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第10回 「役員給与の減額改定について」|定期同額給与(法法34条 法令69条)

第10回 「役員給与の減額改定について」|定期同額給与(法法34条 法令69条)

 アクタス税理士法人

昨今の急激な景気の落ち込みにより役員給与の減額を検討せざるを得ない状況である企業も多いと思われます。しかし、会社側の判断で減額を行ってしまうと、税務上その減額改定が否認されるという事態が発生する可能性もあり注意が必要です。

昨年12月に国税庁から「役員給与に関するQ&A」が公表され、業績等の悪化により役員給与の額を減額する場合の取扱いが示されています。

定期同額給与(法法34条 法令69条)

業績悪化改定事由

役員給与を減額した場合には、取締役会等での減額決議にかかる議事録や、どのような状況で減額改定が行われたのか客観的に示す資料を作成し、保存しておくことが望まれます。

損金算入・損金不算入の範囲

  1. 定時株主総会後、業績悪化改定事由により改定した場合
    (例)6月の株主総会では役員給与は月額80万円と従来どおりであったが、その後業績が著しく悪化し、株主との関係上、経営責任をとる必要があり、10月から月額60万円に減額を行った。
  2. 定時株主総会後、業績悪化改定事由に該当しない改定をした場合
    (例)6月の株主総会では役員給与は月額80万円と従来どおりであったが、売上予算を達成できる見込みがなくなったため、10月から月額60万円に減額を行った。
  3. 定時株主総会後、業績悪化改定事由に該当しない改定、その後業績悪化改定事由による改定をした場合
    (例)6月の株主総会では役員給与は月額80万円と従来どおりであったが、その後一時的に資金繰りが悪化したため10月から月額60万円に減額。その後も業績は悪化し、金融機関から融資の条件として役員報酬の減額を提示されたため、1月から月額30万円にさらに減額を行った。
  4. 定時株主総会後、業績悪化改定事由に該当する改定、その後業績悪化改定事由に該当しない改定をした場合
    (例)6月の株主総会では役員給与は月額80万円と従来どおりであったが、その後資金繰りが悪化したため、金融機関との交渉の結果、中期経営計画を見直し、役員給与の減額が必要であると判断し10月から月額60万円に減額、さらに、今期の営業利益目標を確保するために1月から月額40万円に減額した。

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