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第93回 「平成29年3月決算の税務申告のポイント」|税率の見直し

第93回 「平成29年3月決算の税務申告のポイント」|税率の見直し

 アクタス税理士法人

3月決算法人の税務申告時期が近付いております。平成29年3月期決算法人から適用が開始される税制改正項目等を中心に、申告のポイントについてまとめてみました。

税率の見直し

法人税率の引き下げ(平成28年度税制改正)

区分

H28.4.1~H30.3.31
開始事業年度
H30.4.1以降
開始事業年度
中小法人等以外の普通法人 23.4% 23.2%
中小法人(※)、一般社団法人等、人格のない社団等 年800万円超 23.4% 23.2%
年800万円以下 15.0%(※2) 15.0%(※2)

※1 資本金の額1億円以下の普通法人等(資本金の額等5億円以上の法人等の100%子法人等を除く)を指します。
※2 平成29年度税制改正により平成31年3月31日まで延長される見込みです。

(外形標準課税適用法人)の法人事業税の税率に係る改正(H28年度税制改正)

区分 H27.4.1~H28.3.31
開始事業年度
H28.4.1以降
開始事業年度
付加価値割 0.72% 1.2%
資本割 0.3% 0.5%
所得割 年400万円以下の所得 1.6%(3.1%) 0.3%(1.9%)
年400万円超800万円以下の所得 2.3%(4.6%) 0.5%(2.7%)
年800万円超の所得 3.1%(6.0%) 0.7%(3.6%)
地方法人特別税 93.5% 414.2%

制度見直しが行われているもの

繰越欠損金(平成28年度税制改正)

資本金1億円超の普通法人の繰越欠損金の控除限度額の段階的引下げ措置が下記の通りとなります。
なお、中小法人等の控除限度割合は、従来通り100%控除可能です。また、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金より、欠損金繰越期間は10年とされます。

区分 H27.4.1~H28.3.31
開始事業年度
H28.4.1~H29.3.31
開始事業年度
H29.4.1~H30.3.31
開始事業年度
H30.4.1以降
開始事業年度
中小法人以外の
繰越控除限度額
所得金額
×65%
所得金額
×60
所得金額
×55
所得金額
×50
繰越期間 9年 9年 9年 10年

建物付属設備、構築物に係る減価償却方法の改正(平成28年度税制改正)

平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備および構築物の償却限度額算定方法について、定率法が廃止されることとされ定額法へ一本化されました。

区分 H28.3.31以前取得分 H28.4.1以降取得分
建物附属設備及び構築物 定額法または定率法 定額法
鉱業用減価償却資産(※) 定額法または定率法または生産高比例法 定額法または生産高比例法

※ 建物、建物附属設備及び構築物に限る

新たに創設された制度

企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)

青色申告書を提出する法人が、平成28年4月20日から平成32年3月31日までの間に、まち・ひと・しごと創生寄付活動事業に関連する寄附金(特別寄附金)を支出した場合には、通常の損金算入に加えて一定の税額控除を受けることが出来ます。

区分 控除税額 控除限度額
法人事業税 寄附金の合計額×10% 事業税額×20%
法人住民税 寄附金の合計額×20% 住民税法人税割額×20%
法人税 住民税で控除しきれなかった金額
寄附金の合計額×10%
↑いずれか少ない金額
住民税法人税割額×20%

税額控除のイメージ

最近の法人税申告上の注意点

受取配当等の益金不算入制度の株式区分等の変更

株式区分と益金不算入割合が平成27年度に改正されています。その他株式等の保有割合上限(25%未満→1/3以下)、被支配目的株式等の区分把握がされていないなど見られますのでご注意ください。

美術品等についての減価償却資産の判定

平成27年1月1日以降取得の美術品について、その取得価額が1点100万円未満である美術品等は原則として減価償却資産に該当し、取得価額が1点100万円以上の美術品等は原則として非減価償却資産に該当するものとして取り扱うこととされておりますが、この検討をされていないことがあります。

交際費の控除対象外消費税等の把握

消費税の課税売上割合が95%未満となり生じる控除対象外消費税額等について、資産に係るもの以外はその全額がその事業年度の損金に算入されます。ただし、交際費等に係る控除対象外消費税額等に相当する金額は交際費等の額として、交際費等の損金不算入額を計算する必要があります。

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