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5月の人事労務お役立ち情報|『2019年4月より「健康情報取扱規程」の策定が義務づけられました!』

5月の人事労務お役立ち情報|『2019年4月より「健康情報取扱規程」の策定が義務づけられました!』

 アクタス社会保険労務士法人

今月のお仕事一覧

『5月のお仕事カレンダー』

スケジュール

【5月10日】
  • 4月入社の雇用保険資格取得届の提出(公共職業安定所)
  • 4月分源泉所得税・住民税の納付(郵便局または銀行)
【5月15日】
  • 障害者雇用納付金の申告期限(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構)
【5月31日】
  • 4月分社会保険料の納付(郵便局または銀行)

法改正・労務トピック解説

『2019年4月より「健康情報取扱規程」の策定が義務づけられました!』

2018年6月に成立した働き方改革関連法による労働安全衛生法の改正に基づいて、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」が同年9月に策定され、2019年4月1日より適用となっています。

健康情報取扱規程の策定の目的は以下です。

健康診断等従業員の健康に関する情報は機微な個人情報であり、雇用管理において従業員が不利益な取扱いを受けるという不安を抱くことなく安心して健康相談等を受けられるようにすること、また従業員の心身の状態の情報を収集し健康確保措置を十全に行えるようにすることから、全ての企業が「健康情報取扱規程」を定め、従業員の健康に関する情報を適正に管理・活用しなければならないと示されています。

なお「健康情報取扱規程」の策定にあたっては、以下のように労使で協議する必要があります。

  • 「(安全)衛生委員会」がある場合、衛生委員会にて議論します。
  • 「(安全)衛生委員会」がない場合、従業員から意見を収集する場を設ける、または労働者の過半数代表から意見を聴取します。

策定した「健康情報取扱規程」は、必ず従業員全体へ周知が必要です。

周知方法は、常時各作業場の見やすい場所に掲示し備え付けるなど、就業規則の周知方法と同様です。また、新たに策定しても、現在運用している就業規則や従業員向けの個人情報保護規程に盛り込んで管理することも可能です。

規程内容等、詳しくはこちらをご覧ください。

厚生労働省

<事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き>
https://www.mhlw.go.jp/content/000497426.pdf

今月の人事労務相談室

『産業医・産業保健機能の強化に求められるものとは?』

【相談内容】

働き方改革の一環として、産業医・産業保健機能の強化が行われると聞きました。具体的にどのような取り組みが求められるのでしょうか?

【社労士のアドバイス】

長時間労働やメンタルヘルス不調等によって、健康リスクの高い従業員を見逃すことのないよう、産業医による面接指導や健康相談を確実に実施する体制が必要です。そのため産業医の活動環境整備、健康相談の体制整備、健康情報の適正な取扱いについて労働安全衛生法が改正されています。

特に産業医の活動環境の整備については以下3点の骨子があります。

  • 産業医の独立性・中立性の強化
  • 産業医への権限・情報提供の充実・強化
  • 産業医の活動と衛生委員会等との関係強化

ここでは「産業医への情報提供」について触れていきます。産業医がより一層効果的な活動を行うことができるようにするため、企業は産業医に対し、次の情報を提供する必要があります。

  1. 以下3項目に関する実施後に講じた、もしくは講じようとする措置の内容に関する情報(措置を講じない場合は、その内容および理由)
    (1)健康診断
    (2)長時間労働者に対する面接指導
    (3)ストレスチェックに基づく面接指導
  2. 時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超えた従業員の氏名、その従業員の1か月当たり80時間を超えた時間に関する情報
  3. 従業員の業務に関する情報で、産業医が従業員の健康管理等を適切に行うために必要と認めるもの

なお実務上の注意点として、2の時間外・休日労働時間が1か月当たり80時間を超えた従業員がいない場合、該当者がいないという情報も産業医に提供する必要があります。

情報提供の方法は書面により行うことが望ましいとされており、事前に提供方法を産業医と決めておくとよいでしょう。

また、1~3の情報については企業の中で取扱者が異なる場合は、確実に産業医への情報提供が行われるよう、誰が、どのようなタイミングで産業医に報告をしていくか流れを作っておくことで提供漏れを防ぎましょう。

そもそも産業医は、事業場において従業員の健康の保持促進等を行うという役割を担っています。常時50人以上の従業員を使用する事業場においては選任義務があり、一定の要件を備えた医師から選任します。

なお、産業医の選任が必要ない小規模の事業所にも、「長時間労働者に対する面接指導等」の強化は適用されます。1~3の情報については、医師または保健師に対して、各情報区分に応じて提供するよう努力義務が課されていますので、注意が必要です。 

人事が企業成長を支える時代、戦略人事を実現するために必要な土台の作り方

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