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有形固定資産(初度適用)のみなし原価の実務対応(その2)

 中田 清穂(なかた せいほ)

本コラムの第1回目の「有形固定資産(初度適用)のみなし原価の実務対応」で、免除規定を採用しないが、簡便的な方法について以下のように解説しました。

②免除規定は採用しないが、一部論点については厳格対応をしない方法
(中略)
従来の日本基準で記録した当初の取得原価を採用し、取得原価以外の論点、例えば、耐用年数や焼却方法は、IAS第16号の規定に準拠して、当該有形固定資産を取得した時点からIFRS移行日時点までの原価償却計算をやり直すのです。

ここでさらに実務的に簡便的にできる対応があるようです。

それは、償却方法、耐用年数及び残存価格についても、「従来通り」とする方法です。

このコラムで何度も解説してきましたが、特に耐用年数については、税務上の耐用年数が採用されているケースがほとんどで、実際の経済的耐用年数とは異なっていると考えられています。しかし、「税務上の耐用年数」と「実際の経済的耐用年数」に大きな差異がなければ、従来通りの耐用年数で良いはずです。

「税務上の耐用年数」と「実際の経済的耐用年数」に大きな差異がなかったと判断する上で、重大なポイントになるのが、本コラムの第3回目「現在の決算手続きに影響を与えかねない経済的耐用年数の決定」でご紹介した、『監査第一委員会報告第32号 耐用年数の適用、変更及び表示と監査上の取扱いについて』という委員会報告の、「税法耐用年数については、経済的使用可能予測期間と著しい相違がある等の不合理と認められる事情のない限り、監査上差し支えないものとして取り扱うことができるという内容です。

つまり、従来日本基準の監査で、税法耐用年数と経済的使用可能予測期間に著しい相違がないという判断を、会計監査人が下してきたわけです。

であるならば、IFRSを適用するからといって、過去見積もった耐用年数とは異なる耐用年数にする必要はなくなるはずです。

その結果、有形固定資産の初度適用にあたっては、免除規定は採用しないが、過去に遡って償却方法、耐用年数及び残存価格を見積もりなおす必要もないということになるのです。

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