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グループ会計方針

 中田 清穂(なかた せいほ)

今回は、「影響度調査」が終わり、洗い出された課題の検討も終わった後で作成する、「グループ会計方針」についてお話したいと思います。

「グループ会計方針」は、親会社だけでなく、国内子会社も海外子会社も、さらには、持分法を適用する関連会社にも適用されなければならない、グループ全体での統一ルールです。したがって「グループ会計方針」は、以下の要件を満たす必要があるでしょう。

  1. IFRSに準拠したものであること
  2. 子会社・関連会社も含めて、経理・決算現場で使える実務的なものであること

この二つの要件を満たすためには、上位概念的なもの(IFRSの原則レベル)と、下位概念的なもの(実務指針レベル)の、2階層にすると良いでしょう。

現在進められているIFRS対応プロジェクトでは、上位概念的なものを、「会計方針」、「会計基準」、「レイヤー1」、「第一階層」などと呼んでいるようです。
また、下位概念的なものを「実務指針」、「解釈指針」、「具体例」、「レイヤー2」、「第二階層」などと呼んでいるようです。

そして、上位概念的なもの(レイヤー1など)で、上述の要件①を満たすように記載します。また、下位概念的なもの(レイヤー2など)で、上述の要件②を満たすように記載するのです。

したがって、上位概念的なもの(レイヤー1など)の書きぶりは、IFRSの基準書をそのまま写したかのような記述になります。

例えば、「当社の有形固定資産の残存価額と耐用年数は、IAS第16号『有形固定資産』第51項の規定に従い、毎事業年度末に見直すこととする。」といった記述になります。
これでは、IFRSの規定に準拠したことにはなりますが、実際の決算実務において、実現可能な方法や手段がわかりません。

そこで、下位概念的なもの(レイヤー2など)で具体的な手続きや例を記述します。

例えば、「耐用年数は、毎事業年度末である3月初旬までに、有形固定資産の利用現場部門に対して、経理部門が使用予定年数に関する変更確認を行う。有形固定資産の利用現場部門は、使用予定年数を変更する資産がある場合には、その旨及び変更後の使用予定年数を3月末までに経理部門に報告する。当該報告がない場合には、経理部門は、使用予定年数を変更する資産はないものとみなし、耐用年数の変更は行わない。」といったような内容になります。

会計監査人である監査法人に、IFRSの会計アドバイザリーを依頼しているプロジェクトでは、上位概念的なもの(レイヤー1など)を監査法人に作成してもらうケースが多いようです。しかし、この場合でも、取扱いとしてはあくまでも「たたき台」であり、正式なものは企業サイドで完成させるという取扱いになるようです。
これは、監査の独立性の問題もあり、また財務諸表の作成責任は企業経営者にあるため、その作成方針を会計監査人が作成することは不適切との判断があるからです。

したがって、下位概念的なもの(レイヤー2など)は、監査法人ではたたき台すら作ってもらえません。
「監査契約とは別にアドバイザリー契約を締結し、監査報酬とは別にコンサルティング報酬を払うわけだし、当初から『グループ会計方針を作成することもアドバイザリーには含まれていますよ』と言われていたから、決算実務がきちんと回るような実務的な会計方針を作ってくれるものとばかり思い込んでいたが、プロジェクト終了間際で、どんでん返しに合った気分だ。結局実務指針は自分たちで作るはめになってしまった」などといった愚痴を最近よく耳にします。

監査の独立性などの観点からは、監査法人の対応は当たり前のことなのです。
結局、期待の方が高すぎたわけですが、自分の会社に適した決算実務の指針は、誰にも頼ることはできないのです。外部の監査法人やコンサルタントは、選択肢の提示はしてくれても、どれにすべきかを決めてはくれないのです。

以上

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