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海外子会社配当の益金不算入制度の創設について

 アクタスマネジメントサービス㈱/アクタス税理士法人

昨年の12月12日に与党より『平成21年度税制改正大綱』が、経済産業省より『平成21年度税制改正について』が発表されました。
その中で、国際展開する日本企業が海外子会社の利益を税制に左右されることなく、いつでも国内へ戻せるように、海外子会社配当の益金不算入制度の創設が盛り込まれました。 新制度が実現すれば、海外で留保された利益を国内へ還流でき、国内における設備投資・研究開発・雇用等を通じて、日本経済の活力向上につながることが期待されます。
なお、国内親会社への配当支払いに先立って、海外子会社が納付した現地法人税額相当を国内親会社の納付法人税額から控除する間接外国税額控除制度は、この益金不算入制度にとって代わられる形で廃止となる予定です。

益金不算入制度の対象となる海外子会社の要件

  1. 出資比率…国内親会社が海外子会社の発行済株式等の25%以上の株式等を保有していること。
    ※二国間の租税条約で特例が定められている場合は、その出資比率を適用 (例・・・米・豪・ブラジル:10%以上、仏:15%以上)
  2.  株式保有期間…①の株式等を配当の支払義務が確定する日以前6ヶ月以上引き続き直接に保有していること。

改正の概要

 
  改 正 案 現 行 制 度
益金不算入制度の対象となる海外子会社から受取る配当「25%以上かつ6ヶ月以上」 ・国内親会社の益金には不算入(実質は95%が益金不算入)
・直接外国税額控除(その配当支払い時に外国で源泉徴収された税額を国内親会社の納付法人税額から控除する制度)は不適用かつ損金不算入
・間接外国税額控除は廃止

・国内親会社の益金に算入
・直接外国税額控除又は損金算入
(外国で源泉徴収された税額)が適用
・間接外国税額控除及び益金算入が適用可能

上記以外の海外子会社から受取る配当「25%未満又は6ヶ月未満」

・国内親会社の益金に算入(益金不算入の適用なし)
・直接外国税額控除又は損金算入が適用
・間接外国税額控除は廃止

・国内親会社の益金に算入
・直接外国税額控除又は損金算入が適用
・間接外国税額控除は不適用


適用開始時期

平成21年4月1日以後開始する事業年度において受取る海外子会社からの配当について適用されます。

Q&A

Q.3月決算である当社が数年前より100%支配している海外子会社から手取りで18億円の配当金(配当の額20億円、外国で源泉徴収された税額2億円)を平成22年3月期中に収受した場合、日本で納付すべき法人税額は、いくらになるのでしょうか。 なお、当社は手取り18億円を収益計上しており、上記配当以外に海外取引はありません。 この配当金の収受に先立って、海外子会社が現地で納付した法人税額は5億円です。
(当社の情報)

  • 期末資本金:200億円(法人税率30%)
  • 国内源泉所得:99億円、調整前国外源泉所得:18億円

日本で納付すべき法人税額は30億円になります。
(1) 海外子会社配当の益金不算入額  20億円-(20億円×5%)=19億円
(2) 外国で源泉徴収された税額の損金不算入額  2億円
(3) 所得金額  99億円+(18億円-19億円+2億円)=100億円
(4) 法人税額  100億円×30%=30億円
海外子会社配当の益金不算入額の計算においては、配当に係る費用に相当する金額として、その配当の額の5%に相当する金額が配当の額から控除されるので、実質95%が益金不算入となります。なお、現行制度により、日本で納付すべき法人税額を計算した場合(外国税額控除を選択したと仮定)には、30億2千万円となります。
①所得金額  99億円+(18億円+2億円+5億円)=124億円
②法人税額  124億円×30%-(2億円+5億円)=30億2千万円
益金不算入制度は、従来の間接外国税額控除制度のように適用対象となる海外子会社ごとに現地での法人税額や配当の原資を管理する必要がないため、制度の簡素化や事務負担が大幅に軽減されると考えられます。

Q.実際に益金不算入制度を適用する場合の留意点を教えて下さい。

与党の『平成21年度税制改正大綱』については今年の1月23日の閣議決定を経て、現在『所得税法等の一部を改正する法律案』として国会で審議中となっています。法律案の段階では、以下の事項についての取扱いが明確にされていない為、今後税制改正に関する法整備がなされた場合は注意が必要です。

  1. 海外子会社の株式を直接だけでなく間接にも保有していた場合の益金不算入制度の適用の可否(持株要件の詳細は、政令で定められます。)
  2. 益金不算入制度における書類保存要件の具体的内容(別途、財務省令で定められます。)

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