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RPAを導入する上での留意点(その1)

 中田 清穂(なかた せいほ)

私はこれまで約2年半、日本企業の経理部門が、RPAの導入を検討する過程や、実際に導入してうまくいったり、とん挫したりする状況を見てきました。

今回は、検討や導入の現場で見てきて、これは皆さんにお伝えしておくと有用であろうと感じた項目をご披露しようと思います。
あまり整理していなくて、順不同で恐縮ですが、ぜひ参考にしてください。

1.専用端末がお勧め(ほとんど必須):

社員と同じ端末(PC)にRPAのソフトウェアをインストールすると、社員のPCでロボが作業をします。ポインタを動かしたり、キー入力をしたりします。
したがって、例えば、人間である社員がマウスを動かしているときに、ロボが起動して動き出すと、人間である社員のマウスの動きとロボのポインタの動きが同時になって、人間である社員の思った通りにマウス操作ができなくなります。
自分がマウス操作をしているときに、隣から別の人の手がマウスに被さり、自分の意志とは別の操作をされてしまうような感じです。
気持ちが悪いですね。まともに作業ができませんね。
ですから、RPAを導入する際には、人間である社員のPCとは別に、RPA用のPCを用意する必要があるのです。

2.IDとパスワードを与える:

社員のIDとパスワードで、ロボに各種システムにログインさせることはできます。
しかし、これはいわゆる「成り済まし」です。本人ではない、別の人がログインして操作しているのですから。
したがって、ロボにログインするような作業をさせる場合には、ロボ用のIDとパスワードを与えることが望まれます。

3.アクセス規約の変更を要するケースがある:

基幹システムなどにログインする際に、「社員又は派遣社員に限る」などといったアクセス規約を定めている企業がありました。
ロボにログインさせることから、「社員、派遣社員またはロボット(あるいはRPA)」といった内容で規約を改訂されました。実はこの会社では、経理部門からアクセス規約の改訂をシステム部門に申請したところ、「バカにしているのか?ロボットがログインできるわけがないだろう!!」としかられたそうです。
しかし、実際に作ったロボにログインさせるところを、システム部門担当者に見せたところ納得されたそうです。
経理部門がシステム部門よりも、ITの知識が進んでいたということになりますね。

4.ポップアップなどは止めまくる:

ロボが作業をするPCでは、ポップアップが画面に出てくると、必要な画像が見えなくなったり、クリックしたい部分の位置が変わったりします。
したがって、ロボが作業をするPCでは、ポップアップが出てこないように、設定を変えておくことをお勧めします。

5.増えてくると野良ロボの管理が必要になる:

最近のRPAでは、ITスキルが全くない経理部門の担当者でも、どんどんロボを作ることができるようになってきました。
それはそれでよいのですが、ここでよく心配されるのが、「野良ロボ」と言われるものです。
「野良ロボ」は、どのPCのロボがいつ何のシステムの作業をしているのかわからなくなり、なんだかそこら中で自動的に作業が行われているような状況になることです。
そのため、どのPCのロボがいつ何のシステムの作業をしているのかを管理する仕組みを利用したり、「ロボ管理台帳」を作成したりして、経理部門が「無法地帯」にならないようにすることが望まれます。

6.ロボをメールで起動する (ロボにアドレスを与える):

ロボに実際に作業をさせるためには、覚えさせたことを実行させる(起動させる)必要があります。
まずは、RPAソフトで、作業をさせたいロボを選んで、メニューにある「起動」コマンドを選ぶことで、ロボは覚えさせた作業をし始めます。
これ以外にも、ロボにメールアドレスを与えて、ロボに自分の「受信トレイ」を定期的に見るようにさせて、自分にメールが来たら、作業を始めるようにしておけば、人間である社員は、RPAソフトが入っているPCに行く必要もなく、ロボ宛に作業を実行するよう、メールを送信するだけで、ロボが作業を始めます。外出先からでも起動させられるのです!!

7.ロボ実行後のメール通知を徹底する:

ロボが作業を終えると、最後に人間である社員にメールでその旨の連絡をさせると良いでしょう。
ロボが作業をきちんと成し遂げたことがわかりますし、ロボがうまく作業ができずストップしてしまったことへの気づきになります。
また、ロボが作業完了メールを人間である社員に送信する際に、ロボが作ったファイルなどがあるのであれば、そのファイルを添付すると、人間である社員の作業も効率的になることが期待できます。

8.最初は長いロボではなく、短い作業をつなげていく:

一度に長いステップの作業をさせるロボを作るのは難易度が高いので、一連の作業をぶつ切りにして、短いステップの作業をさせるロボを作ります。
そして、「6.ロボをメールで起動する」で説明したように、先行作業をするロボが作業を終えると、最後に次の作業をするロボにメールを送信するのです。
そうすると、次の作業をするロボは、人手を介することなく、自動的に次の作業を始めます。
これは、RPAの導入がとん挫することを防ぐヒントになるでしょう。

今回はここまでです。
まだまだ役に立つポイントがありますので、次回は引き続きRPA導入の留意点をご披露いたします。

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