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第21回 「グループ法人税制と連結納税制度の比較」|税務会計業務のポイント

第21回 「グループ法人税制と連結納税制度の比較」|税務会計業務のポイント

 アクタス税理士法人

平成22年度税制改正により、100%グループ内の法人間取引について税務上の取扱いが整備されました。連結納税制度の改正では、加入時に切捨てられていた子会社欠損金について、一定の場合に利用できることになりました。

改正により、連結納税を採用していないグループ法人についても、連結納税を選択している場合と同様の取り扱いとなるものがでてきています。今一度、連結納税制度を採用するのが有利なのか不利なのかの判定を行う必要があるといえます。

以下、グループ法人税制と連結納税制度の「 統一点 」と「 相違点 」を比較してみました。

  内容 グループ法人税制 連結納税
統一点 グループ内の一定の資産の譲渡損益の繰延 グループ外へその資産が譲渡等されるときまで、譲渡損益を繰り延べる
グループ内寄附金の取り扱い 支払側の法人は、損金不算入
受取側の法人は、益金不算入
グループ内受取配当等の取り扱い 負債利子の控除は不要
よって、受取配当等は全額益金不算入
相違点 制度の適用方法 強制適用 任意適用(事前申請が必要)
適用対象・範囲 100%の完全支配関係がある内国法人(個人や外国法人を頂点とする企業グループも対象) 100%の完全支配関係がある内国法人
納税主体 グループ内の法人がそれぞれに申告 グループ全体を一つの法人として申告
所得の通産 不可能 可能
子法人の一定の資産の時価評価 時価評価はない 完全支配関係が小いてから5年以内の子法人等については、連結納税導入時または加入時に一定の資産について、時価評価が必要
子法人の繰越欠損金 子法人の所得の範囲内での使用が可能 子法人の所得の範囲内での使用が可能
ただし完全支配関係が生じてから5年以内の子法人等の欠損金については切り捨てる
中小法人の優遇税制の適用制限 親法人の資本金が5億円以上である場合には、適用不可 親法人の資本金が1億円超である場合には、すべての子法人が適用不可
子法人の連結納税加入前の繰越欠損金が切り捨てられていたのが、改正により、切り捨てられずに持ち込みが可能となったのが大きく影響することになりそうです。

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