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影響度調査での重要性

 中田 清穂(なかた せいほ)

そろそろIFRS対応をスタートしようという企業が増えているようです。
私もいくつかの企業のIFRS対応プロジェクトに参画したり、自力で進めている企業からご相談を受けたりしています。
そこで、IFRS対応プロジェクトの現場で発生している課題や問題について、私なりの考えを表現したいと思います。

今回は、IFRS対応プロジェクトでカギを握る「影響度調査」について、「重要性がどのように関連するか」を整理したいと思います。

「影響度調査」は、Fit&Gap分析、インパクト調査あるいはマグニチュード分析などと呼ばれています。
その作業の中心が、自社が採用してきた会計処理の原則及び手続(会計方針)とIFRSの基準との相違を洗い出して、その相違点が自社に与える影響を整理する作業です。

調査項目の優先度を検討する上での「重要性」

ここでまずポイントとなるのが、「何から調査するか」です。
すべての項目を一度に調査することは通常不可能です。
IFRSの基準書は40近くあり、条項数(パラグラフの数)は2400項以上もあるからです。

そこで、あまたあるIFRSの基準の中で、自社にとって「重要な」項目を優先させる必要があるのです。
内部統制対応の際には、「売上高」、「売掛金」そして「棚卸資産」の3つの勘定科目に係るプロセスを優先させるという規定があったので、この段階で迷うことはなかったと思います。
今回のIFRS対応では、ここから判断が求められます。
会計監査人がアドバーザーで参画している場合には、自社の状況をよく把握していると期待されることから、会計監査人から優先順位のたたき台が提示されるようです。

金額的重要性

次に、自社が採用してきた会計方針とIFRSの基準との相違が洗い出された後で、その相違点がどのくらい「重要な」影響をもたらすかの判断が必要になります。つまり、「金額的重要性」です。
この際に、当期利益だけを判断指標にするのか、営業利益などの段階利益も指標にするのか、売上高への影響など、個別の勘定科目への影響度合いも考慮するのかという点が問題になります。
影響が「重要かどうか」は、最終的には、作成したIFRSベースの連結財務諸表に対して、会計監査人が判断するのですが、数年後に作成されるIFRSベースの連結財務諸表に対する監査判断まで待つことはできないので、ある程度の判断基準を設ける必要があります。
現在進められているIFRS対応プロジェクトでは、この判断基準を明確に決めずに、「重要だ」とか「あまり重要でない」という判断をして、「Fit&Gap分析」をしているケースがほとんどのようです。
これでは、一度行った「重要かどうか」の判断が、あとから次々に覆されて、結局影響度調査をやり直すことになるでしょう。
ですから、最初に「重要性の判断基準」を明確にして、分析項目ごとに重要度を「大」「中」「小」に類別すべきと思います。

質的重要性

そして最後に、金額的な重要度に関係なく、その項目を財務諸表に表示することで、財務諸表を利用する利用者の判断に影響を及ぼすと判断される場合、つまり、「質的重要性」がある場合かどうかを判断する必要があります。

以上、3つの重要性について、混乱しないようにプロジェクトを進める必要があるのです。

以上

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