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第10回 「-RPA特集 第6回- どのような経理業務に使えるのか(その2:買掛金請求書業務)」

掲載日:2019.06.01
今回も、実際にRPAを導入して自動化した、具体的な業務を紹介します。
出典は前回同様、株式会社矢野経済研究所が公表した『RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)市場の実態と展望 2018』です。

第2弾の今回は、欧州の某製造業企業が自動化した「買掛金請求書業務」です。

この企業では、ERP システムを導入したものの買掛金業務の自動化が進まなかったようです。
通常、従来の手作業をERPシステムの機能を利用して自動化することで、人件費の圧縮や業務の生産性(効率)の向上が期待されます。
しかし、この企業では、ERPを導入したにも関わらず、買掛金業務は自動化できなかったということです。
最初から自動化の対象外だったのか、当初は自動化の範囲だったが、導入中に断念したのかはわかりません。
いずれにしても、買掛金業務は手作業のまま変わらない状況にあったということです。

手作業の具体的なステップは以下です。
(1)請求書を読んで、内容を理解する。
(2)請求書の内容を受発注納品システムに入力する。
(3)入力したデータが適切であることをチェックする。
(4)帳簿に転記する
上記ステップを全て人力で行っていたようです。

この作業をRPAでロボ化して、(1)から(4)の入力・チェック・転記部分を自動化できたそうです。
このロボ化によって、以下の効果がありました。
A)約6~7 割程度の作業時間圧縮に繋げられた。
B)エラー数の削減・手戻り回数の抑制など作業品質の改善に繋がった。
A)は、「人件費の圧縮」つまり「コストダウン」の効果だけではなく、「生産性(効率)アップ」の効果があったことになります。
B)は、「業務品質の向上」の効果があったことになります。

RPAを利用して業務をロボ化する効果は、「コストダウン」だけではないことがわかります。
これは今の日本企業におけるRPAの導入のあり方の参考になります。
というのも、日本企業でのRPA導入は、「コストダウン」ばかりに目が向いていて、「生産性の向上」や「業務品質の向上」にはあまり重点が置かれていないと感じられるからです。

具体的には、社内や部内でRPA導入の稟議を申請しても、「費用対効果はあるのか」という一言で、明確に立証できないことから、RPAの導入が断念されるケースを、非常に多く耳にしています。
「費用対効果」と言われると、RPAでロボ化しようとしている業務が、現在、何人で何時間かかっているのかを調査・集計することになります。
なかなか正確には計測できない上に、計測したところで、あまり時間がかかっていないということになると、「ロボ化する意味がない」ということになってしまいます。

しかし、私はこれは逆の話だと思います。
帳票のエクスポートやメールの配信など、ちょこまかとした、あまり工数のかかっていない作業が、他の業務の間に入ってきていて、じっくり考えることを妨げるのであれば、時間がかかっていなくても、RPAで自動化して人間がやらなくても済むようにすれば、人間の作業効率や創造的な作業がじっくりできるようになります。

「収益認識」や「リース」などの会計基準が大きく変わり、自社がどのように対応するべきかとか、自社のビジネスが変ったときに、管理会計はどうすればよいかなど、人間でしか対応できないことがどんどん増えている中で、ちょこまかとした作業を自動化する意味は、小さくないと思います。

ちょこまかとして作業をロボ化して、「塵も積もって」毎日8時間分の作業をRPAで実行できたとしたら、一人分の人件費が浮いたことにもなるでしょう。
現在、何人で何時間かかっているのかなんて、調査・集計せずに、「ちょこまか作業」をどんどんロボ化する方が早いと思います。

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  1. 第15回 「-RPA特集 第11回- RPAは内部統制上問題とならないのか」(2019.11.01)
  2. 第14回 「-RPA特集 第10回- RPAで自動化させるのはだれか」(2019.10.01)
  3. 第13回 「-RPA特集 第9回- RPAを導入する上での留意点(その2)」(2019.09.01)
  4. 第12回 「-RPA特集 第8回- RPAを導入する上での留意点(その1)」(2019.08.01)
  5. 第11回 「-RPA特集 第7回- どのような経理業務に使えるのか(その3:経費精算業務)」(2019.07.01)
  6. 第10回 「-RPA特集 第6回- どのような経理業務に使えるのか(その2:買掛金請求書業務)」(2019.06.01)
  7. 第9回 「-RPA特集 第5回- どのような経理業務に使えるのか(その1:入金消込業務)」(2019.05.01)
  8. 第8回 「-RPA特集 第4回- 日本企業の経理部門になかなかRPAが導入できない原因(その2)」(2019.04.01)
  9. 第7回 「-RPA特集 第3回- 日本企業の経理部門になかなかRPAが導入できない原因」(2019.03.01)
  10. 第6回 「-RPA特集 第2回- 日本で利用されているRPAにはどのようなものがあるのか(その2:国内製品)」(2019.02.01)
  11. 第5回 「-RPA特集 第1回- 日本で利用されているRPAにはどのようなものがあるのか(その1:海外製品)」(2019.01.01)
  12. 第4回 「経理業務とRPA(ロボティクス)」(2018.12.01)
  13. 第3回 「東ロボくん」(2018.10.01)
  14. 第2回 「『使わされる会計』と『使う会計』」(2018.06.01)
  15. 第1回 「楽しい経理」(2018.03.01)

著者プロフィール

中田 清穂(なかた せいほ)

青山監査法人にて米国基準での連結財務諸表監査に7年間従事。
旧PWCに転籍後、連結経営システム構築プロジェクト(約10社)に従事。
その他に経理業務改善プロジェクトや物流管理プロジェクトにて、現場業務の現状分析や改善提案に参画。
旧PWC退社後、DIVA社を設立し、取締役副社長に就任。DIVA社退社後、独立。

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