日本の会計・人事を変える。”もっとやさしく””もっと便利に”企業のバックオフィスを最適化。

8月の人事労務お役立ち情報|『 退職金課税の見直しについて』

8月の人事労務お役立ち情報|『 退職金課税の見直しについて』

 アクタス社会保険労務士法人

■人事労務のお役立ち情報

退職金課税の見直しについて

従来、退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収前の金額) - 退職所得控除額) × 1/ 2 = 退職所得金額

 

ただし、平成25年分以後、勤続年数5年以下の役員等の退職手当については、
上記計算式の「1/2」を乗じることはできなくなっています。

 

令和4年1月1日以後に支払うべき退職手当等については、上記に加え、勤続年数5年以下の法人役員等「以外」の退職金についても、一定金額以上の部分について、上記計算式の1/2の計算の適用から除外されることとされました。

 

具体的には、退職所得控除額を控除した残額の300万円を超える部分について、1/2を乗じることができなくなります。

 国税庁:源泉所得税の改正のあらまし
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0021004-072.pdf

 
なお、「従業員の退職所得の収入金額の収入すべき時期」は退職金支給日ではなく、「退職日」となります。
例えば令和3年12月31日付で退職した従業員に、令和4年1月25日に退職金を支払う場合は、令和3年分の退職所得となり、改正前の規定が適用されますので注意が必要です。

一般的なケース以外の退職所得の属する年分の判断については、以下をご参照ください。

国税庁タックスアンサー:退職所得の収入金額の収入すべき時期
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2728.htm

 
セカンドキャリアのデザインや、年金受給等のファナンシャルプランなど個々人の高齢化に対する備えを、いかに早い段階で戦略的にプランニングするかが、今後ますます重要になりそうです。

 

■今月の人事労務相談室

傷病手当金の給付に関する注意点

【相談内容】

大きな病気に掛かりました。今後数年にわたり、同一の私傷病で休職と復職を繰り返すことが予想されます。
傷病手当金の受給について教えてください。 

【社労士のアドバイス】

現行制度では、支給を始めた日から起算して1年6ヵ月間受給できることになっています。
傷病手当金の支給日数が1年6ヵ月分あるということではなく、支給を始めた日から1年6ヵ月の間までの労務不能の日について受給できるということです。
つまり、1年6ヵ月が経過すると、以後は給付が打ち切られることになります。

しかし、令和3年6月に成立した法改正により、令和4年1月1日からは、傷病手当金の支給期間を通算できるようになりました。

よって、断続的に就労と休業を繰り返すような場合でも、支給された日数が1年6ヵ月分になるまで受給できるようになります。

なお、この改正は「施行日の前日において、支給を始めた日から起算して1年6ヵ月を経過していない傷病手当金について適用」とされます。

厚生労働省:全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/000733601.pdf

ホワイトペーパー「戦略人事を実現するために必要な土台の作り方」

関連記事