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12月の人事労務お役立ち情報|『パワハラ防止指針の骨子案について』

12月の人事労務お役立ち情報|『パワハラ防止指針の骨子案について』

 アクタス社会保険労務士法人

今月のお仕事一覧

『12月のお仕事カレンダー』

スケジュール

【12月10日】
  • 11月入社の雇用保険資格取得届の提出(ハローワーク)
  • 11月分源泉所得税・住民税の納付(郵便局または銀行)
【1月6日】
  • 11月分社会保険料の納付 (郵便局または銀行)

法改正・労務トピック解説

『パワハラ防止指針の骨子案について』

令和1年5月29日にいわゆる「パワハラ防止法」が成立しました。

「労働施策総合推進法」の一部改正がなされ、職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して事業主の講ずべき雇用管理上の措置について明記された法案が、厚生労働省から示されました。今後パワーハラスメント対策の強化がなされることとなります。

ここでは「職場におけるパワーハラスメントの関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の骨子(案)」の主な内容について触れます。

1.職場におけるパワーハラスメントの内容

  • 定義について
    (1)優越的な関係を背景とした言動であって、
    (2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
    (3)労働者の就業環境が害されるもの
  • 客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない
  • 「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、「職場」に含まれること
  • 「労働者」の範囲(派遣労働者の取扱い)
  • 「優越的な関係を背景とした」言動の考え方
  • 「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動の考え方
  • 「就業環境を害すること」の考え方(「平均的な労働者の感じ方」を基準とすべきであることなど)

2.職場におけるパワーハラスメントの代表的な言動の類型

  • 暴行、障害(身体的な攻撃)
  • 脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言(精神的な攻撃) 
  • 隔離、仲間外し、無視(人間関係からの切り離し)
  • 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
  • 業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
  • 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
  • どのようなケースが該当し、又は該当しないと考えられるかの例示

3.雇用管理上講ずべき措置の内容

  • 事業主の方針等の明確化およびその周知、啓発
  • 相談に応じて適切に対応するために必要な体制の整備
  • 事後の迅速かつ適切な対応

4.事業主が行うことが望ましい取り組みの内容

  • コミュニケーションの円滑化、職場環境の改善   等 

今後は相談窓口の設置等の対応が求められます。着実に対応ができるよう準備を進めるようにしましょう。

なお労働施策総合推進法の一部改正の施行は、大企業は令和2年6月1日より、中小事業主は令和4年4月1日から施行となる予定です。

▽参考リンク
厚生労働省:「第18回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06743.html

厚生労働省:「第21回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07479.html

今月の人事労務相談室

『台風の影響を見越して休業を命じた場合、休業手当を支払う必要はありますか?』

【相談内容】

台風による公共交通機関の混乱を見越して、始業開始前に休業を命じました。この場合、休業手当を支払う必要はありますか?

【社労士のアドバイス】

公共交通機関の混乱が予想されるにとどまり、その時点で社員の労務提供に支障がない場合は休業手当の支払いが必要です。
休業とは労働義務のある日について会社がこれを免除する日をいい、労働基準法第26条では会社の都合による休業に対して、平均賃金の60%に相当する金額以上の休業手当支払いを義務づける一方、天変事変など会社に帰責性のない休業については対象外としており、台風で公共交通機関が不通となり社員が労務提供を出来ないような場合がこれに該当します。ご質問のケースは公共交通機関の混乱が予想されるにとどまり、その時点では社員の労務提供に支障がありませんので、休業手当の支払いが必要となります。なお、同様のケースで社員を就業時間の途中に早退させた場合、その日については平均賃金の60%に相当する金額を支払わなければならず、平均賃金の60%に相当する金額に満たない場合はその差額を支払わなければなりませんのでご注意ください。(昭27.8.7基収3445号)

人事が企業成長を支える時代、戦略人事を実現するために必要な土台の作り方

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