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6月の人事労務お役立ち情報|『働き方改革関連法案が国会に提出され、審議が行われています。』

6月の人事労務お役立ち情報|『働き方改革関連法案が国会に提出され、審議が行われています。』

 アクタス社会保険労務士法人

今月のお仕事一覧

『6月のお仕事カレンダー』

スケジュール

【6月1日】 労働保険年度更新(~7月10日まで)
【6月11日】 5月入社の雇用保険資格取得届の提出(公共職業安定所)
5月分源泉所得税・住民税の納付(郵便局または銀行)
【7月2日】 5月分社会保険料の納付(郵便局または銀行)

法改正・労務トピック解説

『働き方改革関連法案が国会に提出され、審議が行われています。』

働き方改革関連法案が4月6日に閣議決定され、国会に提出されました。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-31.pdf

現在審議中ではありますが、法律案の概要は以下のとおりです。


労働基準法、労働安全衛生法等の一部改正

  1. 時間外労働の上限規制の導入(年720時間、月100時間未満など)
  2. 年次有給休暇の取得義務化(5日間)
  3. フレックスタイム制における清算期間の上限拡大(1ヵ月→3ヵ月)
  4. 高度プロフェッショナル制度の創設
  5. 月60時間超の時間外労働に係る割増率の中小企業への猶予措置廃止
  6. 勤務間インターバル制度の普及促進等(努力義務化)
  7. 産業医・産業保健機能の強化
    【施行期日】平成31年4月1日(中小企業は平成32年4月1日)

※(5)は平成35年4月1日

パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の一部改正

  1. 不合理な待遇差を解消するための法整備(同一労働同一賃金)
  2. 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
    【施行期日】平成32年4月1日(中小企業は平成33年4月1日)

繰り返し審議されてきた本法案も、今国会での成立が見込まれています。
上記のとおり、改正範囲は多岐にわたり、その多くは一朝一夕で対応できるものではございませんので、まずは自社の現状を確認しておきましょう。

また、同一労働同一賃金に大きく関わってくる最高裁による上告審(長澤運輸事件、ハマキョウレックス事件)も6月1日に判決が言い渡される予定となっていますので、あわせてその動向にも注目しておきたいところです。

今月の人事労務相談室

『退職の撤回に会社は応じる必要はありますか?』

【相談内容】

数日前に退職の申出があった社員から、今日になってやはり退職の撤回をしたいとの申出がありました。
会社としてこの撤回に応じる必要はあるのでしょうか。

【社労士のアドバイス】

退職の申出が「退職願」であるか「退職届」であるかによって、撤回の可否が変わってきますので、まずはそれぞれの違いについてみてみましょう。

  • 退職願
    「退職させてほしい」と退職のお願いをするものですので、法的には「労働契約の解約の申入れ」であるものと解されています。
    そのため、その申入れを会社(人事権のある者)が承認した時点ではじめて退職の効力が発生します。
  • 退職届
    「退職します」と退職の意思が明確なものですので、労働者からの「一方的な労働契約の解約の通告」であるものと解されています。
    そのため、その意思表示が会社に到達した時点ですでに退職の効力が発生します。

したがって、「退職願」である場合、会社が承認する前であれば退職の効力が発生していないため、退職の撤回に応じる必要があります。

一方で「退職届」である場合には、意思表示の到達をもって退職の効力が発生するため、退職の撤回をすることはできず、会社がこれに応じる必要はありません(民法第540条第2項)。

ただし、退職の意思表示が真意によるものでなかったり、錯誤によるものである場合には無効となります(民法第93条・第95条)。

また、詐欺や強迫によるものである場合には、その意思表示を取り消すこともできます(民法第96条)。

いずれにしても、退職の申出があった場合には、それをもって終わりにはせず、その意思をしっかりと確認しておくことが実務においては望ましいところです。

人事が企業成長を支える時代、戦略人事を実現するために必要な土台の作り方

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