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6月の人事労務お役立ち情報|『未払賃金の立替金制度について』

6月の人事労務お役立ち情報|『未払賃金の立替金制度について』

 アクタス社会保険労務士法人

今月のお仕事一覧


『6月のお仕事カレンダー』

スケジュール

【6月1日~】 労働保険年度更新(~8月31日まで)
※新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ納期限が延長
【6月10日】 5月入社の雇用保険資格取得届の提出(公共職業安定所)
5月分源泉所得税・住民税の納付(郵便局または銀行)
【6月30日】 5月分社会保険料の納付(郵便局または銀行)

法改正・労務トピック解説


『未払賃金の立替金制度について』

新型コロナウィルスの影響を受けて、一部の企業で倒産が発生しています。
 今回は企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払いする「未払賃金の立替払制度」をご紹介します。

1.未払賃金の立替払制度の概要
企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度です。
全国の労働基準監督署及び独立行政法人労働者健康安全機構で制度を実施しています。

2.立替払を受けることができる人
立替払を受けることができる人は、次の要件を満たしている人です。

  1. 1年以上事業活動を行っていた企業が倒産したこと。なお、倒産には次の2つの場合があります。
    ・法律上の倒産(破産、特別清算、民事再生、会社更生の場合)
         この場合は、破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらう必要があります。
         必要な用紙は労働基準監督署に備え付けてあります。
    ・事実上の倒産
         中小企業について、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がない場合。
         この場合は、労働基準監督署の認定が必要ですので、労働基準監督署に認定の申請を行います。
  2. 労働者が、倒産について裁判所への申し立て等(法律上の倒産の場合)
        または労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産の場合)が行われた日の6ヵ月前の日から2年の間に退職した者であること。

3.立替払の対象となる未払賃金 労働者が退職した日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が
 到来している定期賃金※と退職賃金のうち、未払となっているものです。
 いわゆるボーナスは立替払の対象とはなりません。
 また、未払総額が2万円未満の場合も対象とはなりません。

4.立替払をする額  立替払をする額は、未払賃金の8割です。
 ただし、退職時の年齢に応じて88万円~296万円の範囲で上限が設けられています。

5.使用者への求償 立替払した場合は、独立行政法人労働者健康安全機構がその分の賃金請求債権を代位取得し、
 本来の支払責任者である使用者に求償します。

未払賃金の立替払に関するお問い合わせ先は最寄りの労働基準監督署です。
 2.(2)にあるように、立替払の請求ができる期間には期限がありますので注意が必要です。

(参考)厚生労働省 未払賃金立替払制度の概要と実績
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shinsai_rousaihoshouseido/tatekae/index.html
独立行政法人労働者健康安全機構 未払賃金の立替払事業
https://www.johas.go.jp/tabid/417/Default.aspx

今月の人事労務相談室

『社員に社宅を提供する場合の社会保険における注意点は?』

【相談内容】

当社ではこの春異動になった社員に社宅を提供することになりました。
 その際に社会保険上の取り扱いについて注意すべき点はありますか?

【社労士のアドバイス】

 社宅は通貨以外のもので支払われる「現物給与」に該当するため、厚生年金  保険および健康保険の被保険者の報酬に算入する必要があります。
 給与は金銭で支給されることが一般的ですが、社宅や寮など住宅の貸与、食事、自社製品、通勤定期券など現物支給するものを「現物給与」といいます。
 現物給与のうち、住宅や食事である場合は、厚生労働省告示で定められた額に基づいて通貨に換算し、金銭で支払われた給与と合算して標準報酬月額を求めることになります。  なお、住宅における現物給与の額を算出する場合は、居住用スペースのみを対象とし、玄関・台所・トイレ・浴室・廊下など居住用以外のスペースは含めずに計算します。

(参考)日本年金機構 全国現物給与価格一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20150511.html

人事が企業成長を支える時代、戦略人事を実現するために必要な土台の作り方

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