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第18回 「会社清算時の課税の変更について」|税務会計業務のポイント

第18回 「会社清算時の課税の変更について」|税務会計業務のポイント

 アクタス税理士法人

解散・清算の流れ

法人は解散をすると、残余財産を確定させる手続きに入ります。残余財産が確定した後は、出資者である株主にその残余財産の分配を行います。これにより、法人は清算され、消滅することになります。

解散法人の課税関係

(1)財産課税の廃止

法人は清算までに原則、2回申告することになります。解散事業年度における解散申告と清算事業年度における清算申告です。
平成22年度の税制改正において、清算申告の課税方式が変更されます。残余財産をベースにした課税から損益をベースにした課税へと変更されることになります。

(2)期限切れ欠損金の利用

清算手続きの際、債務を返済しきれず、免除を受けるケースがあります。
改正前の清算課税は、残余財産がベースになっていたため、債務免除は課税に影響ありませんでした。債務を免除してもらうことは、財産以上に債務があることになり、残余財産が残ることはなかったからです。
改正後は損益をベースに課税になるため、債務免除益は収益となり、税金計算に影響を及ぼすことになります。
しかし、債務免除益により多額の所得が発生しても、納税資金がないケースが想定されます。そこで、このような場合を考慮し、残余財産がないと見込まれる場合、繰越期限の切れた欠損金を利用することが認められることになります。

解散法人の100%親法人の課税関係

税制改正により100%親子会社間の取引についてグループ法人税制が適用されることになりました。
親法人の課税は、グループ法人税制の影響により、次の2点で変更されます。

(1)親法人は、清算損を認識しない

残余財産の分配を受ける親法人は、出資した金額と財産分配額との差額である清算損を認識しないことになります。

(2)親法人は、子法人の繰越欠損金を承継する

(1)で清算損を認識しない代わりに、親法人は、子法人の青色欠損金を引継ぐことができるようになります。引継げる期間は、残余財産確定より前の7年間分となります。(5年間の支配継続要件あり)

改正が適用されるのは、平成22年10月1日以後における子法人の解散からとなります。

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