日本の会計・人事を変える。”もっとやさしく””もっと便利に”企業のバックオフィスを最適化。

三桜工業株式会社様

証憑管理オプションにて証憑の可視化とペーパーレス化を促進
新たな財務会計基盤によって経営貢献する組織へと成長を遂げる

三桜工業株式会社様

■事業内容 : 製造業

車両配管をはじめ、エンジン関連部品等の自動車関連部品の製造・販売 等

導入の背景

経理業務の効率化とガバナンス強化を目指した会計統合

1939年に航空機部品製造を中心に創業し、1963年に開始した自動車用特殊配管製造をきっかけに自動車部品製造業へ進出した三桜工業株式会社。

車両配管をはじめ、エンジン関連部品のパワートレインや熱交換関連製品、環境・安全関連製品など、自動車の“走る・曲がる・止まる”の根幹を担う製品を世界22ヵ国91ヵ所の製造拠点から提供し続けている、自動車関連部品のグローバルサプライヤーだ。独立系のメーカーとして特定の自動車メーカーに依存することなく、現地生産化にも積極的に取り組みながら製品を提供しているのが大きな強みの1つである。

そんなビジネスを展開する同社だけに、会計のグローバル対応も求められているが、まずは国内の経営基盤の強化を図るべく国内における会計システムの統合を計画。経理作業の効率化とともにガバナンス体制を整備することで、迅速な監査対応が可能な財務会計基盤への脱皮を図るプロジェクトをスタートさせることになる。

導入前の課題

手作業による処理で非効率なプロセスが課題に

三桜工業株式会社 増田 政臣 氏

迅速な海外展開を進めてきた同社において、効率的かつ正確に経理情報を収集する仕組みは重要なテーマであったが、足元の国内において分散する複数の拠点の会計システムが個別に稼働しており、単体決算を行う際には、工場で作られた財務諸表をもとにExcelを使って手作業で合算せざるを得なかった。「工場の会計システムで試算表が作成されるのですが、合算金額しか送られてこないため、明細までの情報を得るためには個別に問い合わる必要がありました。合算作業自体にも手間がかかりますし、数字を分析する粒度が粗くなってしまう。

決算数値の集計自体に多くの労力をつぎ込まざるをえない状況であった」と財務経理部 経理グループ長 公認会計士 増田 政臣氏は当時を振り返る。

請求書などの証憑も現場にしか存在しないため、その都度必要なものを送ってもらっていた。「取締役会や決算発表のぎりぎりまで作業することもあった。ガバナンスという意味でも、新たな仕組みが不可欠でした」と増田氏。経理部門の問題というよりも経営課題として取り組む必要があったのだ。

増田氏自身が着任間もない状況だったものの、既存の業務プロセスを見たうえですぐに何らかの手を打つ必要があると決断。「会計ルールの複雑化が進み、会社の事業規模も拡大する中、まずは効率的で正確な決算財務報告プロセスを整え、決算業務に関わる社員が安心してストレスなく仕事できる環境を整備する必要があった。そのため単体での決算および連結決算までのフローを最適化し、決算短信を開示するまでの一連のプロセスを見直すことにしたのです」。そこでプロジェクトチームが結成され、増田氏は単体の決算プロセスを担当し、業務の効率化を目指すことになる。

システム選定と導入

IFRSなどへの対応も視野に、データの一元化が可能な基盤を希望

当初からパッケージを検討していた増田氏。「集計を行うだけの組織を目指すのであればいざ知らず、現実には経理部門として経営判断に必要な情報を適切かつ迅速に提供する役割が求められます。したがって業務の効率性だけでなく、経営分析の高度化という点においても今までのやり方を踏襲する選択肢はありませんでした」と増田氏。そこでまずは単体で統制の取れた形で決算プロセスが確立できるパッケージを念頭に置いて製品選定を行ったという。そこで同社の目に留まったのがSuperStream-NXだった。

SuperStream-NXを提案したTIS株式会社のコンサルティング力を高く評価したことが大きな選定理由の1つだが、導入実績の多さや運用コストの低さなども評価したポイントに挙げられる。「目指していたのはデータの一元化が可能な基盤であり、本社にいながら九州にある工場の伝票明細まで掘り下げることができる仕組み。また、将来的なIFRSへの対応も視野に入れた複数帳簿の管理に加え、経費精算や債務支払業務などもシンプルにできる環境があれば理想的だと考えていました」と増田氏。それらの要件を満たしたのが、SuperStream-NXだったのだ。

ほかにも、自動車部品業界での導入実績についても高く評価したポイントだ。「社内的な理解を得やすかったポイントの1つが導入実績の多さです。十数年ぶりに基幹業務の一元化を実現するためのシステム導入だけに、社内的な説明もしっかり行う必要があります。同業他社が利用しているというのは非常に説得力がありました」と増田氏。

