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第19回 「全面適用開始! グループ法人税制」|税務会計業務のポイント

第19回 「全面適用開始! グループ法人税制」|税務会計業務のポイント

 アクタス税理士法人

グループ法人税制の全面適用が開始

平成22年度税制改正で、グループ経営の実態に即した制度として「グループ法人税制」が創設されました。一部の項目について、平成22年4月1日から適用されていますが、平成22年10月1日から全面的に適用が開始されました。

グループ法人税制の対象となるグループ

グループ法人税制の対象となるのは、「100%グループ」内の法人間取引です。100%グループとは、直接・間接的に100%の資本関係がある企業グループです。具体的に、下図のような資本関係がある場合、法人間の取引はグループ法人税制の対象となります。


グループ法人税制の内容確認

グループ法人税制の主要な内容は3点になります。

(1) グループ法人間で「資産の譲渡」があった場合、譲渡法人では譲渡損益の課税を繰り延べる

(2) グループ法人間で「配当」があった場合、受取法人では課税の負担が生じない

(3) グループ法人間で「寄付」があった場合、受取法人では課税の負担が生じない


「資産の譲渡」の場合のポイント

(1)適用時期

平成22年10月1日以降の譲渡から適用

(2)適用対象資産

イ)固定資産(簿価が1,000万円に満たない資産は除きます)
  ロ)有価証券(売買目的有価証券は除きます)
  ハ)金銭債権
  ニ)繰延資産

「配当」の場合のポイント

(1)適用時期
  平成22年4月1日以降開始事業年度から適用
(2)配当計算期間について
  受取法人は、配当の計算期間の最初から最後まで継続してグループ内法人である場合に限ります。

「寄付」の場合のポイント

(1)適用時期
 平成22年10月1日以降の寄付から適用

(2)制度対象について
  法人によって支配されてグループとなる法人の間で行われる寄付が対象となります。

グループ法人税制による経営インパクトと実務対応

  1. 経営に対するインパクト
    グループ法人税制が施行されることで、経営に対し、大きく2点影響することがあります。

    グループの実態に合わせた経営を検討することが重要になっていきます。
  2. 実務対応
    グループ法人税制への対応において、グループ法人間取引の情報共有の仕組みを構築することが重要となります。
    具体的には、次の3点の情報共有を行う仕組みがポイントです。


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