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5月の人事労務お役立ち情報|『複数の事業主に雇用される高年齢被保険者の特例について』

5月の人事労務お役立ち情報|『複数の事業主に雇用される高年齢被保険者の特例について』

 アクタス社会保険労務士法人

今月のお仕事一覧

『5月のお仕事カレンダー』

スケジュール

【5月11日】
  • 4月入社の雇用保険資格取得届の提出(公共職業安定所)
  • 4月分源泉所得税・住民税の納付(郵便局または銀行)
【5月15日】
  • 障害者雇用納付金の申告期限
    (独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構)
【6月1日】
  • 4月分社会保険料の納付(郵便局または銀行)

法改正・労務トピック解説

『複数の事業主に雇用される高年齢被保険者の特例について』

昨今、働き方改革や新型コロナウイルスの影響もあり、テレワークや時差出勤、短時間勤務など多様な働き方への対応が急務です。

今回は働く人のセーフティネットである雇用保険の多様な働き方への対応として、令和4年1月より施行される「複数の事業主に雇用される高年齢被保険者の特例」について確認してみましょう。

上記特例ですが、次のいずれにも該当する労働者が申し出た場合には、高年齢被保険者となることができるものです。

  1. 一の事業主における一週間の所定労働時間が20時間未満であること
  2. 二つ以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上のものであること
  3. 二つの事業主の適用事業における一週間の所定労働時間の合計が20時間以上であること

従来、雇用保険は主たる事業主との雇用関係のみで適用可否が判断され、複数の事業主に雇用される労働者の場合、被保険者となるためにはいずれか単独で週20時間などの要件を満たす必要がありました。

高年齢者の労働力活用は以前から政府方針の中心に位置づけられており、今回の改正は高年齢者の労働力活用に向けたセーフティネットの整備といえます。

多様な働き方に対応するために、労働・社会保険の制度整備が進む一方で、諸手続きはもとより労務管理のあり方が、ますます複雑になっている印象です。

会社は適切な管理を行うべく、最新の情報をキャッチしていく必要があります。

今月の人事労務相談室

『入社間もない従業員への傷病手当金はどうなるのでしょうか?』

【相談内容】

従業員が入社してすぐに病気になってしまいました。
こういうときには傷病手当金はどのように取り扱われるのでしょうか? 

【社労士のアドバイス】

ご相談のケースのように、社員が入社して保険料徴収の間もなく私傷病により労務不能となったケースでも傷病手当金の受給できるのか、まずは受給要件から確認してみましょう。

傷病手当金の受給要件

  1. 業務外の事由による傷病であること
  2. 療養のため労務に服することができないこと(労務不能)
  3. 労務不能となった日から起算して3日を経過したこと(待機連続3日)

この要件を満たした場合に、労務不能連続4日目から傷病手当金の支給対象となります。なお、「待機連続3日」は連続した暦日であればよく、労働義務のない休日も含むことができます。

つまり、被保険者期間は傷病手当金の受給要件にはなっておらず、今回のようなケースでも上記の3つ要件を満たせば受給が可能です。

なお、傷病手当金の受給額ですが、通常は直近12か月の標準報酬月額の平均額に対して30分の1を乗じて日額をだし、その日額の3分の2相当額とされています。

ご相談のケースでは、入社してすぐなので、上記の計算によらず、例外的に以下のいずれか低い方の標準報酬月額で計算されることになります。

  1. 入社から各月の標準報酬月額の平均
  2. 全被保険者の標準報酬月額の平均
中途採用などで入社時から高額の標準報酬月額が設定されている場合、通常よりも給付額が少なくなることがあるので注意が必要です。
人事が企業成長を支える時代、戦略人事を実現するために必要な土台の作り方

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