結果として、SuperStream-NXが同社単体での財務会計基盤として採用され、業務効率化とガバナンス強化に向けたインフラとして稼働を迎えることになった。

導入効果

国内の会計統合と証憑管理によるペーパーレス化を加速

現在はSuperStream-NXを本社および各工場で利用しており、日々の仕訳処理や月次処理、単体での決算処理に活用、各部門長も含めて40名ほどが統合会計を利用している。プロジェクト自体は下期決算と四半期決算と並行して行われたため、実質的に4か月という短期間での導入プロジェクトとなった。「財務経理部門がコアメンバーとなって、関連部署のメンバーとプロジェクトを組んでいきました。当然ですが、長年運用してきた業務を変更することへの抵抗感も出てきます。そこで短期決戦型でプロジェクトを進めました。皆をゆっくり説得するのではなく、明確な指針を決めて即断を促すことでうまく進めることができた」と増田氏。短期間での導入に向けては、英語版も含めた詳細なマニュアルを作成し、各拠点で説明会を開いて根気よく説明。メンバー一丸となって推進したことで、新たな財務会計基盤を安定稼働させることに成功している。「これまで全社共通のインフラを導入するプロジェクト自体、私含めコアメンバーにとって初めての経験であったが、安定稼働が実現できたことは大きな自信にもなり、社内のプレゼンス向上にも貢献した。実現できたのは一緒に先頭に立ってくれたTISのサポートとSuperStream-NXの柔軟性も大きく貢献した」と増田氏は評価する。

なお、経営層からペーパーレス化の要望が出たことで、稼働後にはSuperStream-NX証憑管理e文書対応オプションを導入し、請求書や旅費交通費の領収書など証憑の電子化を行っている。同社では、税務ルールとして30日以内に電子化し、原本は3か月後に廃棄できる運用を選択・採用している。実際の運用は、各工場の経理部門が、入力した仕訳情報に関連したQRコード付きの台紙を出力し、領収書などの証憑と台紙をいっしょにスキャニングして仕訳データと証憑データを紐づけている。「1枚ずつ糊付けするのではなく、領収書を台紙にステープラーで止め、クリアファイルに入れて一気にスキャニングしています。慣れると非常に簡単です」と増田氏。

証憑管理オプションによって、データ分析や問い合わせ対応の際に、その場で証憑確認できるようになった点は大きいという。「対応業務が効率化され、税務調査などでもファイルを集めて持ってくる必要もなく、業務的な負担は大きく削減できています。以前は摘要への記入もルール化されておらず、分析ができなかった。今は当たり前になっていますが、導入当時はエビデンスとなる証憑が画面から確認できた時には感慨深いものがあった」と増田氏は評価する。

全体的に得られた効果としては、以前は取締役会前日までかかっていた決算資料作成が、半分の人数で3日前の昼には終えることができており、「単体から連結に至るプロセスの効率化にも大きく寄与しています。以前と比べると革新的な変化です」と増田氏は評価する。また、コアメンバーがプロジェクト発足時からかかわったことで、単体から連結に至る業務プロセスを理解できるようになり、メンバーの知識や理解度、分析スピードなどが大きく向上したという。「以前は単体と連結で部隊を分けていたのですが、各メンバーのスキルが底上げされたことで分ける必要がなくなりました。各メンバーが連結決算まで含めた広いプロセスにまで関わるようになり、属人化することなく業務が遂行できています」と増田氏。

また、業務効率化に伴う生産性の向上だけでなく、本来求められる役割を果たす時間が確保できるようになり、財務経理部として経営貢献する組織に変わりつつあると実感しているという。「数字ばかりの経営会議資料からわかりやすくビジュアル化されたシンプルな資料に改善する余裕も生まれ、拠点別の会計単位だけでなく、製品属性に応じた事業部単位の業績の確認などがすぐに行えるようになっています。情報が一元管理されたことで明細単位までドリルダウンできるようになり、情報活用にもSuperStream-NXは大きく貢献している」と増田氏は評価する。

今後の展望

経費精算業務の更なる効率化、RPAによる経理業務の自働化にも期待

証憑管理については、まずはペーパーレス化を図ることが前提となっており、あくまで第一段階にあるという。「いずれは担当者自らスマートフォンで証憑を撮影し、その場で経費精算できるようなところまで持っていきたい」と増田氏。電子化するタイミングを早めることで税務的なルールも厳しくなるものの、ステップごとに導入できるメリットは大きいと証憑管理オプションについて評価する。そこまで行って初めて、効率化をはじめとした真の効果が得られるはずと増田氏。会計のグローバル化については拠点ごとの規模が異なっており、現地法人ではその国のシステムを使わざるを得ないケースもある。日常的な経理処理というよりも、連結後のデータ分析など経営情報管理の強化を検討していく可能性はあり、グループ経営管理のような仕組みも視野に入れているという。

ほかにも、スマートフォンなどを活用した経費精算の仕組みやRPAをはじめとした効率化に寄与するソリューションについても興味を持っており、SuperStream-NXへの今後についても期待を寄せていると増田氏に語っていただいた。

パートナー情報とコメント

TIS株式会社

お客様情報

会社名 三桜工業株式会社
本社 東京都渋谷区恵比寿1-23-23
URL http://www.sanoh.com/
従業員数 8,581 人(2017 年3 月現在)
事業内容 車両配管をはじめ、
エンジン関連部品等の自動車関連部品の製造・販売 等

本導入事例に記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。