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第22回 「東日本大震災における特別税務(法人関係)と平成23年税制改正の今後」|税務会計業務のポイント

第22回 「東日本大震災における特別税務(法人関係)と平成23年税制改正の今後」|税務会計業務のポイント

 アクタス税理士法人

東日本大震災における特別税務(法人関係)

平成23年3月11日に発生した東日本大震災に関連して、税務上の取扱いが特例的に次々と定められています。
4月27日には「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」、いわゆる震災特例法案が成立し、その日のうちに公布、施行されました。

法人税関係で特例的に定められた制度についてポイントをまとめてみます。(詳細は、国税庁HPの記載にゆだねることにします)

1. 災害に関する主な税務上の取扱いについて

災害により滅失・損壊した資産等の取扱い
→ 損失・費用の額は、損金算入
復旧のために支出する費用
→ 被災資産について原状を回復するための費用は、修繕費。一部補強となっても修繕費とすると認められる
従業員等に支給する災害見舞金品
→ 一定の基準に従い支給する災害見舞金品は、福利厚生費として損金算入
取引先に対する災害見舞金等
→ 交際費等に該当しないものとして損金算入
取引先に対する売掛金等の免除等
→ 復旧支援を目的として売掛金、貸付金等の債権を免除する場合、寄附金又は交際費には該当せず損金算入
取引先に対する低利又は無利息による融資
→ 復旧支援を目的として低利又は無利息による融資をして、通常収受すべき利息と実際の利息との差は、寄附金に該当しない
自社製品等の被災者に対する提供
→ 被災者救援のためお自社製品等の提供費用は、広告宣伝費に準ずるものとして損金算入

 詳細はhttp://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/atsukai/index.htm

2. 平成23年4月20日に公表された費用通達

災害損失特別勘定 災害により被害を受けた資産の修繕について、次の要件を満たすものは、被災があった事業年度に災害損失特別勘定に繰り入れて、損金算入することができる。

要件

  1. 災害による被害を受けた棚卸資産、固定資産の修繕のために要するもの
  2. 災害のあった日から1年以内に支出する見込である
  3. 適正に見積もることができる。

詳細はhttp://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/zeimusho_jokyo.htm
(東日本大震災に関する諸費用の法人税の取扱いについて(法令解釈通達)(PDF/956KB))
(東日本大震災関係諸費用(災害損失特別勘定など)に関する法人税の取扱いに係る質疑応答事例(PDF/557KB))

3. 平成23年4月27日に施行された震災特例法

震災損失の繰り戻しによる法人税の還付
→ 欠損金のうち震災による損失部分を黒字であった事業年度に繰り戻して、対応する税額の還付を受ける
仮決算の中間申告による所得税額の還付
→ 中間決算を組んで中間申告を行う場合、前払いしている源泉所得税について、法人税から控除しきれない分があるときは、還付を行う
被災代替資産の特別償却
→ 被災資産の代わりに取得した固定資産について、被災前と同一用途に使用する場合、特別償却をすることができる
特定の資産の買換えの圧縮記帳
→ 被災区域内外に関連して土地・建物の譲渡を行った場合、譲渡した利益分を圧縮記帳することができる
中間申告書の提出不要
→ 申告期限の延長により、中間申告書の提出期限と確定申告書の提出期限が同一になる場合、中間申告書の提出は不要

詳細はhttp://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/tokurei/zeikin.htm
(震災特例法(法人税等関係)の概要)

4. 申告期限関係

青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県
に納税地を有する納税者についは、平成23年3月11日以後に到来する申告の期限が、全ての税目について、自動的に延長
上記以外の地域に納税地を有する納税者についても、申告等が困難な場合、期限延長が認められる。この場合、申請書の提出が必要

 詳細はhttp://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/index.htm

http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/index.htm

平成23年税制改正の現状

一方で忘れてならないのが、平成23年度税制改正の状況である。法人税大幅減税が見込まれた内容であったが、3月31日の年度内までに成立ができなかった。
3月末で期限切れ予定となる優遇規定についての取扱いをどうするか問題とされていたが、効力を6月30日まで3ヶ月延長する「つなぎ法」が可決成立した。

6月30日まで適用期限が延長される主なものをまとめると、次の通りとなる。


 今後の税制の動向には注意して見守る必要がある。

※このニュースレターは、平成23年4月28日現在の法令等に基づいて記載しています。今後の法改正等によって、取扱いが異なることになる可能性がありますことをご了承下さい。

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