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現在の決算手続きに影響を与えかねない経済的耐用年数の決定

 中田 清穂(なかた せいほ)

前回の「経済的耐用年数のあの手この手」に引き続き、今回も経済的耐用年数の話です。

前回説明した「あの手この手」で、なんとか従来の税法基準の耐用年数でIFRSでも処理できることが、会計監査人と合意できる場合は良いのですが、どうしても従来の税法基準とは異なる耐用年数にしなければならなくなった際に、そのかい離の程度が問題となることがあります。
すなわち、従来の税法基準での耐用年数とIFRSベースでの経済的耐用年数とのかい離の程度です。

IFRSベースでは、従来と異なる耐用年数になることは仕方ないとしても、日本基準では従来の耐用年数にすることが多いと思われます。

しかし、従来の税法基準での耐用年数とIFRSベースでの経済的耐用年数のかい離の程度が著しい場合には、日本基準の耐用年数も経済的耐用年数にしなければならない可能性があるので、十分な注意が必要です。

これには前回の最後にご紹介した、日本公認会計士協会が税法上の耐用年数としても、会計監査においては適切と判断するよう認めている委員会報告が関係しています。
正確には、『監査第一委員会報告第32号 耐用年数の適用、変更及び表示と監査上の取扱いについて』という委員会報告です。

この監査第一委員会報告第32号によると、税法耐用年数については、「経済的使用可能予測期間と著しい相違がある等の不合理と認められる事情のない限り」、監査上差し支えないものとして取り扱うことができるという内容になっています。

したがって、この度IFRS適用ということで「経済的使用可能予測期間」を決める際に、税法耐用年数と「著しい相違」があるならば、実は、従来の日本基準で適用していた耐用年数自体が不適切だという判断になりかねません。

実際にこのようなケースで、会計監査人から日本基準での税法耐用年数からの変更を突き付けられているプロジェクトが出始めています。
耐用年数の変更は、「見積もりの変更」にあたるので、遡及処理が要求される可能性は低いと思われますが、IFRS対応をする上で、「ヤブヘビ」にならないよう注意していただきたいと思います。

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