税務会計業務のポイント
アクタス税理士法人
「相続対策」と聞いたとき、真っ先に思い浮かぶのは「相続税を減らす対策」のことではないでしょうか。しかし、実際に相続が発生した場合に考えなければならないことは、必ずしも相続税のことだけではありません。正しい相続対策には、欠かせない3つの対策があります。次の世代へ財産をつなげるよう早めに対策を検討しましょう。
遺産分割対策とは、相続人の間で争いが起きないよう誰にどの財産を引き継ぐか検討し準備する対策です。
実は遺産の分割方法によっては相続税の金額にも影響が出てくるため最も重要な相続対策です。“争族”を避けるためにも、生前に意思をしっかりとのこしておくことが大切です。
【対策例】遺言書の作成 遺言書は本人の意向を生前に残す重要な意思表示の手段であり、原則として法律で定められている規定よりも優先されます。法定の相続人や相続割合以外での相続を望む場合は、遺言書を作成しておきましょう。また、遺言書があれば遺産分割協議が不要になり、迅速に相続手続きを進めることができます。遺言書は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。 |
相続税額の負担を少なくする対策です。相続税は遺産総額をもとに計算しますので、遺産総額を少なくする対策を行えば相続税額も少なくなります。生前贈与により無税又は相続税の税負担率よりも少ない税負担率で財産を移動させる方法や、預金を不動産にかえるなどで相続税上の評価額を下げる方法などにより、結果として相続税の負担を軽減させることができます。
【遺産総額を少なくする対策例①】 生前贈与 個人間で贈与があった場合、贈与を受けた者(以下「受贈者」といいます)に贈与税が課されますが、受贈者1人につき年110万円までは課税されません。孫5人にそれぞれ100万円ずつ贈与するといったように、この基礎控除をうまく活用して、財産を次世代に引き継いでいきましょう。 また、贈与には様々な非課税措置や優遇措置が用意されています。代表的な制度は以下のものです。
【非課税制度を活用する対策例②】生命保険の活用 |
相続税は「現金一括納付」が原則です。遺産のうちに不動産の割合が多い場合や自社株式(非上場株式)の評価が高い場合、相続税が多額になりますが、簡単に換金できず納税資金が足りなくなる恐れがあります。自社株式の評価や相続税シミュレーションを行い、将来どのくらい納税が発生するか事前に把握し、納税資金を手当てしておくことが重要です。納税資金対策としては、生命保険の活用、経営者であれば死亡退職金等の設定などが考えられます。
Q1.遺言書を作成しておいた方がいいケースを教えて下さい
A1.下記のような場合には特に遺言書作成の検討をお勧めします。
○特定の人に財産を渡したい場合
例)子供がいない、妻には自宅をのこしたい、相続人でない孫や内縁の妻に
相続させたい 等
○遺族の争いを避けたい場合
例)人間関係が複雑である、兄弟仲が悪い 等
○分割協議手続きが困難である場合
例)相続人が多数いて集まることが難しい、相続人が高齢である、相続人に
未成年者がいる 等
Q2.遺言書は3つのものがあるとのことですが、それらにはどのような違いがあるのでしょうか?
A2.遺言書は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります。これらは、作成方法や死亡後の取扱い等について違いがあります。メリットやデメリットを理解したうえで、状況に応じて選択しましょう。
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
---|---|---|---|
作成方法 |
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メリット |
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デメリット |
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なお、遺言内容が相続人の遺留分(民法上保護されている相続人の最低限の権利)を侵害していた場合、後日遺留分減殺請求が行われ、相続人間でトラブルが生じる可能性があります。将来の“争族”を避けるたには、遺留分を侵害しないような遺言書を作成した方が安心です。
Q3.贈与税の申告をしているので、生前贈与の成立に問題ないと思っていますが大丈夫ですか
A3.民法上、贈与は「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と規定されています。例え贈与税の申告をしていたとしても、贈与者・受贈者双方の合意を説明することができなければ贈与の事実がないと判断され、税務当局から贈与は無効と指摘を受ける可能性があります。よって、贈与の事実を示す書類として必ず贈与契約書を作成し、贈与者・受贈者それぞれが自署捺印することで、「贈与をした」「贈与を受けた」という認識と証拠を明確に残しておくことが重要です。また贈与を受けた預金等の財産(預金通帳・印鑑等)は、必ず受贈者本人が管理するようにして下さい。
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