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第3回 「中小企業に対する優遇税制について」|税務会計業務のポイント

第3回 「中小企業に対する優遇税制について」|税務会計業務のポイント

 アクタス税理士法人

資本金1億円以下の中小企業は大企業に比べて、税制面での優遇措置がとられています。法人税に関する主な特典を以下に挙げていますので、参考にして下さい。
項目 内容 適用期間等
①軽減税率の適用 年800万円以下の所得については、税率が30%から22%に軽減。 資本金1億円超法人は一律30%
②留保金課税の停止 留保金課税の対象となる「特定同族会社」から、事業年度終了時における資本金の額が1億円以下である会社が除外。 平成19年4月1日以後に開始する事業年度
③交際費の損金算入 支出した交際費等のうち、400 万円までの部分は、90%の損金算入が可能。重大な過失により粉飾決算を発見できなかった場合 平成18年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度
④貸倒引当金の特例 貸倒実績率または法定繰入率により計算した繰入限度額の有利選択が可能。 資本金1億円超法人は貸倒実績率のみ
⑤少額減価償却資産の損金算入の特例 取得価額30 万円未満の減価償却資産を取得した場合に、年間300 万円を限度として、取得した事業年度において取得価額の全額を損金算入可能。 平成18年4月1日から平成22年3月31日までの間に取得し、事業供用
⑥中小企業投資促進税制(機械等の税額控除、特別償却) 特定の機械装置等を取得した場合、取得価額の7%の税額控除または取得価額の30%特別償却。 平成10年6月1日から平成22年3月31日までの間に取得し、事業供用
⑦教育訓練費に係る税額控除制度 ※教育訓練費割合が0.15%以上の場合に、教育訓練費割合に応じた特別控除割合(8%~12%)を乗じた金額の特別税額控除ができる。(上限は、法人税額の20%まで。) ※当年度の教育訓練費÷当年度の労働費用(給与、法定福利費、教育訓練費) 平成20年4月1日から平成21年3月31日までの間に開始する各事業年度
⑧試験研究費に係る税額控除上限の引上げ 研究開発比率が高い一定の中小企業者に対する税額控除上限は、法人税額の最大30%(上限の別枠10%を含む)に引上げ。 平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度

(注)上記⑤~⑧については、中小企業者等の資本金が1億円以下であっても、資本金1億円超等の大規模法人の子会社などには適用できません。また、上記⑥は資本金が3,000万円を超える場合は特別償却のみ適用可能で、税額控除は適用できません。

Q&A

Q.法人税以外について、資本金の額によって税金の取扱いが異なってくるケースを教えて下さい。

法人税以外の税金についても、以下のような取扱いがあります。

消費税・・・資本金1,000万円未満の場合

【消費税免税制度】
新設法人の消費税に関して、設立初年度及び2年度は、消費税の免税事業者に該当するため、消費税を納める必要がありません。
(注)消費税の還付を受けようとする場合等は、一定の届出が必要となります。

地方税

事業税の軽減税率

要件 所得 税率(東京都の場合)
資本金1億円以下又は年所得2,500万円以下 年所得400万円以下 10.08%から5.25%に軽減
年所得400万円超800万円以下 10.08%から7.665%に軽減

法人住民税法人税割の軽減税率

要件 税率(東京都の場合)
資本金1億円以下、かつ法人税額年1,000万円以下 20.7%から17.3%に軽減

法人住民税の均等割

均等割は資本金等の額と従業者数に応じて税額が決まっています。
(注)資本金等の額は、資本金と資本準備金等を含めた金額となります。

外形標準課税の課税対象

資本金等の額 従業者数 税額(東京都の場合)
1千万円以下 50人超 140,000円
50人以下 70,000円
1千万円超、1億円以下 50人超 200,000円
50人以下 180,000円
1億円超、10億円以下 50人超> 530,000円
50人以下 290,000円

資本金1億円超の法人が課税対象となり、赤字法人であっても、資本割など税負担が増える可能性があります。 ※地方税は、地方公共団体の条例に基づいて課税されるため、税率等は都道府県、市区町村により異なる場合がありますので、ご留意下さい。

その他

一般的には資本金1億円を超えると各税務署管轄から国税局管轄になります。

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