特にITに関連する取引は管理も複雑になることから、会計システムの導入は、バックオフィスのコスト削減のほか、処理を誤ることによるリスク防止にも寄与するでしょう。

ただし、会計システムの導入は丸投げして良いものではなく、管理部門担当者による適切な理解が必要不可欠です。導入には様々な視点からメリット・デメリットを考え、余裕をもったスケジュールで検討することが必要です。

【監修者プロフィール】
公認会計士・税理士
藤沼寛夫
2014年:EY新日本監査法人
2018年:東京共同会計事務所
2019年:藤沼公認会計士事務所 開業
2020年:アカウントエージェント株式会社 設立

アカウントエージェント株式会社:https://a-agent.co.jp


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