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6月の人事労務お役立ち情報|『外国人雇用管理指針の主な内容』

6月の人事労務お役立ち情報|『外国人雇用管理指針の主な内容』

 アクタス社会保険労務士法人

今月のお仕事一覧

『6月のお仕事カレンダー』

スケジュール

【6月3日】
  • 労働保険年度更新(~7月10日まで)
【6月11日】
  • 5月入社の雇用保険資格取得届の提出(公共職業安定所)
  • 5月分源泉所得税・住民税の納付(郵便局または銀行)
【7月1日】
  • 5月分社会保険料の納付(郵便局または銀行)

法改正・労務トピック解説

『外国人雇用管理指針の主な内容』

2019年4月から新しい在留資格として「特定技能」という就労ビザが導入されました。このビザの創設により深刻な人手不足と認められた業種(建設業、宿泊業、外食業など)において外国人労働者の増加が予想されています。今号ではあらためて外国人労働者(技能実習含む)を雇い入れた際に注意すべき点について、その「指針」を解説してまいります。

事業主が講ずべき必要な措置は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」第8条に基づき「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」があります。

この「指針」は、外国人労働者が日本で安心して働き、在留資格の範囲内でその能力を十分に発揮する環境が確保されるよう事業主が行うべき事項について定められた内容になっています。あらためて留意すべき7つのポイントを確認致します。

  1. 募集及び採用の適正化について
    予め業務内容や賃金・労働時間等の諸条件について、書面やメール等を用いて明示しなければなりません。特に来日前では渡航費用や住居の確保について明確にすることが求められます。また採用後従事する業務について在留資格上従事することが認められる者であることを確認し、そうでない者は採用してはなりません。
  2. 適正な労働条件の確保
    労働条件について国籍を理由に差別的取扱いをしてはなりません。また労働契約の締結に際して、母国語その他当該外国人が使用する言語または平易な日本語により明示を行い、本人が理解できるようにすることが求められます。労働条件の明示は原則として書面での交付が義務付けられていますが、本人が希望する場合には次の方法により明示することも可能です。(出力して書面を作成できるものに限られます)
    ・電子メール
    ・FAX
    ・SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)
    ※2019年4月1日に労働基準法施行規則第5条が改正され、外国人労働者に限らず日本人労働者についても同様の対応が可能となっています。
  3. 安全衛生の確保について
    使用させる機械や原材料等の危険性、有害性及びこれらの取扱方法等が確実に外国人労働者に理解してもらえるよう努めなければなりません。(前述の労働条件の明示と同様の対応が求められます)
  4. 労働保険・社会保険について
    労働・社会保険に係る法令の内容及び保険給付に係る請求手続等について、外国人労働者が理解できる方法により周知するよう努めるとともに、被保険 者に該当する外国人労働者に係る適用等必要な手続きを取らなければなりません。また公的年金の加入期間が6ヵ月以上の外国人労働者が帰国する場合、帰国後に脱退一時金の支給を請求し得ることや請求をした場合の留意事項(将来年金としてもらえなくなる等)について帰国前に説明するよう努めなければなりません。
  5. 人事管理について
    外国人労働者が円滑に職場に適応できるよう社内規程や会社のルールに関する定めを多言語化して作成し、職場における円滑なコミュニケーションの前提となる環境を整備できるよう努めなければなりません。
  6. 外国人労働者の雇用状況の届出について 新たに外国人を雇入れた場合もしくはその雇用する外国人が離職する場合等には一定の要件に従って公共職業安定所に届け出が必要となります。
  7. 外国人労働者の雇用労務責任者の選任について
    外国人労働者を常時1010人以上雇用するときは「外国人労働者雇用労務責任者」を選任する必要があります。雇用労務責任者は、この指針に定める雇用管理の改善に関する事項を管理するため一般的に人事・労務課長などから選任します。なお、当該指針等の詳細についてはこちらをご覧ください。

厚生労働省 <外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための 指針>
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000493590.pdf

厚生労働省 <労働契約締結時の労働条件の明示 ~労働基準法施行規則が改正されました~>
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000481172.pdf

今月の人事労務相談室

『短期アルバイトであれば「外国人雇用状況届出」の提出は不要ですか?』

【相談内容】

我が社では10日間限定のアルバイトとして外国人労働者を雇い入れました。短期間なので「外国人雇用状況届出」の提出は不要でしょうか?

【社労士のアドバイス】

例え10日間のアルバイトであっても「外国人雇用状況届出」の提出は必要です。但し、特別永住者や在留資格が「外交」「公用」の場合は「外国人雇用状況届出」の対象外となるため提出不要です。

提出方法については、外国人労働者が雇用保険の被保険者となるか否かによって使用する様式や届出先、提出期限が異なります。

  1. 雇用保険の被保険者となる場合
    ・雇入れ時
    「雇用保険被保険者資格取得届」に国籍・地域や在留資格※等を記入して会社を管轄するハローワークに提出することによって、外国人雇用状況の雇入れの届出を行ったことになります。提出期限は被保険者となった日の属する月の翌月10日までです
    ・離職時
    「雇用保険被保険者資格喪失届」に国籍・地域や在留資格等を記入して会社を管轄するハローワークに提出することによって、外国人雇用状況の離職の届出を行ったことになります。提出期限は被保険者でなくなった事実があった日の翌日から起算して10日以内です。
  2. 雇用保険の被保険者とならない場合
    ・雇入れ時、離職時(雇入れ日と離職日の両方をまとめて届出できます)
    「外国人雇用状況届出書」に国籍・地域や在留資格※等を記入して会社を管轄するハローワークに届出ます。ここで気を付けなければいけないのは、例え外国人労働者を雇入れた事業所が雇用保険の事業所非該当に承認されている場合であってもその事業所を管轄するハローワークに提出することです。資格の得喪等を提出しているハローワークにうっかり提出してしまいそうなので注意が必要です。

「外国人雇用状況届出書」の書式は、ハローワークで入手できるほか厚生労働省のホームページからダウンロードすることもできます。また、インターネットで電子申請することも可能です。
(ダウンロード)http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin-koyou/07.html
(電子申請)https://gaikokujin.hellowork.go.jp/report/700010.do?screenId=700010&action=initDisp

※2019年4月より在留資格が「特定資格」または「特定活動」の場合、詳細(建設、宿泊、外食業等)を記入する必要があります。「外国人雇用状況届出」を提出しなかった場合は、指導、勧告の対象になるとともに30万円以下の罰金の対象となりますので気を付けましょう。

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