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急激な円高進行 為替換算に大きな変動があった際のポイントとは?

 アクタスマネジメントサービス㈱/アクタス税理士法人

急激な円高が進行

平成23年8月19日、対ドル円相場が一時、75.95円と最高値を更新しました。最高値を更新した要因は、リーマンショック以降の国際的金融不安、ギリシャの財政危機による円買い、東日本大震災による日本企業の外貨建資産売却による円転などが考えられています。

急激な為替市場の変動により、企業の損益は大きなインパクトを受けます。今回は、急激な円高による為替差損益の税務のポイントについて解説します。

期末為替換算の原則

外貨建資産・負債については、金融商品会計基準の時価評価の適用に合わせ、期末換算規定が定められています。

会計と税務における外貨建資産・負債の期末換算方法をまとめると図表の通りとなります。

税務上、外貨建資産・負債の期末の換算は、発生時換算法と期末時換算法のいずれかを選定することになります。選定は、外国通貨の種類ごとに、かつ、一定の区分ごとに行います。

換算方法を選定しなかった場合には次のそれぞれの換算方法(以下、「法定換算方法」という)により換算することになります。

 

短期外貨建債権債務 ・・・期末時換算法
長期外貨建債権債 ・・・発生時換算法
売買目的外有価証券
(償還期限及び償還金額の定めのあるもの)
・・・発生時換算法
短期外貨預金 ・・・期末時換算法
長期外貨預金 ・・・発生時換算法

期末換算方法を選定していない場合に、会計上の換算方法と税務上の法定換算方法が異なるときは、会計と税務で乖離が生じることになります。ただし、取引日の属する事業年度の確定申告期限までに、換算方法を選定し届出をすれば会計と税務は一致することになります。

会計と税務の法定換算方法が乖離している資産・負債で重要なもの

ここで、会計上と税務上の法定換算方法で乖離が生じるもので重要な項目を確認しておくと次のものが該当します。

長期外貨建債権・債務
満期保有目的有価証券
その他有価証券

この3つは、会計上は期末時換算を行うが、税務上は発生時換算のものです。

特に外貨建有価証券である②、③については注意が必要です。
外貨建ての満期保有目的有価証券、その他有価証券について、会計上は期末時の為替相場で換算することとなっています。したがって、換算差額については、為替差損益として損益計算書に反映されることになります。それに対し、税務上の法定換算方法は、発生時換算法であるため、換算方法の選定をしなかった場合には、申告調整が必要となります。

外貨建て有価証券について強制評価減を適用する場合

事業年度終了の時において有する外貨建有価証券について、強制評価減を適用する場合があります。この場合、順序としては、まず、強制評価減を適用し評価損を計上し、その評価損適用後に為替換算を行うことになります

外貨建有価証券について、強制評価減を行った場合で、税務上の要件を満たしているときは、その評価損は損金算入することができます。
外国法人の発行する有価証券につきその有価証券の発行法人の資産状態が著しく悪化したかどうかを判定する場合には、原則として、その有価証券を取得した日におけるその発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額とその事業年度終了の日におけるその発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額に基づいてその比較を行います。

なお、1株又は1口当たりの純資産価額は、その発行法人がその会計帳簿の作成に当たり使用する外国通貨表示の金額により計算した金額で行うのがポイントです。円換算後の金額をベースに判断するものではないので、注意してください

次に、為替換算を行います。上記のとおり会計と税務で換算方法が異なるものについては申告調整が必要となります。例えば、その他有価証券については、会計上は期末時の為替相場で換算する。それに対し、税務上、届出がない場合、その他有価証券について発生時換算法が適用されることになり、申告調整が必要となります。

為替相場が著しく変動した場合に特例あり

為替相場が著しく変動した場合ついて、税務上、特例が設けられています。

事業年度終了の時において有する個々の外貨建資産・負債の為替相場が著しく変動した場合には、その外貨建資産・負債と通貨の種類を同じくする外貨建資産・負債のうち為替相場が著しく変動したもののすべてについて、これらの取得又は発生の基因となった外貨建取引をその事業年度終了の時において行ったものとみなして、それに係る全ての外貨建資産・負債につき期末換算を行うことができます

つまり、著しく為替相場が変動した場合には、原則にかかわらず、期末換算を行うことができるのです。

なお、為替相場が著しく変動した場合とは、次の算式により計算した割合がおおむね 15%以上となるときです。

(算式)

この規定が適用される場合、会計上と税務上の法定換算方法の乖離があるものでも期末換算に統一されることになり、申告調整が不要になります。

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