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第6回 「減価償却方法変更の正当な理由の記載事例」|IFRS徹底解説

第6回 「減価償却方法変更の正当な理由の記載事例」|IFRS徹底解説

 中田 清穂(なかた せいほ)

前回は定額法への減価償却方法の変更の動向について記載しました。
今回は、業種別に定額法への変更の状況を踏まえた上で、定額法への変更によって利益に対してどのような影響があったかをまとめてみました。
また、過去2年間の139社の変更に関する記載事例を一覧にしましたので、是非、ご参考にしていただきたいと思います(本稿の最後に当該一覧表へのリンクを貼ってあります)。

まず、定額法に変更した企業を業種別にまとめたのが以下の表です。



最も多いのが、電気機器で23社、これに化学の15社、情報通信の12社が続いて、自動車産業などの輸送用機器も9社と比較的多くなってきています。

また、前年からの動きとしては、輸送用機器が1社から9社に急増し、医薬品と卸売業は、0社から5社に急増しています。
来年に向けて、今年少なかった業種でも増加する可能性が感じられます。

次の表が、定額法への変更が利益に及ぼした影響です。

圧倒的に改善した事例が多く、139社中120社と、全体の86.3%を占めています。

利益が改善する一方課税所得も増えるので、税務メリットが得られないのにもかかわらず定額法への変更を決定したとも言えるでしょう。

また、定額法への変更によって利益が悪化したのは6社で、以下の企業です。

  1. 日東工業
  2. 日本ユニシス
  3.  元気寿司
  4. アイ・ティー・シーネットワーク
  5.  NECフィールディング
  6. 日本アビオニクス

なお、以下の21社は定額法への変更と同時に、耐用年数や残存価額の見直しも行っています。

  1. 三菱マテリアル
  2. 日本金銭機械
  3. 日新電機
  4. ソニー
  5. SUMCO
  6. 長瀬産業
  7. 丸井グループ
  8. アイ・ティー・シーネットワーク
  9. 日本ハム
  10. ジェーシー・コムサ
  11. 平河ヒューテック
  12. 日本電気
  13. 日本電産コパル電子
  14. エフ・シー・シー
  15. セガサミーホールディングス
  16. 飯野海運
  17. NECフィールディング
  18. 日本特殊陶業
  19. ダンロップスポーツ
  20. 住友ゴム工業
  21. 住友電気工業

今回の調査で参照した、定額法への変更に関する四半期報告書の記載事例の一覧を、以下のリンクからダウンロードできるようにしましたので、今後同様の変更を行う場合に参考にしてください。

償却方法の変更記載例(PDFファイル)

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