公認会計士 中田清穂のIFRS徹底解説
中田 清穂(なかた せいほ)
今回は、IFRS対応プロジェクトの最初のステップである「影響度調査」が終わった後で、どのように進めていけばよいかについてお話したいと思います。
「影響度調査」は、「収益」や「有形固定資産」など、重要な項目から順に実施されていると思います。
しかし、各項目が終わるたびに、順次次の項目の「影響度調査」に進むべきか、あるいは、終わったばかりの項目で把握された課題についてさらに深く検討するべきか、迷われることもあるのではないでしょうか。
いずれが正解というわけではありませんが、一度「影響度調査」を行って、しばらく間が開いてしまうと、「影響度調査」の際に検討したことを忘れてしまい、さらに深く検討しようとしたときには、また一から思い出しながら考えることになって、非効率になることもあるでしょう。
したがって、ある調査項目が終わったら、次の項目の「影響度調査」を行う日とは別に、すでに終了した項目の課題の検討をするのが効率的だと思います。
課題の検討について留意すべき点は、以下です。
以上、いろいろ記載しましたが、つまり「影響度調査」が終わったら、「ぐずぐずしないで、会計方針の決定にどんどん取り掛からなければならない」ということです。 ここでどんどん決めて行かないと、グループ会計方針も決まらないだけでなく、業務をどう変えれば良いのかの検討もできず、システムの改善・導入手続きにも進めないからです。
これでは、時間が経つばかりでプロジェクトは進みません。
半年や一年は、あっと言う間に過ぎて行くでしょう。
調査項目がわかれば、時間をかけて少しずつでもつぶせば良いので、なんとか進めていけるのですが、調査が終わって決めにかかる段階で、ピタッとプロジェクトが止まってしまうことが良くあります。
それは、記載例や他社事例もない状況で、自分で決めることが、日本人にとってとても不得意だからです。
ですから、「影響度調査」が終わった直後が、実は日本のIFRS対応において、一つの正念場だと言えるでしょう。
以上
中田 清穂(なかた せいほ)
青山監査法人にて米国基準での連結財務諸表監査に7年間従事。
旧PWCに転籍後、連結経営システム構築プロジェクト(約10社)に従事。
その他に経理業務改善プロジェクトや物流管理プロジェクトにて、現場業務の現状分析や改善提案に参画。
旧PWC退社後、DIVA社を設立し、取締役副社長に就任。DIVA社退社後、独立。