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1月の人事労務お役立ち情報|『残業時間が1ヶ月60時間を超えた場合の割増率』

1月の人事労務お役立ち情報|『残業時間が1ヶ月60時間を超えた場合の割増率』

 アクタス社会保険労務士法人

今月のお仕事一覧

『1月のお仕事カレンダー』

スケジュール

【1月10日】
  • 12月入社の雇用保険資格取得届の提出(公共職業安定所)
  • 12月分源泉所得税・住民税の納付(郵便局または銀行)
【1月22日】 特例による源泉所得税の納付[7月~12月分](郵便局または銀行)
【1月31日】
  • 12月分社会保険料の納付(郵便局または銀行)
  • 労働保険概算保険料の第3期分の納付[口座振替を利用しない場合](郵便局または銀行等)
  • 労働者死傷病報告書の提出[休業4日未満の10月~12月分の労災事故](労働基準監督署)
  • 法定調書(源泉徴収票・報酬等支払調書・法定調書合計票)の提出(税務署)
  • 給与支払報告書の提出(市区町村)

その他チェック事項

  • 配偶者控除及び配偶者特別控除の取り扱い変更(平成30年1月分~)
    平成30年1月から配偶者控除及び配偶者特別控除の対象者や控除額、源泉徴収における扶養親族等のカウントが 変更されます。
    詳細はバックナンバーを参照ください。http://www.romu.jp/cms_magazine/2017/10/571.html
  • 改正職業安定法施行(平成30年1月1日)
    労働者の募集を行う際に、試用期間や固定残業代などの労働条件の明示をこれまでよりも詳細に行うよう指針の 見直しが行われています。
     詳細は当局サイトを参照ください。 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172497.html  

知っ得!労務クイズ こんな時、あんな時

『扶養親族の数に1人と加算ができる配偶者の新しい名称は?』

-Question-

平成29年度の税制改正により、配偶者控除および配偶者特別控除の見直しが行われ、平成30年以降の源泉徴収方法や所得控除額が変更になります。

給与所得の源泉徴収税額を求める際の扶養親族数の計算方法について、扶養親族の数に1人と加算できる配偶者 の新しい名称はどれでしょうか。

(イ)控除対象配偶者

(ロ)源泉控除対象配偶者

(ハ)同一生計配偶者

-Answer-

(ロ)源泉控除対象配偶者

平成29年度の税制改正により、配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いが変更され、平成30年1月1日より適用となります。

今回の改正により、扶養親族の数に1人と加算できる配偶者の考え方が、下記の通り変更されます。
〈改正前〉「控除対象配偶者」に該当=年間合計収入103万円以下
〈改正後〉「源泉控除対象配偶者」に該当=年間合計収入150万円以下

この「源泉控除対象配偶者」は、給与所得者の合計所得金額が900万円以下の場合にのみ該当となります。

さらに、配偶者控除及び配偶者特別控除の該当要件と控除額についても、次のとおり変更になりました。

(1)配偶者控除を受けられる所得額に上限が設けられ、給与所得者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除を受けることができない。

(2)控除の対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下に拡大(改正前:38万円超76万円未満)。

詳細については以下をご参照ください。
https://www.nta.go.jp/gensen/haigusya/pdf/02.pdf

法改正・労務トピック解説

『残業時間が1ヶ月60時間を超えた場合の割増率』

法報タイムズ第570号(10月5日発行)では、残業時間の上限規制が法律に格上げされる記事を取り上げました。

法報タイムズ第570号「残業時間の上限規制について」http://www.romu.jp/cms_magazine/2017/10/570.html

その中で、残業時間の上限規制の他に押さえておきたい内容があります。それは、残業時間が1ヶ月60時間を超えた場合の割増率についてです。

現在、大企業では60時間を超えた残業時間に対し、50%以上の割増率による支払いを義務付けられていますが、中小企業は猶予されています。
ですが、改正案が施行されると、この猶予が終了する予定になっています。

法律案要綱の中には以下のように記載されています。
「中小事業主に対する一箇月について六十時間を超える時間外労働に対する通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金の支払義務の適用猶予に係る規定を廃止する」

施行期日は平成34年4月1日とされており、審議が予定通りにいくと、あと4年5ヶ月後には、中小企業も60時間を超えた残業時間に対し、50%以上の割増率で時間外手当を支払うことが求められてきます。

月60時間を超える残業の削減には、労働時間管理をしっかり行う必要があります。残業の事前申請・承認制の徹底、あるいは、勤怠管理システムの導入などを進めて、労働時間管理の責任体制を明確化し、残業時間を適正に把握することから始めていきましょう。

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000177551.pdf

給与・社会保険相談Q&A

『出国年調した従業員が帰国した場合の年末調整』

【質問】

海外赴任の為、3月に非居住者になった従業員の赴任期間が急遽短くなり、9月に帰国し、9月からは居住者として税額計算しています。

2月給与時には、出国年調計算しておりますが、今年の年末調整では、どのように計算すれば良いでしょうか。

【回答】

ご質問の状況を以下に整理いたします。

  1. 1月~2月給与:居住者(出国年調計算済)
  2. 3月~8月給与:非居住者
  3. 9月~12月給与:居住者

1)の期間については、出国年調計算をしておりますが、本年は、9月以降も居住者となりましたので、年末調整では、1)と3)の期間の給与を合計して計算することになります。出国時に年末調整計算していますが、この出国時の金額と、9月帰国後の金額を合算して再計算するということです。

また、社会保険料や生命保険料等についても同様の取扱いとなります。居住者の期間中に支払った社会保険料や生命保険料のみが、控除対象となります。
生命保険料控除証明書には、1年間分の支払額が証明されていますが、非居住者期間中に支払った保険料は控除対象となりませんので、注意が必要です。

なお、障害者控除や扶養控除等の所得控除については、年末現在の現況で判断しますので、出国年調時の扶養状況等は考慮する必要はありません。

【海外出向者が帰国したときの年末調整】   https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2518.htm

今月の人事労務相談室

『無期転換後の労働条件として、定年の規定を設けることができますか?』

【相談内容】

当社では、無期転換ルールへの対応にあたり、原則として希望者全員を無期転換する方針ですが、無期転換後の労働条件に一定年齢を上限とする定年制を設けることはできますか?

【社労士のアドバイス】

無期転換後に適用される就業規則に定年の定めを設けることで、労働条件に加えることが可能となります。

無期転換後は原則として転換前と同様の労働条件が適用されますが、就業規則等で「別段の定め」をすることで変更も可能となります。(労働契約法第18条第1項)

特に定年を設定しておかないと、無期転換後は、終わりなく無限に雇用しなければならなくなっていまいますので、正社員と同じように定年の定めを就業規則に設けておくことが現実的です。

なお、定年が60歳だとして、定年年齢後に無期転換の申込みがあると、定年が適用されず、年齢を理由に労働契約の終了ができませんので、「定年年齢を超えて無期転換契約へ転換した社員の定年は、満65歳とする」といった「第ニ定年」の規定を設けることで、通常の定年年齢後に無期転換した者でも一定年齢で契約を終了させることが可能となります。

人事が企業成長を支える時代、戦略人事を実現するために必要な土台の作り方

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