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第132回 「家賃支援給付金と固定資産税等の減免について」|家賃支援給付金について

第132回 「家賃支援給付金と固定資産税等の減免について」|家賃支援給付金について

 アクタス税理士法人

事業者の毎月負担する費用のうち、「人件費」と「地代家賃」は大きな支出です。 新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」といいます)の影響を受けた事業者に対する支援策として、「人件費」については、雇用調整助成金などで既に手当がなされております。

一方、「地代家賃」は、大きな負担として残っておりましたが、2020年6月12日成立の第2次補正予算におきまして、家賃の負担を支援する「家賃支援給付金」制度が新設されました。

今回は、その家賃支援給付金と固定資産税等の減免措置の、不動産に関連する支援策についてお伝えします。

家賃支援給付金について

固定費の中で大きな負担である地代家賃の軽減を目的にテナント事業者に対して給付金が支給されます。

 

対象者
(1)中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業者等であって、2020年5月から12月の売上高が次の該当要件のいずれかに該当する事業者
該当要件
(1)いずれか1ヵ月の売上高が前年同月比で50%以上減少
(2)連続する3ヵ月の売上高が前年同月比で30%以上減少
該当要件
(1)給付額は申請時直近の月額家賃に基づき算出される給付額(月額)の6倍(6ヵ月分)
(2)給付額は、2/3
(3)給付上限額(月額)は、法人50万円(75万円の2/3)、個人事業者25万円(37.5万円の2/3)

経済産業省「令和2年度第2次補正予算案の事業概要」から引用
*複数店舗を賃貸する場合など、給付上限額を超える場合は例外措置が設けられています。
 支払家賃(月額)のうち、給付上限超過額の1/3が追加で給付されます。
 給付上限額(月額)は、法人100万円個人事業者50万円に引き上げられます。

申請書類については、持続化給付金と同様に確定申告書類・減収を証明する書類のほか、 不動産賃貸契約書(家賃額、契約期間等)・賃料の支払い実績を確認できる書類(通帳の写し・支払明細書・領収書等)等 とされており、より具体的な申請書類等の詳細については、経済産業省HPで公表される予定となっております。
感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している法人(資本金10億円未満等)や個人事業者に対して、最大で法人200万円、個人事業者100万円の持続化給付金が支給されます。

家賃減少に関する税務上の取扱いのまとめ

  1. 感染症による家賃減額の法人税法上の取扱い

    テナント等が感染症の影響により収入が減少し、事業継続が困難な状況やそのおそれがあるときに、その状況に陥ったテナント等の復旧支援のために、相当期間内に家賃の減額を行うことを書面などで確認できる場合には、実質的に取引条件の変更として考えられるため、税務上の寄付金として取り扱われることはありません。

  2. 消費税の経過措置の適用を受けている家賃が減額された場合

    不動産の家賃について、消費税率等の経過措置(旧税率8%)の適用を受けているものである場合、平成31年4月1日以後に家賃を変更したときには、変更後の家賃には経過措置は適用されませんが、その家賃の変更が「正当な理由に基づくもの」であれば、経過措置が継続して適用されることとなっております。

    上記1.に該当する家賃の減額である場合は、「正当な理由に基づくもの」として取り扱って良いこととされております。

  3. 不動産オーナーの家賃減額に対する自治体による助成について

    東京都の新宿区や兵庫県の神戸市など一部の自治体では、不動産オーナーが感染症の影響で売り上げが減少しているテナント事業者に対し、事業が継続できるよう家賃を減額した場合、その不動産オーナーに対して、減額した家賃の一部を助成する制度がございます。

固定資産税・都市計画税の免除について

感染症の影響で事業収入が減少している事業者の2021年度の固定資産税・都市計画税を免除する制度です。

軽減対象資産
設備等の償却資産税及び事業用家屋に対する固定資産税(土地に係る固定資産税は対象となりません)や事業用家屋に対する都市計画税
適用対象者
(1)中小企業者や小規模事業者(※)で 感染症の影響により2020年2月から10月までの任意の連続する3ヵ月間の事業収入の対前年同期比減少率が次の(1)(2)の割合減少していること
(2)認定経営革新等支援機関等から確認書を発行してもらっていること
減少率と減免率
(1)対前年同期比30%以上50%未満の減少  1/2を減少
(2)対前年同期比50%以上の減少  全額を免除
減少率と減免率
(1)対前年同期比30%以上50%未満の減少  1/2を減少
(2)対前年同期比50%以上の減少  全額を免除
申告期限
2021年1月1日から2021年1月31日(認定支援機関等による受付開始は2020年6月中旬以降開始予定)
認定経営革新等
支援機関等への<申請書類>
(1)中小事業者等であることが確認できる書類
個人事業者は、①常時使用する従業員が1,000人以下である旨の誓約書、②性風俗関連特殊営業を行っていない旨の誓約書法人は、①資本金の記載のある登記簿謄本の写し等、②大企業の子会社でない旨の誓約書、③性風俗関連特殊営業を行っていない旨の誓約書
(2)事業収入の減少がわかる資料会計帳簿等で、2020年2月から10月までの任意の連続する3ヶ月間の事業収入が前年同期間と比べ減少していることの確認
(3)(3) 減免の対象家屋の居住用・事業用割合がわかる資料青色・白色申告決算書等で、この制度の対象家屋の居住用・事業用割合の確認

*資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人、資本又は出資を有しない法人又は個人は従業員1,000人以下の場合が対象です。ただし、大企業の子会社等は対象外となります。

Q&A

Q1.2020年度分の固定資産税は軽減されないのですか?

A1.本制度は来年2021年度の固定資産税や都市計画税の軽減措置となっております。2020年度分については別措置として、事業収入が大幅減少した場合(前年同期比20%以上)に1年間納税の猶予ができます。

Q2.複数の市町村をまたいで複数の店舗(家屋)がある場合は、どこに申告すればよろしいですか?

A2.固定資産税を納税しているそれぞれの市町村に申告していただく必要があります。この場合、事業収入の減少は店舗毎のカウントではなく、全ての事業に係る収入の合計で要件を検討することとなります。

Q3.開業間もなく、比較すべき前年同期比の事業収入が無い場合はどうなりますか?

A3.本制度は前年と比較して一定の事業収入が減少している場合を要件としております。前年同期との比較ができない場合、新型コロナ感染症の影響であることが確認できないことから、対象外となります。

Q4.ビルを賃貸してますが、感染症の影響によりテナントの家賃を猶予や減額した場合も対象となりますか?

A4.事業収入の減少が感染症を原因とするもので、連続する3か月の前年同期比の減少率などの要件を満たしたものであれば、テナントの求めに応じて行った家賃の猶予や減額であっても、減免の対象となります。

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