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連結法人間の寄附金に係る税効果の会計手続き

 中田 清穂(なかた せいほ)

今回は二つ目の「連結法人間の寄附金に係る税効果の会計手続き」についてコメントします。

これは、連結納税制度でも設定されていなかった項目ですが、連結納税の導入が進まない原因にもなっていたので、連結納税制度の改正とともにグループ法人税制でも導入された項目です。

制度の内容は、グループ内の法人間の寄附金は、寄附金を支払った側の法人(支払法人)について、寄附金を全額損金不算入にするのは従来通りなので良いとして、寄附金を受け取った側の法人(受取法人)についても、全額益金不算入として、課税所得から除くことができるようになるというものです。

問題は、寄付修正事由による「帳簿価額修正」という税務上の手続です。

「帳簿価額修正」は、連結子会社Aが、経営難に陥っている連結子会社Bを支援するために寄付を行う場合に、親会社が保有する連結子会社Aと連結子会社Bの「税務上の帳簿価額」を修正するというものです。

A社では寄附金を支払ったことで価値が減り、その分安く売られることとなります。

親会社のA社株式の帳簿価額を変えないままでいると、A社株式を売却した時点で売却損が発生します。

税務上、グループ全体では寄付がなかったことにしているので、親会社によるA社株式売却によって売却損が発生し、ここから課税所得が減るような影響がでることを許すと、子会社に多額の寄付を行わせて安く売り飛ばし、売却損を計上し、税金逃れをしようとする脱税行為を防ぐ狙いがあると思われます。

個別会計手続としては、親会社での「帳簿価額修正」は、一時差異として税効果会計の対象になります。

仕訳の例を示すと以下のようになります。

【帳簿価額修正(親会社での税務上の仕訳)】(*1)


【税効果仕訳(親会社での会計上の仕訳)】(*2)


このような仕訳例を見て、連結決算手続としては、A社もB社も連結対象子会社だということで、投資と資本の消去仕訳で消去されることから、上で示した税効果仕訳も消去すべきではないかという意見があるようです。

しかし、(*1)の仕訳は、会計上の仕訳ではなく、あくまでも税務上の仕訳です。

(*2)の仕訳は会計上の仕訳ですから、一旦取り込んで合算した後で、繰延税金資産と繰延税金負債の純額処理をする、連結手続をするべきだと思います。

平成22年10月1日以降に支出する寄附金及び平成22年10月1日以降に受け取る受贈益から適用になりますので、まだ準備が整っていない場合には、子会社への指示の徹底も含めて、早急に対応されることが望まれます。

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