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第140回 テレワークに関する税務上の取扱い

第140回 テレワークに関する税務上の取扱い

 アクタス税理士法人

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために、在宅勤務・テレワークを導入する企業が増えています。
テレワークを導入するにあたっては、パソコンの手配や通信環境の整備など、以下のような内容について、事前の検討や準備が必要となります。
1.パソコン等のハードウェアの確保  
2.通信環境の整備  
3.セキュリティ対策  
4.Web会議ツールの導入  
5.連絡手段の検討  
6.スケジュール管理方法の検討  
7.勤怠管理・業務管理の方法の検討  
8.在宅勤務制度・規程の整備 等々
このような、テレワーク導入に係る費用については、税制上の優遇措置や助成金が準備されております。
また、在宅勤務・テレワークを行う従業員へ支給する手当などについては、2021年1月に国税庁から「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」が公表されております。
今回は、これらテレワークに関する税務上の取扱いについてお伝えします。

■中小企業経営強化税制

テレワーク等を促進するための税制上の優遇措置として、「中小企業経営強化税制」の対象に、デジタル化設備(C類型)が追加されました。本税制は、要件を満たす設備への投資を行った中小企業者等について、投資額の即時償却又特別控除(取得価額の7%、資本金が3,000万円以下の法人にあたっては取得価額の10%)を可能にするものです。

類型 生産性向上設備
(A類型)
収益力強化設備
(B類型)
デジタル化設備
(C類型)
要件 生産性が旧モデル比平均1%以上向上する設備 投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備 遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にする設備
確認者 工業会等 経済産業局 経済産業局
対象設備 ・機械装置
(160万円以上/10年以内)
・測定工具及び検査工具
(30万以上/5年以内)
・器具備品
(30万以上/6年以内)
・建物附属設備
(60万円以上/14年以内)
・一定のソフトウェア
(70万円以上)
・機械装置
(160万円以上)
・工具
(30万以上)
・器具備品
(30万以上)
・建物附属設備
(60万円以上)
・ソフトウェア
(70万円以上)
・機械装置
(160万円以上)
・工具
(30万以上)
・器具備品
(30万以上)
・建物附属設備
(60万円以上)
・ソフトウェア
(70万円以上)
その他
要件
生産等設備を構成するものであること/国内への投資であること/中古資産・貸付資産でないこと/工業会等・経済産業局の確認を受けること 等

■テレワーク導入費用の課税関係

テレワークを開始するにあたっては、従業員へテレワーク環境準備費用の現金支給することがあります。
また、パソコンやモニターなどの事務用品等を従業員に貸与又は支給することとなります。
事務用品については、会社所有として管理するか、従業員へ返却不要なものとして支給するかにより、課税関係が異なってきます。

  企業が直接購入等する場合 従業員が一旦立替し精算する場合
現金給付 給与課税
事務用品の貸付 非課税 非課税
事務用品の支給 給与課税 給与課税

■在宅勤務手当の課税関係

テレワークによる生じる通信費や電気料金などの経済的負担を軽減するために、従業員に対して、テレワーク(在宅勤務)手当を支給する企業もあります。
テレワーク(在宅勤務)手当を一律支給するか、実費精算するかにより、課税関係が異なってきます。

一律支給 給与課税
実費精算(業務にのみ使用する費用) レンタルオフィスの利用料や業務にのみ使用する携帯電話の通話料など利用明細から金額が確認できる費用を実費精算する場合は非課税
実費精算(家事利用部分が混在する費用) インターネットの通信費や電気料金などの費用は、業務のために使用した部分の費用を実費精算した場合は非課税(※)

※業務使用部分の計算については、簡便的な計算も認められています(以下「通信費」の計算例)。

業務のために    従業員が負担した   その従業員の1か月の在宅勤務日数         
使用した基本使 = 1か月の基本使用 ×         ー           ×    
用料や通信料等   料や通信料等          該当月の日数              2

■在宅勤務時に支給する通勤手当の課税関係

テレワーク導入により、従業員の出社回数が減少した又は出社しないこととなった場合の通勤手当の支給は、実態に応じて給与課税の対象となることがあります。

  出社予定あり 出社予定あり
(勤務地が自宅となる場合)
従前どおりの通勤手当金額を支給 非課税 給与課税
一律同額の通勤手当を支給 経済的に合理的な範囲内の場合非課税
出社の都度に実費精算 非課税

■助成金関係

テレワーク導入経費への助成金を募集している自治体があります。今回は東京都を例にご紹介致します。

  テレワーク環境の構築 就業規則へのテレワーク環境整備
対象事業主 常時雇用する労働者が2名以上999名以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等  同左
適用期間 令和2年4月8日から令和3年3月31日まで 同左
助成対象経費 テレワークを行うための機器等の購入費用、システム構築費用、関連ソフト利用料、モバイル端末購入費用 テレワークに関する規定を就業規則に定めることに要する専門家への報償費または委託費
支給額 助成率:10分の10
限度額:100万円(従業員数100人未満の事業者は30万円、100人~299人の事業者は60万円)
助成率:10分の10
限度額:10万円(全従業員規模共通)
申請場所 雇用環境整備課 同左

※東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」への参加や都が実施するテレワーク導入コンサルティングを受けていること等の要件があります。※支給決定日から3月以内に完了する取組が対象となります。

調査レポート「なぜ経理/財務部門ではテレワークが進まないのか」

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