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第14回 「帳簿書類等の保存について」|税務会計業務のポイント

第14回 「帳簿書類等の保存について」|税務会計業務のポイント

 アクタス税理士法人

日々増え続ける請求書・納品書等の経理関係書類、これらはどのくらいの期間保存しなくてはいけないか、経理担当者は頭を悩ませているのではないでしょうか。経理帳簿書類については、法律により保存期間が定められています。会社法は10年、法人税法は7年です。経理帳簿書類は会計上、税務上のみならず経営管理上も重要な書類であるため、保存書類や保存期限をきちんと把握しておくことが必要となります。

また、会社にとって一番気になる税務調査ですが、調査対象期間は直前期より遡って3年間であることが多いです。少なくとも3年間分の帳簿書類はすぐに取り出せるように管理しておきたいものです。

保存期間


定款や登記関係書類は会社法において保存期間の定めはありません。また税務申告書、税務届出書などについて、税法上の保存期間の定めはありません。これらの書類は、会社の歴史を示す資料ですので、決算書とともに永久に保存すべきでしょう。

保存方法

税務上、帳簿書類の保存方法は、紙による保存が原則となります。
したがって、電子計算機で作成した帳簿書類についても、原則として電子計算機からアウトプットした紙により保存する必要があります。
但し、下記の要件を満たせば、電子データで保存することもできます。

Q&A

Q.帳簿書類等を保存する場合、具体的にはどのように管理すればよいでしょうか?
書類を保存する際には、永久保存のものと、保存期間経過後処分してもよいものに分けるようにします。処分してもよいものについては、保存期限ごとにダンボールなどで管理保管し、会計期間や保存期限などを記載し、期限が来たら処分できるように整理しておくことが重要です。また、処分に際しても、機密文書が含まれていますので、慎重に行う必要があります。

Q.帳簿書類を期限まで保存しなかった場合にはどうなりますか?
必要な帳簿書類を保存していなかった場合、過去の取引やデータを確認できないなど経営上の不利益はもちろんのこと、税務上も様々な不利益を受ける可能性があります。
税務調査において取引の根拠となる書類が出せないと、不利な課税を受けたり、思わぬペナルティを課されることがあります。
例えば消費税は、仕入税額控除を受けるために、帳簿及び請求書等を7年間保存することが要件となっています。そのため、必要書類が保存されていないと仕入税額控除を受けられなくなる、ということも考えられます。
また、帳簿書類を保存していないと、青色申告の承認が取消しとなる可能性があります。青色申告が取り消されると、欠損金の繰越控除が適用できなくなる、各種税額控除や特別償却が受けられない、等々大きな不利益を受けることになります。

Q.電子データによる保存はどのようなメリットがありますか?

電子データで保存することにより、帳票の整理や検索等の手作業の軽減、帳票保管スペースの減少、用紙代の節約といった、ペーパーレス化に伴う保存負担を軽減することができます。
また、電子化によるセキュリティーの強化が図られることにより、紛失や持ち出し等による情報漏えいリスクが軽減されたり、バックアップ機能によりデータを複数個所に保存できるため災害等のリスクを軽減できる、というメリットもあります。
ただし、電子データで保存する場合には、データの改ざんができないようなソフトの利用や、事前の申請が必要となります。

Q.システムの導入を検討していますが、期の途中から電子データでの保存に変更することはできますか?

総勘定元帳や仕訳帳などの帳簿については、会計期間開始の日からデータが積み上げられていくものであるため、期の途中から電子データでの保存に変更することはできません。貸借対照表や損益計算書、請求書等の控えなどについては、帳簿のようにデータが積み上げられていくものではないため、期の途中からでも電子データによる保存に変更することが可能です。

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