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第116回 「平成30年分所得税確定申告のポイント」|税務会計業務のポイント

第116回 「平成30年分所得税確定申告のポイント」|税務会計業務のポイント

 アクタス税理士法人

確定申告シーズン到来、平成30年分の所得税の確定申告の申告期間は、平成31年2月18日(月)から3月15日(金)までです。医療費控除やふるさと納税など確定申告が必要な方は、早めに準備して期限までに申告をしましょう。なお、還付申告については、平成31年2月15日(金)以前でも行うことができます。

平成30年分の確定申告の改正ポイント

平成30年分の確定申告より適用される改正事項のうち、主な変更点は次のとおりです。今回から、スマホでの申告書の作成が可能となり、さらにe-Tax(電子申告)も、事前に税務署でID・パスワードの交付を受けることにより、マイナンバーカードがなくても申告ができるようになりました。ご自宅からの手続きに便利です。

改正項目
概要
電子申告
これまで必要であった「マイナンバーカード」と「ICカードリーダライタ(電子機器)」がなくても、税務署で発行される「ID・パスワード」方式により、ご自宅やスマホから電子申告をすることができるようになりました。
スマホ申告
スマートフォンで申告書を作成できるようになりました。特に、サラリーマンの方の還付申告については、スマートフォンに適したデザインの専用画面が提供されています。
配偶e-Tax
(者控除)
納税者本人高所得者である場合の配偶者控除が廃止・縮減されました。申告する方の合計所得金額1,000万円を超える場合は、配偶者控除の適用を受けることができません。
配偶者特別控除
控除対象となる配偶者の給与収入の上限141万円から201万円(合計所得金額ベースでは76万円から123万円)に拡大され、控除額が改正されました。

確定申告をすれば税金が戻ってくる方

サラリーマンなどの給与所得者は、原則として勤務先で年末調整されていますので、確定申告の必要はありません。しかし、医療費控除などは年末調整では控除を受けられませんので、確定申告をすることで納め過ぎになっている税金の還付を受けることができます。「控除」のうち、代表的なものは次のとおりです。

所得の種類
概要
所得控除
医療費控除
病院や薬局などで年間10万円超の医療費を支払った方が対象です。領収書は自宅で5年間保存すれば提出は不要です。代わりに明細書(集計表)の提出が必要とされています。健康保険組合等が交付する医療費通知を添付すると明細書の記入を省略できます。
セルフメディ
ケーション税制
(医療費控除の
特例)
健康診断や予防接種などの取組を条件に、ドラッグストアで風邪薬などの特定の医薬品を年間1万2千円超(上限10万円)購入した方が対象です。レシートには対象品目である旨の目印(★印など)が付されています。従来の医療費控除と選択適用(併用不可)です。
寄付金控除
国、地方公共団体(ふるさと納税)、日本赤十字社、公益社団法人、認定NPO法人などに対する寄付金、政治献金、災害義援金などが対象となります。確定申告には、寄付金の受領証や証明書が必要になります。
雑損控除
自然災害、火災、盗難、横領、シロアリ被害などにより、住宅や家財、車両などの生活資産に被害を受けた方のための税負担を軽減する特例です。ただし、実際の控除額は、損失額から保険金で補てんされる金額を差し引いた額を基に計算されます。
税額控除
住宅ローン控除
住宅ローンによりマイホームを購入・増改築した場合は、年末借入金残高の1%(最大40万円)を税額から控除できます。住宅ローン控除を適用する最初の年確定申告が必要です。
住宅耐震改
修特別控除
昭和56年5月31日以前(旧耐震基準)に建築された住宅について、現行の耐震基準に適合する耐震改修をした場合は、費用の額の10%(最大25万円)を税額から控除できます。
配当控除
株式などの配当金を受け取る時には、一律に税率20.315%の税金が源泉徴収されています。課税所得が695万円以下(目安)の方は、確定申告で総合課税を選択し配当控除(配当所得の10%)を受けることで、源泉徴収された税額の一部を取り戻すことができます。

Q&A

Q1.還付金の受取方法と還付される時期について教えてください。

A1.還付金の受取りには、「指定した金融機関の預貯金口座への振込みによる方法」と「最寄りのゆうちょ銀行各店舗・郵便局に出向いて受取る方法」があります。還付金は、確定申告書を提出後おおむね1か月から1か月半程度で還付されます。電子申告で提出すると、3週間程度で処理され、書面で提出した場合に比べて早く還付を受けることができます。

Q2.昨年の確定申告でもマイナンバーを提出しましたが、今年の確定申告でも「マイナンバーの記載」および「本人確認書類の添付」が必要でしょうか。

A2.確定申告書を提出する都度、「マイナンバーの記載」および「本人確認書類の提示または写しの添付」が必要となります。電子申告する場合は、「本人確認書類の提示または写しの添付」は不要です。

Q3.ふるさと納税の「ワンストップ特例」を申請しましたが、留意すべきことはありますか。

A3.「ワンストップ特例」を申請された方であっても、「6か所以上の自治体にふるさと納税をした場合」や「医療費控除などにより確定申告をする場合」は、全てのふるさと納税の金額を寄付金控除の計算に含めて確定申告をする必要があります。

Q4.住宅ローン控除の申告をする際の留意点を教えて下さい。

A4.国税庁発表による申告誤りの多いケースとして、次の3点が挙げられます。

  1. 「住宅の取得価額」から「住宅資金の非課税贈与を受けた金額」を差し引かずに、「住宅の取得価額」と「ローン残高」を比較しているケース
  2. 「住宅ローン控除」と「居住用財産の譲渡に係る3,000万円控除」を重複適用しているケース
  3. 合計所得金額が2,000万円超である方が、住宅資金贈与の非課税特例を適用しているケース

Q5.スマートフォンで申告する際の留意点を教えてください。

A5.スマートフォンで電子申告をお考えの方は、次のような点にご留意ください。

  1. 電子申告のためのID・パスワードを発行するには、税務署で対面による本人確認が必要となります。
  2. Androidの方は、事前にAdobe Acrobat Readerをインストールする必要があります。
  3. 事業所得や不動産所得がある方の「青色申告決算書」「収支内訳書」はスマホでは作成できません。

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