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2月の人事労務お役立ち情報 「中小企業の職場におけるパワーハラスメント防止措置の義務化」

2月の人事労務お役立ち情報 「中小企業の職場におけるパワーハラスメント防止措置の義務化」

 アクタス社会保険労務士法人

■人事労務のお役立ち情報

令和4年4月 中小企業の職場におけるパワーハラスメント防止措置の義務化

令和2年6月1日に施行された「改正労働施策総合推進法」は、職場におけるパワーハラスメント(以下パワハラ)の防止措置を、大企業において義務化しています。
中小企業は努力義務に留まっていましたが、令和4年4月1日より義務化されます。

 「職場におけるパワーハラスメント」とは、職場において次の3つの要素全てを満たす行為をいいます。

 (1)優越的な関係を背景とした言動
 (2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
 (3)労働者の就業環境が害されるもの
 
 パワハラに該当するのかの判断は、個別事案ごとに総合的に考慮することになりますが、会社の責務として明確化された具体的な措置の内容は以下のとおりです。

 1.事業主の方針等の明確化および周知・啓蒙
 (1)職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
 (2)行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等文書に規定し、労働者に周知・啓発すること
 
 2.相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
 (1)相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
 (2)相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

 3.職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
 (1)事実関係を迅速かつ正確に確認すること
 (2)速やかに被害者に対する配慮のための措置を適切に行うこと
 (3)事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
 (4)再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も含む)

 4.併せて講ずべき措置
 (1)相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
 (2)相談したこと等を理由として、解雇その他不利益な取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること、
 
 パワハラ防止に向けた取り組みは、労使がハラスメントの定義を正しく理解することからはじまります。 
 会社は、セクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策とともに社内体制や就業規則、対応マニュアルの整備に取り組み、万が一の際に機能する仕組みづくりを検討していく必要があります。

 

<厚生労働省:パワーハラスメント対策等>
 特設ページ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
 事業主向けリーフレット:https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/content/contents/hourei_power_harassment_r0404ibr.pdf

 

 

■今月の人事労務相談室


企業型確定拠出年金のメリットや影響とは?

【相談内容】

「選択制確定拠出年金」「マッチング拠出」といった企業型の確定拠出年金制度を導入しようと考えております。
どのようなメリットや影響があるのでしょうか。

【社労士のアドバイス】

 「企業型確定拠出年金(企業型DC)」は、会社が毎月掛金を積み立て(拠出)し、金融商品の選択や資産配分の決定など、社員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度です。
その運用結果に応じた金額を、原則として60歳以降に一時金または年金として受け取ることができます。
 
 「選択制確定拠出年金」「マッチング拠出」といった制度は、企業型確定拠出年金の仕組みのひとつで、退職後の生活資金等の備えについて、社員の自助努力をサポートする制度として注目が集まっています。

 「選択制確定拠出年金(選択制DC)」は、社員が現行の給与をそのまま受け取るか、給与の一部を確定拠出年金へと拠出し、老後の資産形成として積み立てるか、選択することを可能とする制度です。給与の一部を掛金とするので、その分は給与所得とされないため、給与として受け取った場合と比べ所得税や住民税、社会保険料の負担が軽減されます。

 一方で、社会保険料負担が軽減されることは、将来の年金等の給付額が減少することも意味するため、注意が必要です。
 
 「マッチング拠出」は、会社が拠出する事業主掛金とは別に、任意で、社員が自らの給与から「加入者掛金」として上乗せして拠出する仕組みです。会社が規約を定めることで社員のマッチング拠出が可能となります。

 加入者掛金については要件があり、以下の通りとなります。 

 1.社員が拠出する加入者掛金が、会社が拠出する事業主掛金を超えないこと
 2.社員と会社の掛金合計額が、拠出限度額(月額55,000円)を超えないこと
  (ただし、確定拠出年金以外に他の企業年金他を併用している場合の拠出限度額は月額27,500円となります。)

 マッチング拠出における加入者掛金分は、全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となるため、所得税、住民税が軽減されます。
 一方、社会保険料は軽減されません。

 導入に際しては、就業規則の改定、給与システム対応、運営上の事務手続き、社会保険料の影響、給付は原則として60歳からであることなど、会社と社員の双方が留意しなければないことがあり、担当者の正しい理解と慎重な準備が必要です。

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